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だい11わ
「ジュエリーヌは、ジュエリーヌはああああ--」
ケビンの膝に泣き崩れるジュエリーヌ。
「ジュエリーヌは、もうマスターの御傍に居られないでございますでありますですう--」
しゃくりあげながら、ジュエリーヌは立ち上がった。
「とっても御免なさいでありましたりするのでございます、マスター」
「ジュエリーヌ……」
「さよなら、マスター」
ジュエリーヌは振り返り、その場から去ろうとした。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ--」
ケビンがジュエリーヌの手を握って制止した。
「マスター……」
「ジュエリーヌ、行かないでくれ!」
振り返ったジュエリーヌが、涙を溜めた瞳をケビンに向けた。
「い、いや、あの……」
何かを言いかけて、と言うより、言うべき事をまとめていないケビンが口ごもるように言葉を濁す。