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宗教

「えー、ですからして我々純血はこの血を絶やさず守って行かなければならないということなのです!」


壇上で熱く講演をする男を見ながら俺はつぶやいた。


「これは宗教っすわ。」


「だよね。慎の言った通りじゃん。この後、儀式とか始まっちゃったらどうする?」


柊がにやにやしながら俺にささやいた。


「いや、それはないだろ。せいぜいこのありがたーい話で終わる、、、」


「では、今日の世直しを始める!」


一段と大きな声が聞こえたと思うといつの間にか教祖らしき男が壇上に立っている。


「世直し、だってさ。すごいや。」


バカにするように柊はにやりとしながらつぶやいたが、その笑みはすぐに消えた。


「おい、何する気だ!離せ!!」


教祖の後ろから男が両脇を抱えられながら引きずられてきたのだ。


なんか一気に嫌な雰囲気。


「これが今日の生け贄の異人だ!」


生け贄!?


「慎やばい。異人ってことは、あれ日本人だ!」


グッと柊が俺の肘辺りの服を引っ張った。


「さぁ生き血を捧げるのだ!」



「血!血って言ってるよ!」


柊が俺の片腕を痛いぐらい両手で握った。


「おう。」


教祖らしき男がナイフを振り上げた。


このまま身を隠して見て見ぬふりをするのが安全だということはわかる。


でも、同じ日本人を見捨てるわけにはいかないし、ここで何もせずに後悔するよりは、、、


「俺は、あの人を助けに行く!柊、お前はここに、、、」


「いや、私も行くよ。これ、何か報酬が貰えるイベントかもしれないしさ!」


「あー、なるほど。一理ある」


、、、のか?いや、ないよな。


なーんて呑気に会話をしている場合ではない。


俺と柊は人の波を掻き分けた。


だが、波をかききったところで無惨にもナイフは振り下ろされた。


「やめろー!!」


気づけばそう叫んでいた。


ドスッ


思わず目を瞑った。


鈍い音だけが聞こえた。

だが、思ったような痛みに反応する叫び声は聞こえない。


まさか即死!?


恐る恐る目を開けるとナイフが教卓へと刺さっているのが見えた。


外した、のか?


「わはははは!かかったな、異人!」


教祖とバチリと目が遭う。

え?俺に言ってんの!?


そして奴は勝ち誇ったように笑い声を挙げた。


「は?」


「わはははは!お前は私の罠にかかったのだ!名付けて異人トラップだあ!そう、これはこいつの仲間の異人を炙り出す為のトラップだったのだ!」


アホそうなしゃべり方だな、、、


「「おおー」」


取り巻きたちはそんな教祖に向かって感嘆を挙げ、拍手をしている。


「そいつを捕らえろ!」


逃げようと思ったときには両手をむんずと信者達に捕まれていた。


「柊!お前だけでも逃げっ、、、柊?」


いない!?


どこいった?

さっきまで横にいたと思ったのに。


・・・デジャヴ。


って、いたー!!


まさかの教祖の後ろに回り込んでやがる!


「さて、ここからが我々の本当の儀式の始まりだ!屈辱的か?異人よ。」


教祖はなにやらペラペラとしゃべっているが、耳に全く入ってこない。


柊だ。

柊が気になってそれどころじゃない。


柊はそのままキョロキョロ何か探していたかと思うと近くの花瓶の花を抜き、水を捨て、、、、教祖の頭上に振り上げた。


オイオイオイ死ぬぞアイツ、、、


しかし、その花瓶が教祖の頭で割れることはなかった。


部屋の扉がかなり乱暴に開かれ、大声が部屋中に響いたからだ。


「「第五部隊、ジェイソン兵隊のお出ましだー!!てめぇら全員大人しく捕まりやがれ!!」」



いいタイミング、と言っていいのかわからないが、まさかのタイミングで新手の登場だ。

ジェイソン、という言葉がきこえたが

チェンソーは持ってないよな??


「やばい、国兵だ!」

「逃げろ!」


後方の入口からゾロゾロと兵士らしき人が入ってくるのが見えたかと思うと信者たちはそれから逃げようと我先にと窓へと殺到した。


早く自分たちも逃げなければ、、、


さっきまで柊がいたところを見るが、既にそこには誰もいない、、、


どこいった!?


視界には逃げ惑う信者、耳には兵士の怒号しか入ってこない。


柊!どこだ!?


パニックになりそうな中、誰かが俺の手を引っ張った。


「こっちよ。」


聞いたことあるような、ないような女の声だ。


「待って、連れがいるんだ。」


そんなことお構い無く、手はぐいぐいと俺を引っ張った。


「ちょ!」


俺は掴まれた手を強引に振りほどいた。


赤毛のツインテール、、、この子は、、、


「ここに入りなさい。」


「ちょっと待ってく」


「入るのよ!」


ドンッ


「あっ、、、ッイテーッ!」


ツインテールは俺が制止するのを無視して、あろうこともが床に空いていた穴へと俺を落とした。


ってか何で床に穴が?とか聞いている暇もない。


「何すんだよ!!」


「ちょっと静かにしなさいよ、見つかったらどうするの!?」


横からさっきのツインテールの子の声が聞こえたかと思うとビターンと張り手された。


「イッ!!!」


ひどい!!

親父にもぶたれたことないのに!!


ってか(くら)っっ!


今、落ちたはずの穴も誰かが蓋をしたのか、光すら漏れていない。


「今、火をつける。」


そうツインテールの声がしたかと思うと目の前がぼうっと明るくなった。


ヂリッ


「あつッ!?」


「あ、ごめん。」


「今、俺の髪の毛燃えたよね。」


「かもしれないわね。でもそんなに近くにいると思わなかったし。」


張り手しといて!?


「ってか、俺を上に戻してくれ!」


「正気?死にたいの?」


「連れがいる!どこかで俺と一緒にいた女を見なかったか!?」


「あ、ここにいるよ、慎」


その声と共に暗闇から柊の顔がニュッと現れた。


「「ひっ!」」


俺はツインテールと一緒に叫んだ。


「いや~、あの教祖ぽい人がここに逃げるのを見たからついてきたけど、慎を置いてきちゃったって焦ってたとこ。良かった良かった。」


このちゃっかりやさんめ。

でも本当に良かった!


「あのー、」


今度は青白い顔が浮かび上がる。


「「「ぎゃー!」」」


今度は3人で叫んだ。


この顔は、、、あの捕まっていた日本人だ!


「あの、助けていただいてありがとうございます。」


「び、びっくりした、、、」


「すみません、、、」


「ってか無事だったんですね!良かった。」


「はい!あの後、柊さんに連れられてここへ来ました。」



じゃあなんで柊は叫んだ、、、


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