表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心剣士  作者: リュカギン
第一章 叙勲式

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/30

第05話 EP01-05 出会い

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 オレのは『新実にいみ 健二けんじ』。内地ないちでは、中学校ちゅうがっこうかよ中学ちゅうがく二年生にねんせいの、ごく普通ふつう男子だんしだ。

 外地がいちなら、ひと武器ぶきのこしたつよ記憶きおくたたか魔法まほう使つかえて、『心剣士しんけんし』とばれる。


 今日きょうは、叙勲式じょくんしき出席しゅっせきするために、外地がいちぐん要塞ようさいた。

 そこで、けんのこった記憶きおく姉妹しまいいもうとほう、『美月みつき』と出会であった。


   ◇


「……っ?!」

 あね命懸いのちがけでいもうとまもった、と数年越すうねんごしでった美月みつきが、おどろきでオレをあげる。両手りょうてくちおおい、かおそむける。オレからはえないけれど、なみだぬぐうようにうごかす。

 うれなみだか、哀悼あいとうか、懺悔ざんげねんかはからない。からなくても、オレには関係かんけいないことか。


 美月みつきは、オレとおなどしくらいの少女しょうじょだ。ピンクがみのショートヘアで、とし相応そうおう可愛かわいくも、しんつよそうな凛々(りり)しい顔立かおだちで、こえんでたかい。からだ軍人ぐんじんにしては華奢きゃしゃで、くろ半袖はんそで軍服ぐんぷくに、くろのミニスカートを穿いて、素肌すはだ腕脚うであしほそびる。


たのみがある!」

 オレはいきおいよく、ゆか両膝りょうひざをついた。両手りょうてゆかについて、土下座どげざした。

「このことは、秘密ひみつにしてくれ! だれにもはなさないでくれ! みんなられると、ともだちにうわさとかされるとずかしいし!」

 ひたいゆかちつけ、こすりつけた。


 後頭部こうとうぶに、美月みつき困惑こんわく視線しせんかんじる。

 美月みつきあね名誉めいよのために、美月みつきわだかまりをのぞくために、つたえなきゃならないとおもった。でも、オレのずかしい秘密ひみつられるのはこまるのだ。それとこれとはべつなのだ。


「そううなら、だれにもはなさないけど……。少女しょうじょ記憶きおくたたかう『心剣士しんけんし』って、べつずかしくはないでしょ?」

 美月みつき困惑こんわく口調くちょうこたえた。

 コイツ?! やっぱりバレてる! しかも、くちしていやがってる!

「オレはずかしいの! 絶対ぜったい秘密ひみつだぞ! おねがいします!」

 オレは渾身こんしん土下座どげざ懇願こんがんした。


「それはそれとして」

 オレは、土下座どげざしたまま、美月みつきあげた。おもったとおり、困惑こんわくひとみでオレをおろしていた。

元気げんき生活せいかつできてるのか? こまったこととかないか?」

 少女しょうじょ記憶きおくたせいか、ついついあね心情しんじょうになってしまう。オレはおとこおなどしだけど。


 美月みつきが、苦々(にがにが)しいかおらした。

「ワタシが保護ほごされたとき、騎士団きしだん村人むらびと救助きゅうじょたわけじゃないわ。魔物まもの討伐とうばつただけで、それでも、魔物まものおそわれるワタシをたすけてくれたのよ」

 美月みつき美談びだんかたるつもりじゃないと、かおればかる。かげのあるひとみればかる。

「そのせいで、想定外そうていがい被害ひがいたでしょうね。ななくてよかった兵士へいしが、んだかもれない。ワタシは騎士きし養子ようしになって騎士団きしだん生活せいかつすることになって、そんな境遇きょうぐう子供こどもがどんなあつかいをけるか、想像そうぞうはつくでしょ?」

「そ、それは……」

 オレは、なんとなく予想よそうできてしまって、返答へんとうまってしまった。


   ◇


邪魔じゃまするぜ?」

 部屋へやに、軍服ぐんぷく軍人ぐんじん二人ふたりはいってきた。おとこ一人ひとりおんな一人ひとりとも二十代にじゅうだいくらいだ。

なにか、ごようっすか?」

 オレは、さりなくちあがって、さりなくパイプイスにすわって、さりなくなにごともなかったようにいた。


 おとこほうが、オレをジロジロとる。角刈かくがりで筋肉質きんにくしつたかくて、いかにも脳筋のうきん軍人ぐんじんである。

「おい、おまえ

 オレに、不機嫌ふきげん低音ていおんこえをかけてきた。

「な、なにっすか?」

 オレは、キョドりながらかえした。

 もしや、土下座どげざられたのか? さりなくちあがったけど、不自然ふしぜんおもわれたか? かけにらず、些細ささい違和感いわかん見逃みのがさないするどいヤツなのか?


「……なるほど、美月みつきこのみそうな細身ほそみだな。しかし、どうしてこんなよわそうなのを」

 ひとごとのようにオレを値踏ねぶみするおとこ後頭部こうとうぶを、おんなほう平手ひらてはたく。スパーーーッン!、と爽快そうかいおとがする。

暑苦あつくるしい筋肉きんにく野郎やろうどもにかこまれてそだった反動はんどうまってるでしょ」

 おんなの、色気いろけのある声音こわねのツッコミだった。


 おんなほう筋肉質きんにくしつじゃなくて、なが黒髪くろかみのナイスバディな大人おとなおんなってかんじだ。魔法使まほうつかいか後方こうほう支援しえんだろう。おおきな騎士団きしだんなら、医療いりょう情報じょうほうたずさわる人員じんいん充実じゅうじつしてるはずだ。

「ねぇ、美月みつき

 おんなたたしきつくえにセクシーにすわって、美月みつきまえちいさな香水瓶こうすいびんく。

おとことしたいときは、これを使つかいなさい」

「そっ?! そんなんじゃありません!」

 美月みつき何故なぜつよ口調くちょうで、おんなはなった。


「いいからいいから」

 おんなは、かってるかってる、とわんばかりの理解りかいあるみでうなずく。

「おい、て。おれはまだみとめてないぞ」

「いいから、邪魔者じゃまものるわよ」

 抗議こうぎするおとこ襟首えりくびを、おんなつかんでる。そのまま廊下ろうかへと……


 廊下ろうかへの出口でぐち全員ぜんいんて、全員ぜんいんおどろいた。

 そこには、いつのにか、くろ眼帯がんたいをした初老しょろうおとこっていた。


 おとこおんな美月みつき三人さんにんとも、緊張きんちょうした雰囲気ふんいき直立ちょくりつし、敬礼けいれいする。

『きっ、騎士団長きしだんちょう!』

 ってる! オレでもってる! いまやテレビやSNS、あらゆるニュースでかおないはない。

 まさしく、ゲシュペンスト騎士団きしだん騎士団長きしだんちょう、ゲシュペンストそのひとだ。


 ゲシュペンストは、白髪しらがじりのくせのある灰色はいいろがみで、みみかくれるくらいにびる。かおにシワが目立めだはじめ、ほおはこけて、眼光がんこうするどく、右目みぎめくろ眼帯がんたいかくれる。死神しにがみみたいな意匠いしょうりがはいった金属きんぞく眼帯がんたいで、格好かっこいい、イカス!

 としかんじさせないガッシリした肉体にくたいを、叙勲式じょくんしき主役しゅやくだけあって、内地ないちっぽいぬの軍服ぐんぷく着飾きかざる。騎士団きしだん腕章わんしょう死神しにがみっぽいデザインで、格好かっこいい、イカス!


 美月みつきおとこおんなも、おな腕章わんしょうをつけている。当然とうぜん階級かいきゅうしめ模様もようちがうけど。


「……美月みつき

 ゲシュペンストが、ひくしぶく、圧倒あっとうされる威圧感いあつかんのあるこえで、美月みつき見遣みやった。

 迫力はくりょくが! 迫力はくりょくすごい!

 こえだけで、オレまでガチガチに緊張きんちょうした。おもわず、ちあがって敬礼けいれいしそうになった。民間人みんかんじんだけどオレも敬礼けいれいしたほうがいいのか?、とまよった。


「……人前ひとまえでは、『パパ、……あっ?!、もっ、もうわけありません、ゲシュペンスト騎士団長きしだんちょう! つい、いつものかたてしまいました』、とぶようにっているだろう?」

 ひくしぶ圧倒あっとうされる威圧感いあつかんのあるこえに、微妙びみょうこえ真似まねまじえていた。

絶対ぜったいいやです」

 美月みつきつめたい即答そくとうした。


   ◇


なんだったんだ……?」

 オレは、呆然ぼうぜんとしてつぶやいた。

 ナイスバディなおんなられて、ゲシュペンストもおとこった。グランパでもいいぞとかまだはやいとか、わめいてもいた。


「これで、かったでしょ?」

 美月みつきが、苦々(にがにが)しいかおらす。なにずかしいのか、かおあかい。

騎士団きしだんみなに、まごむすめいもうとかってくらい可愛かわいがられてあまやかされてるわ。ワタシは、きびしい鍛錬たんれんんで立派りっぱ軍人ぐんじんになりたいのに。きびしくせっしてほしいのに」

「あぁ、それは、まぁ、たしかに、苦労くろうしてそうだな」

 オレは、複雑ふくざつ心境しんきょうこたえた。

 おもったより、しあわせにらしているようだ。本人ほんにん満足まんぞくしてるかどうかはいておいて。


 これが、オレと美月みつき出会であいのきっかけであり、出会であいだった。


   ◇


新実にいみ 健二けんじ心剣士しんけんし殿どの! まえへ!」

「はい!」

 オレのばんた。


 いまときひと、ゲシュペンスト騎士団長きしだんちょう主役しゅやく叙勲式じょくんしきだけあって、規模きぼ超大き(ドデカ)い。ひろ体育館たいいくかん何倍なんばいもある超広ちょうひろ体育館たいいくかんみたいな会場かいじょうに、ギッシリとパイプイスがならび、すわ人々(ひとびと)くされる。壁際かべぎわまでも、ビッシリとまる。

 うそ本当ほんとか、おおくはオレをにきたわか騎士きし兵士へいしだと、リヒトがっていた。


 オレなんて前座ぜんざ脇役わきやくかってても、緊張きんちょうする!


 壇上だんじょう壇上だんじょうで、ゲシュペンストをはじめ、お偉方えらがたっぽい年輩ねんぱい軍人ぐんじんばかりが十数人じゅうすうにんかえる。

「その功績こうせきたたえ、勲章くんしょう授与じゅよする!」

あま光栄こうえいです!」

 年輩ねんぱい軍人ぐんじんたちのすような注目ちゅうもくえながら、おしえてもらった段取だんどどおりに勲章くんしょうる。てのひら半分はんぶんくらいのサイズの勲章くんしょうが、二回ふたまわりほどおおきいはこに、かれた薄紫色うすむらさきいろぬのしずむようにおさまっている。


『うおーっ!』

 客席きゃくせきから、おおきな歓声かんせい拍手はくしゅがあがった。ほとんどが、壁際かべぎわひとたちだった。


 ちょっとビックリした。

 勲章くんしょうなんて、べつ興味きょうみはない。でも、これはこれでわるくない。

 オレは、歓声かんせいこたえて、おおきくった。



心剣士

第05話 EP01-05 出会であい/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ