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心剣士  作者: リュカギン
第五章 フェニックス計画

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第24話 EP05-03 土人形

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 ここは、『外地がいち』のわり。そのさきに『魔界まかい』があるとされるやみかべの、手前てまえ魔王まおう居城きょじょうもくされる岩山いわやまふもと

 最凶さいきょう最悪さいあく魔将軍ましょうぐん冒涜者ブラスフィ』がまん単位たんい魔物まものひきいてまも荒野こうや魔城まじょう前庭ぜんてい』である。


 たいする人間の軍(こっち)十万人じゅうまんにん規模きぼよこなが隊列たいれつんで、横陣おうじん展開てんかいする。騎士きし兵士へいしもほぼ歩兵ほへいで、戦馬せんばまたが騎兵きへい一団いちだんと、おおきな荷車にぐるま馬車ばしゃ随行ずいこうする。


全軍ぜんぐん! 歩行ほこう速度そくど前進ぜんしん!」

 号令ごうれい合図あいずに、全軍ぜんぐん前進ぜんしん開始かいしする。よろいをガシャガシャとらし、歩調ほちょうそろえ、横陣おうじん隊列たいれつのまますすむ。目指めざすは、魔物まものぐんである。

 最前列さいぜんれつは、大盾タワーシールド騎士きしたちがならぶ。その重装金属鎧ヘビーアーマーって、騎士きし兵士へいし騎兵きへい馬車ばしゃつづく。


 魔物の軍(あっち)も、魔将軍ましょうぐん冒涜者ブラスフィ』が無数むすうちあがらせたつち人形にんぎょうともに、魔物まものどもがうごはじめた。

 数万すうまんえた魔物まもの軍勢ぐんぜいが、人間の軍(こっち)かってくる。奇声きせいめいた咆哮ほうこうはっし、土煙つちけむりをあげる。


 人間の軍(こっち)も、接敵せってきまで前進ぜんしんつづける。

 隊列たいれつ中央ちゅうおうは、この『魔城まじょう前庭ぜんてい』の攻略こうりゃくながまかされる最大さいだい騎士団きしだん聖高潔騎士団ホーリブル四万よんまんだ。

 そのみぎつらなるのが赤薔薇レッドローズ騎士団きしだん一万いちまんひだりつらなるのが、オレのいるゲシュペンスト騎士団きしだん一万いちまん。といた。


総員そういん! 身構みがまえろ!」

 野太のぶと低音ていおんで、号令ごうれいがあがった。

 もう、魔物まものどもの表情ひょうじょうまでえる距離きょりだ。

 どいつもこいつも、人間にんげんという獲物えものまえ赤一色あかいっしょく見開みひらき、おおきくけたくちからにごったよだれらす。赤黒あかぐろからだ歓喜かんき躍動やくどうさせ、我先われさきにと、醜悪しゅうあく体躯たいくこっちこっちへとせる。


 ガッシャーンッ!、とひしゃげるような金属音きんぞくおんで、騎士きし大盾おおたて魔物まもの衝突しょうとつした。あっちでもこっちでも、たくさん、たくさん、無数むすうに、そこらじゅうで、衝突しょうとつした。みみいたいぐらいの、おとうめき、怒号どごうさけび、咆哮ほうこうが、とどろいて、とどろいて、とどろいた。


   ◇


 戦場せんじょう喧騒けんそうを、オレは隊列たいれつ最後尾さいこうび見守みまもる。規模きぼ巨大デカすぎて、呆然ぼうぜんとしてる。

 オレのは『新実にいみ 健二けんじ』、中二ちゅうに男子だんし。『少女しょうじょ武器ぶきのこしたつよ記憶きおく』でたたか魔法まほう使つかい、『心剣士しんけんし』だ。


「この戦場せんじょうの、最強さいきょうのアーティファクト『滅魔めつまつるぎ』があるおおよその地点ちてんは、把握はあくできてるわ。そこまで戦線せんせんしあげたら、ワタシが正確せいかく位置いちすから」

 美月みつき説明せつめいを、うつろにく。

 美月みつきは、宝物トレジャー捜索そうさくけい最上級さいじょうきゅう魔法まほう使つかい、『アーティファクトシーカー』である。

最低限さいていげん作戦さくせん目標もくひょうは、『滅魔めつまつるぎ』の回収かいしゅうよ。回収かいしゅうしたら、健二けんじつの。可能かのうであれば、その魔物まもの討伐とうばつ移行いこうして」

「……けばくほど、たりばったりの滅茶苦茶めちゃくちゃ作戦さくせんだな?」

 オレは、率直そっちょく感想かんそうくちにした。

「そうよ。だから、権力者けんりょくしゃ保身ほしんのために強行きょうこうした無責任むせきにん愚策ぐさく、ってってたでしょ」

 美月みつきも、率直そっちょく批判ひはんくちにした。


 オレは、オレのまで後方こうほう温存おんぞんだ。迂闊うかつまえ怪我けがでもしたら間抜まぬけだ。

 に、戦闘せんとうはげしさが、す。まずはひとつのふたつのじり、つち人形にんぎょうせる。大盾おおたて騎士きしばされ、金属片きんぞくへん悲鳴ひめい血飛沫ちしぶきう。

「でも、てき戦力せんりょく無尽蔵むじんぞう、ってはなしだったろ?」

 不安ふあんも、す。

 まだこれに、つのつの追加ついかされる。たおしてもたおしても、『冒涜者ブラスフィ』がつち人形にんぎょうとして復活ふっかつさせる、ってはなしじゃなかったか?


 美月みつきこたえる。場慣ばなれして、冷静れいせいたもつ。

たしかに、『冒涜者ブラスフィ』のつよさは異常チートだわ。魔物まものつのからつち人形にんぎょうつくるし。『冒涜者ブラスフィ本体ほんたい不死身ふじみらしいし」

 それは、絶望ぜつぼうてきにチートだな。

「でも、制限せいげんがないわけじゃないわ。つち人形にんぎょう作成さくせいにはクールタイムがあり、とおはなれたつのつち人形にんぎょうにならず、つち人形にんぎょうはオリジナルよりよわい」

 美月みつきが、きちんと予習よしゅうしてきたましがお説明せつめいした。

「だから、たおした魔物まものつのは、遠方えんぽうてにくか、前方ぜんぽうげるの。隊列たいれつなか後方こうほうつち人形にんぎょうになったら、大変たいへんだものね」


   ◇


 戦場せんじょうのあちこちで、火球かきゅう氷塊ひょうかいはじめた。石柱せきちゅうし、かぜきあがった。

 かく騎士団きしだんが、魔法まほう使つかたい投入とうにゅうしたようだ。


「ホーリブルそう指揮官しきかん殿どのは、序盤じょばん一気いっき戦線せんせんしあげるつもりのようだね! ならば、ぼくらもおくれはれないな!」

 リヒトがジェントルマンなくせのある声音こわねで、号令ごうれいはっした。

 リヒトは、ゲシュペンスト騎士団きしだん魔法まほう使つかたい隊長たいちょうである。マッチョおとこで、こんな戦場せんじょうでも目立めだ白銀はくぎん軍服ぐんぷくをはちれそうにこなし、すこながめの白銀はくぎんかみをして、右目みぎめにかかる前髪まえがみをファサッときあげる。『屈強くっきょう兵士へいし記憶きおく』でたたかう『心剣士しんけんし』でもある。


つの接敵せってき!」

 兵士へいしさけんだ。赤黒あかぐろ長毛ちょうもう大猿おおざるみたいなのが、つち人形にんぎょうどもをけ、大盾おおたて騎士きしれつんだ。

「おぉっと?!、まずはあのつのたおそうか! 攻撃こうげき集中しゅうちゅうしてくれたまえ! ぼくこう!」

 リヒトが冷静れいせい指示しじした。

 たたかれてる。リヒトはもちろん、ほか騎士きし兵士へいしあわてずさわがず、冷静れいせいである。


 大猿おおざるみたいなつのに、火球かきゅう石礫いしつぶて、ボウガンのそそぐ。

 つのながふとうでりまわして、大盾おおたて騎士きしたちをはじばす。

 魔法まほう弓矢ゆみや援護えんごけ、リヒトが長剣ロングソードりかかる。足元あしもと長剣ロングソードひろってりかかる。またべつ長剣ロングソードひろってりかかる、りかかる。

「キッキッキィーッ!」

 甲高かんだか咆哮ほうこうして、つのえた。


 やった! 大猿おおざるみたいなつのたおした! かなりすごい!

つのだけでいい! いそぎたまえ!」

まかせろ!」

 騎兵きへい一騎いっきが、荒野こうやつちえぐいきおいで、前線ぜんせんとは逆方向ぎゃくほうこうけた。いまたおしたつの魔物まものつのを、とおくにてにはしるのだろう。

「なるほどな。あんなかんじか」

 オレは理解顔りかいがおで、とおざかる騎兵きへい見送みおくった。


   ◇


 とおざかる騎兵きへいを、おおきなつち人形にんぎょうはじばした。つち人形にんぎょうが、騎兵きへいのところに唐突とうとつあらわれた!?

不味まずい! クールタイムがわった! つち人形にんぎょうえたぞ!」

 あちこちから報告ほうこくがあがった。


 不味マズい! つまり、隊列たいれつ後方こうほうつのつち人形にんぎょうあらわれた、ってことだ。

「いけないな! ここは、このぼくが」

「オレがやるっす!」

 オレはリヒトの宣言せんげんさえぎった。つのつち人形にんぎょうへとはしった。

いまのうちに、つち人形にんぎょう性能せいのう体感たいかんしておきたいっす!」

「ならば! 新実にいみくんにおまかせしよう!」


 大猿おおざるみたいなつのつち人形にんぎょうも、オレのほうけてくる。ながうでにぎったこぶし地面じめんき、みじかあし荒野こうやり、かぜなび長毛ちょうもうみたいにつち逆立さかだてる。


 オレがえら武器ぶきは、騎士きし長剣ロングソード騎士きしだった父親ちちおやつのころされ、仇討かたきうちをちかってみずからも騎士きしとなった少女しょうじょのものだ。その少女しょうじょ自身じしんつのころされ、断末魔だんまつまつのへの怨嗟えんささけんだ。


 オレの感情かんじょうが、少女しょうじょ記憶きおくつよられる。少女しょうじょ記憶きおくとオレの現実げんじつが、ゴチャゴチャにじる。

「こ、ろ、し、て、や、る!」

 殺意さついまれたくらひとみで、憎悪ぞうおなみだながし、つのにらみあげる。全力ぜんりょくで、つのへとむ。

 りおろされるおおきくふとこぶしを、前屈まえかがんで、一気いっきんでける。頭上ずじょう風圧ふうあつかんじながら、こしだめにかまえた長剣ロングソードで、つのまるぱらす。

 剣先けんさきすうセンチ、ぱらさった。たったすうセンチしか、さらなかった。


 でも、問題ない(ノープロブレム)

 すうセンチ、さった。この『少女しょうじょ記憶きおく』は、魔物まものったりしたりするものじゃない。コイツは、『つのつためにりあげた殺意さつい』だ。


 さった剣先けんさきから、つのまるぱらにヒビがはいった。ヒビは、またたに、つの全身ぜんしんへとひろがった。すべてのヒビから血飛沫ちしぶきみたいにつちいて、つのつち人形にんぎょうだったものは、くずれた土塊つちくれへとてた。

 最後さいごに、一瞬いっしゅん少女しょうじょわらったがした。少女しょうじょ記憶きおくとオレの現実げんじつが、じったのか。


たすかった、少年ボウズ! あとまかせろ!」

 ころがるつの騎士きしひろった。戦馬せんばまたがり、前線ぜんせんとは逆方向ぎゃくほうこうした。

「おねがいするっす! 新実にいみ 健二けんじ、『心剣士しんけんし』っす!」

 オレはおおきくって見送みおくった。


 つち人形にんぎょうは、たしかに、オリジナルよりよわい。つの魔物まものは、こんなザコじゃない。

 そして、オレはつよい。適切てきせつ武器ぶき行使こうしできる『心剣士しんけんし』は、こんなにもつよい。


 大丈夫だいじょうぶだ、問題もんだいない。オレはたたかえる。てる。

 オレのなかに、そんな実感じっかんきあがった。自信じしんを、てた。



心剣士

第24話 EP05-03 つち人形にんぎょう/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

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