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心剣士  作者: リュカギン
プロローグ 心剣士

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第02話 EP01-02 二つ角

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 オレのは『新実にいみ 健二けんじ』。内地ないちでは、中学校ちゅうがっこうかよ中学ちゅうがく二年生にねんせいの、ごく普通ふつう男子だんしだ。

 外地がいちなら、ひと武器ぶきのこしたつよ記憶きおくたたか魔法まほう使つかえて、『心剣士しんけんし』とばれる。

 内地ないちで、退屈たいくつ日常にちじょうごす。ときどき外地がいちって、バイト感覚かんかく魔物まものる。

 今日きょう外地がいちで、ちいさな戦場せんじょう討伐とうばつ作戦さくせん参加さんかしてる。


 中学校ちゅうがっこう放課後ほうかご直接ちょくせつたから、中学校ちゅうがっこう制服せいふく半袖はんそでのワイシャツにくろのスラックスにくろのスニーカーのままである。こしには、愛用あいよう小剣ショートソードをさげる。


武器ぶきちてればいいけど……」

 オレがいた人間こっちぐん作戦さくせんは、単純シンプルである。

 ここのてきボスが最近さいきんつのからふたつのわった。ようするに、比較的ひかくてきよわ魔物まものわった。絶好ぜっこう好機こうきと、このふたつの討伐とうばつして、戦線せんせんもりおくまでしあげる算段さんだんだ。


 ちいさな前線ぜんせんで、魔物まものかず少数しょうすうだが、人間こっちぐん規模きぼちいさい。それをさらに、部隊ぶたい小隊しょうたい単位たんいえて分散ぶんさんさせる。草原そうげんひろ展開てんかいして、魔物まものおびす。

 魔物まものは、好戦的こうせんてき人間にんげん敵意てきいしだ。人間こっちがわ少数しょうすうれば、仲魔なかまさきされてはたまらんと、獲物えもの横取よこどりされてなるものかと、辛抱しんぼうできずもりおそってくるだろう。

 人間こっちぐんは、小隊しょうたい連携れんけいって、おびされた魔物まもの包囲ほういして各個かっこ撃破げきはすればいい。


 魔物まもの本来ほんらいだれかの命令めいれいしたがうような性分しょうぶんはしていない。単独たんどくでしかうごかず、協力きょうりょくせず、たすわず、ちからわせない。

 しかし何故なぜか、『魔王まおう』の存在そんざいのみが、凶暴きょうぼう魔物まものどもに集団しゅうだん行動こうどうをせしめる。最低限さいていげんながら、れを形成けいせいさせる。

 らしい。ったこっちゃないが。魔物まもの徒党ととうんで侵攻しんこうしてくる、それがオレたちにとってのすべてだ。


 じゃぁ、部下ぶかひとつの各個かっこ撃破げきはされる状況じょうきょうで、てきボスのふたつのはどうする?


 アホな部下ぶかどもは、命令めいれいかない。おろかにもわなにかかって、次々(つぎつぎ)たおされていく。

 自分じぶんならけない、とかんがえる自信じしん過剰かじょうなヤツなら、みずかまえる。集団しゅうだんまかされるなら、ちょっとは知恵ちえがあるだろうから、人間こっち部隊ぶたいのいないルートをえらんでよこ背後はいごまわもうとする。


 そこで、魔法使まほうつかいの出番でばんだ。

 小隊しょうたいのいないルートに、少数しょうすうでもふたつのたおせる魔法使まほうつかたいせする。運好うんよてきボスとエンカウントできたたいが、てきボスを討伐とうばつする権利けんりる。


 単純シンプルな、わるくない作戦さくせんだ。今回こんかいうんい。

 あのわかめのオッサン騎士きしは、信用しんようしてやってもいい。ひさしぶりに、気分きぶんたたかえそうだ。


   ◇


今回こんかいは、本当ほんとううんいぜ」

 おもわずくちた。


 眼前がんぜんに、ふたつの魔物まものちはだかる。

 体高たいこう大人おとなやく二倍にばい逆関節ぎゃくかんせつ二足歩行にそくほこうで、はだはツルっとして赤黒あかぐろい。みみとがり、りあがった赤一色あかいっしょく薄汚うすよごれたきばに、性格せいかくわるみみたいなかおをしてる。のないあたまには、一本いっぽん根元ねもとから二股ふたまたかれたおおきなつのがある。


 オレがまかされたルートは、戦争せんそうまれて放棄ほうきされたむらか? 茫々(ぼうぼう)くさむらから、れたレンガや木材もくざい石材せきざいさく残骸ざんがいのぞく。

 つちかためたみち草木くさきにヒビれ、けたけん何本なんぼんつ。金属板きんぞくばん散乱さんらんし、骨片こっぺん半端はんぱつちまる。

 具合ぐあい具合ぐあいから、数年前すうねんまえからの戦場せんじょうだと推測すいそくされる。どうでもいいことだが。


 どうやら、てきボス討伐とうばつ特別とくべつ報酬ほうしゅうはオレのものだ。


「……これがいいか」

 オレは、つボロボロのけんから一本いっぽんえらんで、いた。一般兵いっぱんへいつような、やすっぽい長剣ロングソードだ。ながざらしで、けてびてつちまみれて、人間にんげんすられるかあやしい。


 だが、問題ない(ノープロブレム)

 オレは、ひと武器ぶきのこしたつよ記憶きおくたたかう『心剣士しんけんし』だ。


 魔物まものつよい。かた皮膚ひふするどつめとがったきばたか身体能力しんたいのうりょくつ。

 ひとつのですら、人間にんげんよりつよい。訓練くんれんんで武装ぶそうした人間にんげん数人すうにんかりで互角ごかくふたつの以上いじょうは、なみ人間にんげんじゃぁ太刀打たちうちできない。


 だが、問題ない(ノープロブレム)

 オレは、なみ人間にんげんじゃぁない。


 オレのまえに、思念しねんのこした少女しょうじょ幻影げんえいあらわれた。

 うし姿すがたるに、としころ十歳じゅっさいかそこら、ながいピンクがみで、地味じみいろのワンピースをる。ほそうででヨロヨロと、オレがつのとおな長剣ロングソードを、けれどざらしになるまえはがね光沢こうたくやいばを、かまえる。


 少女しょうじょ長剣ロングソードかまえて、まえ魔物まものに、絶望的ぜつぼうてきちからに、かう。

 だが、問題ない(ノープロブレム)

 これは、あの少女しょうじょ記憶きおくだ。数年前すうねんまえに、このきたであろう、少女しょうじょ物語ものがたりだ。


   ◇


 少女しょうじょ健気けなげにも、つの魔物まものかう。

 ちいさなからだで、長剣ロングソードをまともにれるわけもない。かよわで、巨躯きょく化物ばけものこわくないわけもない。


 でも、げない。うずくまらない。じず、魔物まものにらみあげる。

 所詮しょせん人間にんげん少女しょうじょだ。肉体にくたいよわい。でも、こころは、驚嘆きょうたんするほどにつよい。


 少女しょうじょ記憶きおく魔物まものは、つのだ。このふたつのまえのボスか?

 ふたつのより、さらに大き(デカ)い。逆関節ぎゃくかんせつ二足歩行にそくほこう前傾ぜんけいして、四足よんそくけものちか体躯たいくで、赤一色あかいっしょく丸目まるめで、うえから見下みおろすようにのぞみ、背中せなかりあがる。かくばったひたいには、一本いっぽん根元ねもとから三股みつまたかれて、ゆるがったつのがある。


 少女しょうじょ記憶きおくとオレの現実げんじつじる。くとゴチャゴチャになる。どっちがどっちかからなくなる。


 少女しょうじょが、恐怖きょうふふるえるかおで、無理むり微笑びしょうして、く。

「だ、大丈夫だいじょうぶだからね」

 その背後はいごには、だれまもりたいひとがいたのだろう。ふるえるあしで、ふるえるうでで、ふるえる微笑びしょうで、それでもさずに、まもとおそうとしたのだろう。


 つの魔物まものが、赤黒あかぐろふとあしを、おおきなあし赤黒あかぐろひづめりあげる。


 ふたつの魔物まものが、赤黒あかぐろふとうでを、おおきなの、しろ鉤爪かぎづめりあげる。


 少女しょうじょ記憶きおくとオレの現実げんじつじる。


「おねえちゃん……」

 背後はいごから、ちいさなおんなの、かぼそふるえるこえこえた。


 ……そうか。この少女しょうじょは、いもうとまもろうと、こんなにもおそろしい魔物まものかったのか。


 オレは無造作むぞうさに、ボロボロの長剣ロングソードかざした。


大丈夫だいじょうぶだよ、ミツキ。大丈夫だいじょうぶだからね」

 少女しょうじょかえって、微笑ほほえんだ。

 もう、ふるえていなかった。やさしい微笑ほほえみだった。

 いもうとおびえないように、との心遣こころづかいだったのか。いもうとだけでもたすかると、希望きぼうてたのか。

 いまとなっては、からない。これは、数年前すうねんまえの、この少女しょうじょ記憶きおくでしかない。


 つの魔物まものの、赤黒あかぐろふとあしが、おおきなあし赤黒あかぐろひづめみおろされた。


 ふたつの魔物まものの、赤黒あかぐろふとうでが、おおきなしろ鉤爪かぎづめりおろされた。


 ギィィィィィッン、と甲高かんだか金属音きんぞくおんで、ボロボロの長剣ロングソードが、ふたつの魔物まものおおきな鉤爪かぎづめを、容易たやすけとめた。


 ふたつの魔物まものが、露骨ろこつおどろいた。狼狽うろたえた。動揺どうようした。

 たった一人ひとり人間にんげん相手あいてに、ボロボロのけんで、自慢じまん鉤爪かぎづめけとめられて、ショックだったらしい。


 自信じしん過剰かじょうなヤツほど、予想外よそうがい事態じたいにはうごきがわるくなる。コイツは、動揺どうようしすぎて、うごきがまっちまってる。

 このチャンスをのがすほど、オレはぬるくない。まぁ、ふたつの程度ていどなら、うごきがかろうがわるかろうが関係かんけいないが。


「アンタのボス相手あいてでもれなかったこころだぜ? アンタにれる道理どうりがないだろ?」

 頭上ずじょうえだでもるように、けたやいば横滑よこすべりさせる。

 しろ鉤爪かぎづめちて、なめらかな断面だんめんさらした。

 ボロボロの長剣ロングソードりあげ、縦一文字たていちもんじりおろす。

 ふたつの魔物まもの赤黒あかぐろからだが、たて両断りょうだんされた。左右さゆうたおれて、地面じめんちるまええた。


 魔物まものつのだけが、のこってころがる。

 魔物まものたおすと、なぜか消滅しょうめつする。どうでもいいことか。なぜか、つのだけがのこる。

 のこった二股ふたまたつのひろう。おおきさが、小剣ショートソードほどもある。

 このつのが、討伐とうばつ証明しょうめいとなる。


 今回こんかいは、本当ほんとううんい。


 オレは、そのおおきなつのにぎり、頭上ずじょうたかかかげた。日差ひざしが、つのにギラギラと赤黒あかぐろ反射はんしゃした。あげて、たからかに宣言せんげんした。

「オレこそは心剣士しんけんし! 新実にいみ 健二けんじてきボスをった! オレたちのちだぜ!」


 うちかえったら、気持きもちよく武勇伝ぶゆうでんかたれそうだ。



心剣士

第02話 EP01-02 ふたつの/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

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