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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第二章 出会いと妄想の新生活

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王都でもお変わりなく③

「タクロウ、今日はどうするんだ?」


 ジーナが皿洗いをしながら尋ねて来た。

 俺は食事の席に座ったまま、腕を組んで考える。


「そうだなー。特に予定もないし。ララン、騎士団から依頼とか来てるか?」

「今は特にないな」

「じゃあ、そろそろ一度王都の冒険者ギルドに顔を出すか」


 ラランの件も解決したし、本格的に冒険者としての仕事を再開する時期だろう。

 ジーナとラランは騎士団を除隊したから、冒険者への転職手続きも必要だ。

 動ける時間があるうちに済ませておいたほうが、後々楽だろう。 

 先のことを考えるなんて、俺も立派になったな。

 とか考えていると、皿洗いを終えたジーナが俺の隣に歩み寄る。


「提案なのだが、その前に教会へ顔を出すのはどうだろう」

「あー確かに。タクロウとか一回も見てもらったことないよな」


 ジーナの意見にラランが反応した。

 俺は首を傾げる。


「教会? なんで?」

「加護のレベルを見てもらえるんだ」

「ああ」


 そういえば、加護と肉体のレベルは別々で、加護のレベルを上げるには特別な場所に行く必要があるって……。

 前にサラスが説明していたのをすっかり忘れていた。

 そこへゴミ捨てからサラスが戻ってくる。


「教会に行くんですか?」

「加護のレベル上げって教会でするんだな」

「そうですよ! 教会には神官がいるはずなので、その人が加護のレベル上げをしてくれます。言ってませんでしたっけ?」

「そこまで詳しくは聞いてない」


 あの時はそんなこと聞く余裕もなかったから仕方ないが。

 加護のレベル上げか。


「加護って功績を積まないと上がらないんだろ? 俺特に何もしてないし、レベル上がるとは思えないんだけど……」

「いいや、結婚すれば必ず一つはレベルがあがるはずだ」

「そうなのか?」


 ジーナはこくりと頷き説明を続ける。


「この世界の女神様は愛と平和を大切にしているお方だ。結婚したということは、それだけ愛を育み、女神様に認められたことを意味する。だから結婚はわかりやすい功績の一つなんだ」

「へぇ~、結婚が功績か」


 本当に変わったルールのある世界だな。

 ん?

 じゃあ俺は三人と結婚したし、一気に三つくらいレベルアップするんじゃ?

 『一夫多妻』のほうは上げておかないと今後詰むからな。


「よし! じゃあ先に教会に寄ってから、冒険者ギルドに行こうか」

「楽しみだー教会!」

「カナタも初めてか?」

「うん! 村に教会はなかったからな」


 初めてなのは俺とカナタだけか?

 確かめるように、ジーナとラランに視線を向ける。


「私は何度か行っている。加護のレベルは上がらないが、定期的に女神様に祈りを捧げているよ」

「真面目だなぁ~。ラランも初めてじゃないよな? 栄誉騎士だし、レベルも上がってるだろ?」

「上がってるけど……最初に連れていかれて以降は一度も顔出してない」


 ラランは少しテンションが低い。

 疑問を感じていると、ジーナが教えてくれる。


「ラランは教会嫌いなんだ」

「へぇ、なんで?」

「……だってあそこ、リア充のたまり場だから」

「え、そうなの?」


 教会ってリア充が集まりやすいスポットだったのか。

 愛と平和の女神様を信仰しているかとか、そういう理由だろう。

 ラランが初めて言った時も、祈りを捧げにきたカップルたちが多かったそうだ。


「嫌なら留守番してるか?」

「大丈夫だ! あの頃の私とは違う! 今の私は既婚者、つまりリア充側だから!」

「そうか……ならいいけど」


 ラランは力強くガッツポーズをしている。

 気持ちの持ち方って大事だよな。

 一日のスケジュールが決まったところで、出かける準備をする。

 数分後に全員で屋敷を出発した。

 ジーナの案内で王都の街並みを進んでいく。


「教会とギルドって逆方向にあるのか。面倒だな」

「仕方あるまい。教会は王国のものだが、ギルドは冒険者の管轄だ」

「前から思ってたけどさ? 騎士団、というか王国か? なんでギルドと仲良くないんだ」

「商売敵だからだよ。騎士団は国のため、ギルドは金や名誉のために戦う。そういう思想の違いもあったりする。私には理解できないけど」


 ラランは呆れながら説明してくれた。

 彼女が騎士になった理由は、どちらかといえば冒険者寄りだろう。

 かくいう俺も、国とか平和のために戦えって言われたら、ちょっと困りますってなるな。

 俺はポケットに手を突っ込んで空を見上げる


「……あ、冒険者カード忘れてきた」

「家に置いてきちゃったのか?」


 カナタが首をかしげて尋ねてきた。

 他のポケットにもない。


「たぶんな。悪い先に行っててくれ」

「何やってるんですかー? 私はちゃーんと……あ」


 お前もかよ。

 仕方ない。

 サラスの分も回収してくるか。


「タクロウ。教会までの道を書いておいた地図だ」

「助かるよ。用意がいいな、ジーナ」

「タクロウの役に立てたなら光栄だ。では私たちは先に行くぞ」

「ああ、頼んだ」


 さっさと回収して戻れば、みんなに合流できるだろう。

 俺は急いで家に戻り、俺とサラスの冒険者カードを回収した。


 十分後……。


  ◇◇◇


「……迷ったな」


 広すぎるだろ王都!

 貴族街の道は入り組んでてわかりにくいし、やっと抜けたと思ったら知らない道に出るし!

 頼みの地図はというと……。


「……読めん」


 手書きというのは全部が手書き。

 ジーナに絵心はなかったよ。

 幼稚園児の落書きみたいな地図が描かれていて、なんとか予測しながら進んだ結果、俺は迷子になっていた。

 なんと情けない。

 迷子属性はカナタで十分なのに……。


「どうするかな……」


 通りかかる人に道を聞くのがベストか。

 だが大きな問題はある。

 俺は人見知りなんだ!

 今までサラスやカナタが一緒にいたから心の余裕があった。

 しかし今は一人。

 とても心細くて泣きそうだ。

 キョロキョロしていると不審者に間違われるかもしれない。

 過去に職質された思い出がリフレインされる。


「あのー」

「は、はい! 何もしてないです!」

「え、な、何が?」

「あ……ごめんなさい。ついあの頃の癖で……」


 突然声をかけられて驚いた俺は振り返る。

 後ろにいたのは小柄で青い瞳の女の子だった。

 いつか旅の途中で出会った女の子と、髪と目の色は似ている。

 けれど明らかに違う。

 なぜなら……。


「ケモ耳っ娘だ!」

「え?」

「あ、いや失敬、ちょっと驚いただけだ」

「そうですか……お兄さん、ひょっとっして変な人?」

「そ、そんなことないぞ!」

「じー……」


 女の子は少し警戒している様子だった。

 俺は一回咳ばらいをする。

 女の子との話し方なら、カナタたちのおかげで免疫がついていた。


「それで、何か用?」

「あ、えっと、道を知りたくて」

「あー、それだとあまり役に立てないかも。俺もここに来て日が浅いから」


 絶賛迷子中だしな。


「ちなみに行きたい場所は?」

「この噴水がある広間なんだけど」

「ああ、ここから知ってるかも」

「本当?」


 買い出しの時に何度か通ったことがある。

 確か貴族街を出てすぐのところにある噴水だ。

 貴族街は王城に近い地域だから、方角的にあちら側か。


「ちょっと歩くけどいいか?」

「え、案内してくれるの?」

「俺もそっち方向に用があるんだ」

「ありがとう。お兄さん、変だけどいい人だね」


 変な人は余計だ。

 一度、屋敷のほうに戻ったほうがいいだろう。

 貴族街にさえ入れば、知っている道にも出るはずだ。

 そうじゃなかったら一緒に迷子になってもらおう。


「俺はヒ……タクロウだ。よろしく」

「私はリオン、旅人だよ」

「旅人か。王都には観光?」

「そんなところかな? タクロウは?」

「俺は最近ここに住み始めたんだ」

「へぇ、王都に住めるなんてリッチだね」


 王都ってそういう認識なのか?

 日本でいうところの東京だし、他と比べて物価が高いのは感じているけど。

 今さらだけど、異世界生活一か月と少しで王都に家持ちって、中々の大出世なのでは?

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