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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第二章 出会いと妄想の新生活

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結婚、三人目③

 だが、現実は残酷だ。

 圧倒的な力の前には、なすすべもない。


「一分か。もったほうだろう」

「くっ……」


 全員がボロボロになり、地面に横たわる。

 辛うじて意識はあるが、誰一人として立ち上がることができない。

 剣も、盾も、暗記も、魔法も通じない。

 これが絶望なのか。

 俺の異世界生活はここで終わりなのか?


「まだ……だ……」


 諦めてたまるか。

 始まったばかりだろう?

 俺の人生はここからがスタートなんだよ!


「威勢だけでは世界は変わらない。力なくして、生き残ることもできない。お前たちに最初から、未来などない」

「――それはどうかな?」

「――!」


 声が響く。

 直後、壁がぶち破られ、俺たちの前に一人の騎士が立つ。

 俺よりも先に、彼女が反応した。


「――姉上?」

「よく耐えたわね。褒めてあげてもいいわ」

「大隊長アイギス? なぜここに……」


 同じ疑問を俺たちも感じた。

 可能性があるとすれば、彼女の指示で行動していたニーアか。


「遅い、アイギス」

「これでも急いできたのよ。間に合ったのだから文句を言わないで」

「ニーアが呼んでくれたのか?」

「そう。ここに来る前に」

「なるほど。援軍を呼んでいたのか」


 鎧に身を纏い、ランスと盾を構えたアイギスが黒い騎士を睨む。


「貴様……アダムストの幹部ね?」

「いかにも。そちらは名だたる大隊長の一人、アイギスだな」

「私を知っているのね」

「当然だろう。排除すべき対象だ」

「ふっ、面白い。やってみなさい」


 なんという殺気だ。

 この二人だけ、明らかにレベルが違う。

 アイギスが近くで倒れてる俺を睨み、吐き捨てるように言う。


「下がりなさい。死にたくないのならね」

「わ、わかりました」


 希望が見えた途端、俺の身体は動くようになった。

 全身痛いしボロボロだけど、まだ動ける。

 邪魔にならないよう距離を取る。

 その直後、アイギスはランスで突撃した。

 黒い騎士は剣で受ける。


「ほう、私の突進を受け止めたわね」

「予想よりは軽い」

「ふふっ、ここからよ!」

「――!」


 ジーナから聞いたアイギスの加護、『猛進』

 その効果は、止まらず走り続けることで突進力が上昇する。

 アイギスは受け止められてからも進み続け、さらに突進力を高めて黒い騎士を押し出す。

 止まれば硬くなる妹と、止まらず進むと威力が上がる姉。

 正反対のようで似ている姉妹だな。

 でもこれで――


「アイギスがいれば勝てるぞ!」

「……まだわからない」


 ニーアがぼそりと呟く。

 彼女の視線の先には、突進力を上げてもなお踏みとどまる黒い騎士がいる。


「中々重い。だが、この程度か?」

「くっ、なめるな!」


 アイギスは剣を弾き、がら空きになった胴体に突きを入れる。

 が、その突きすら鎧に弾かれてしまう。


「――! 何だと?」

「残念だが、この鎧はあらゆる物理攻撃を無効化する。お前に勝ち目はない」

「くっ……」

「姉上!」


 二人の戦いは明らかにアイギスが劣勢だった。

 レベル差もあるが、装備している鎧の性能が凶悪すぎる。

 物理無効ってなんだよ。

 何か弱点はないか?

 このままじゃじり貧でアイギスも負ける。


「降伏するなら受け入れよう。ただしその場合、咎落ちのおもちゃになってもらうが」

「ふざけるな! 辱めを受けるくらいなら死んでやる!」

「潔し。だが、哀れだ」

 

 俺は加護を発動する。

 無敵に等しい黒い鎧の弱点が、一か所だけ小さく光っていた。

 小さい。

 あれを狙ってどうにかなるのか?

 わからない……でも……。


「ララン! 協力してほしいことがある!」

「私の魔法だろ? けど無理だ。レベル差がありすぎて普通の魔法は通じない」

「何かないか? 一発限りとかでいいから高威力の魔法とか!」

「あるけど私の魔力じゃ足りないんだよ。加護で他人の魔力と共有できるから、魔力が多い奴がいれば……」

「だったら俺の魔力を使ってくれ! 多いらしいから!」


 俺はわかるように冒険者カードをみせた。

 レベルも王都を目指す途中であがって、今は25になっている。


「多いって……そのレベルで……! 私の倍以上あるじゃないか!」

「これならいけるか?」

「いける! でも、撃てても一発だ」

「十分! それからニーアだっけ! 君のも協力してほしいことがあるんだ!」

「――? 何?」

「私は逃げていいですよね? いいですよね?」

「いいわけないだろ!」


 俺は作戦を彼女たちに伝える。

 一世一代の賭けだ。

 成功するかどうか以前に、勝てるかも怪しい。

 それでもやるしかない。


「後ろが騒がしいな」

「っ……何をしている貴様ら! 早くこの場から離脱しなさい!」

「それはできない!」

「なんだと? 何を言って――」

「戦ってる女の子を置いて逃げるなんて、男としてできないってことだ!」


 俺はマジックボウを連射する。

 もちろん効果はない。

 一応魔法系の攻撃だが、威力が低すぎる。


「何真似だ? 悪あがきか?」

「その通りだよ馬鹿やろう! どうせ逃げられないならとことん暴れてやる!」

「馬鹿者! 自暴自棄になっている場合じゃないわ!」

「姉上! 私たちも戦います!」

「ジーナまで……」


 ジーナが俺の前で盾を構える。

 狙いは俺ではなく、ラランを隠すことだ。

 俺たちの役目は魔法発動まで、奴の意識を逸らすこと。

 カナタが素早さを駆使して背後に回り込み、鎧の関節部分を狙って攻撃する。

 サラスは全体の支援を担当中だ。


「くっそ硬いな!」

「無駄なことだ。ただの鎧ではないと言っただろう?」

「諦めるもんか! タクロウが諦めないうちは、あたしら全員やる気だよ!」


 カナタも、ジーナも、俺の言葉を信じてくれた。

 応えなければ男じゃない。

 俺の魔力の大半は、ラランの加護で譲渡された。

 膨大な魔力の揺らぎを、黒い騎士は察知する。


「――この気配は」

「準備できたぞ! 離れろみんな!」

「アイギス!」


 俺の叫び声に反応して、アイギスも後退する。

 ラランが両手を前に突き出し放つのは、最大火力の破壊。


「くらえ! ライツバースト!」


 高圧縮した光のエネルギーが黒い鎧と衝突する。

 光魔法は全属性の中で、魔法に対してのもっとも威力を発揮する特性を持つ。

 あの鎧が魔導具なら、光魔法は弱点になる。


「ど、どうだ……!」

「――悪くない威力だ」

「マジかよ……」


 黒い騎士は平然と立っていた。

 ラランの最大火力を受けて尚、鎧は傷一つ付いていない。

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