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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第二章 出会いと妄想の新生活

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同じ穴ってことですね④

「複数の女性と結婚……ありえない! そんなもの咎落ちと何ら変わらない!」

「い、いや、さすがに一緒にされるのは」

「黙れ性犯罪者!」

「ひぃ!」


 おっそろしい!

 怒号だけで心臓を爆発されそうな勢いがあって、しゅんと萎縮しまう。

 

「ジーナ、これは命令よ。今すぐこの男と離婚しなさい」

「――!」

「重婚を望むような男と結婚など、女として、騎士として恥よ。そっこく別れて目を覚ましなさい」

「姉上……」


 アイギスがジーナに詰め寄っている。

 離婚とか非常に困るんだが?

 この世界で離婚すると、十年は再婚できないんだろ?

 それって俺は死ぬってことだからな!

 ここは俺からびしっというべきか?

 

「うっ……」


 と思ったけど、今口出ししたら斬り殺されそうな気配を感じた。

 これは蛇に睨まれたカエルの気分か。

 俺の未来は、ジーナに託された。

 信じているぞ……。


「――できません」

「なんだと?」

「離婚する気はありません。たとえ姉上のお言葉であっても」

「――!」


 よし、いいぞジーナ。

 俺は心の中でエールを送る。


「私はタクロウのことを愛しています。この気持ちに嘘はありませんし、タクロウの運命も知った上で、結婚する道を選びました。この選択に後悔はありません」

「……本気で言っているのね?」

「はい。本気です。ですから私は、本日限りで騎士団を辞めます」

「え?」


 思わず声が出てしまった。

 ジーナは騎士団を辞めるつもりでいたらしい。

 そんな話、俺たちには一度もしてくれなかったのに。

 アイギスと一緒に驚く俺たちに、ジーナは申し訳なさそうに言う。


「すまない。ずっと考えていたんだが、踏ん切りがつかなかった。でも今決めた! 私はこの先もタクロウたちと一緒にいたい。そのための決断だ」

「ジーナ……」

「恥知らずね。騎士でありながら、市民ではなく惚気を選ぶつもり?」


 アイギスから厳しい言葉が飛び出す。

 寿退社を選ぶということは、騎士の立場を捨てるということ。

 今まで積み上げてきたものを、彼女は捨てる気でいた。

 それは簡単な決断じゃない。

 騎士団から逃げたことを、同僚からも非難されるかもしれない。

 ジーナはそれをわかった上で……。


「騎士団に所属しなくとも、市民を守ることはできます。私の意志は何ら変わりません。それに、タクロウたちと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。私はそう信じています」


 ジーナは自分の胸に手を当てながら、俺たちに向かって優しく微笑む。

 それは信頼の証。

 まっすぐな意思を感じ取った俺たちは、頷いて肯定する。


「そこまでする価値があるというの? 気の迷いではなく?」

「はい」

「……」


 アイギスが俺に視線を向ける。

 相変わらず鋭い視線で睨まれ背筋が凍るが、どこか試すような意志を感じ取った。

 彼女はすぐにジーナに視線を戻す。

 

「意志は固いようね。でも忘れているんじゃないかしら? 騎士団に一度入れば、自分の意志では脱退は許されないわ」

「え、そうなの?」

「ああ。それが騎士団のルールなんだ。辞める場合、上司の許可が必要になる」

「上司って」


 この場合は間違いなく、アイギスだろう。

 無理じゃないか?

 これだけ否定的なのに、許可が下りるのだろうか。


「姉上、許可を頂けませんか? 私は、私なりの立場で騎士を目指します。姉上の教えを無駄にするつもりはありません!」

「男にほだされた時点で幻滅しているのよ。私は」

「っ……」

「もういいわ。その程度の覚悟しかない人間は騎士団にいらない。抜けたいなら許可をあげる」


 意外とあっさり許可はもらえた。

 しかし捨てられたような言い方に、ジーナは俯いてしまう。

 俺も少し苛立った。

 覚悟なら十分にあるだろう。

 ジーナは決して、逃げているわけじゃない。

 今までだって、優秀な姉と比べられながら、腐らず研鑽を積み上げてきたんだ。

 それを一番近くで見ていたのは、彼女なんじゃないのか?


「何か言いたそうな顔ね」

「……どうして、そこまで男を嫌うんですか?」

「タクロウ」

「言ったでしょう? 男なんてケダモノしかいないの。あなたがその象徴よ」

「くっ……」

 

 正直言い返せる立場じゃない。

 だが、断じて咎落ちと一緒ではないとアピールしたい!


「俺は同意なく、女性を襲ったりはしません」

「そうです姉上! 初めても私から求め、タクロウが受け入れてくれたのです」

「ちょっ!」

「――! そう、もう手を出したのね」


 ジーナが余計なことを言ったせいで、俺へのヘイトが溜まった。

 アイギスは俺を睨みつける。 


「気が変わったわ。今のままじゃ許可は出せない」

「あ、姉上?」

「最後に騎士として任務を受けてもらうわ。許可を出すかは、それが終わってからにしましょう」

「に、任務の内容は?」


 ごくりと俺とジーナは息を飲む。

 アイギスはテーブルの上から一枚の資料を手に取り、ジーナに渡した。


「難しいものじゃないわ。やってほしいのは捜索よ」

「これは……」

「本人と交流もあったし、あなたに適任でしょう。大隊長アイギスとして命令するわ! 一週間以内に、失踪した名誉騎士ラランを連れ戻しなさい!」

「名誉騎士ララン?」


 誰だろう。

 しかも名誉騎士って、普通の騎士じゃないのか?

 失踪とか聞こえたんだが……。


「捜査には何を使っても構わないわ。期日までにここへ連れて戻りなさい。いいわね?」

「わかりました。タクロウ、カナタ、サラス、協力してくれないか?」

「当たり前だろ!」

「協力しますよ! 私の命もかかっていますからね!」

「一緒に頑張ろう、ジーナ」

「……ああ、ありがとう」


 ジーナは嬉しそうに涙ぐむ。

 その様子を、アイギスは意味深な表情で見つめている。


「もう行きなさい。私も忙しいのよ」

「はい。時間を取らせてしまい申し訳ありません。行こう、みんな」

「ああ、あ……」


 そうだ。

 一応初対面だし、ジーナのお姉さんだし。

 興味本位だが、見ておいて損はないよな?

 帰り際、チラッと加護を発動した俺は、アイギスの弱点を見つけた。

 煌々と、ある場所が光っていた。


 部屋から出て、ばたんと扉が閉まる。


「ジーナ」

「なんだ? タクロウ?」

「……姉妹だな」

「え? 何がだ?」


 弱点……一緒じゃんか。

 やっぱり気の強い騎士はあそこが弱いんだな!

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