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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第二章 出会いと妄想の新生活

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同じ穴ってことですね③

「ありがとうございました! 本当になんとお礼を言っていいやら」

「お気になさらないでください。騎士として、市民を守るのは当然の義務です」

「心強い限りです。我々は商店街で雑貨屋を営んでおります。お暇がありましたら、ぜひ立ち寄ってください。サービスいたしますので」

「ありがとうございます。ではまた」


 代表してジーナが行商人と挨拶をして、王都の門を越えたところで別々の方向へ進む。

 街で借りた馬車はここで返却する。

 レンタカーの乗り捨てみたいな制度がこの世界にもあるらしく、便利だ。

 俺は改めて、街並みを見回す。


「ここが王都……まさにファンタジーの街って感じだ!」

「ふぁんたじー?」


 カナタが首をかしげている。


「広くて派手で賑やかな場所ってこと」

「なるほどな! あたしもびっくりした! こんなに広いんだな! 建物も一つがでっかいしさ!」


 街並みを表現するなら、ヨーロッパのどこか。

 ロンドンの街並みを、もう少しファンタジーチックにアレンジしたような景色、とでも表現すべきだろうか。

 建物は大きく、道もしっかり整備されている。

 道行く人も、服装が近代的でおしゃれだ。

 同じ国の中でも、街が違うだけでここまで差が出るのか?

 俺たちの冒険者っぽい格好が逆に浮いている。


「三人ともこっちだ。騎士団隊舎まで案内しよう」


 俺たちはジーナの案内で騎士団の本部を目指す。

 宿を見つけたりするのは、報告が終わってからになりそうだ。

 まだ正午過ぎだし、時間的には余裕もある。

 報告がスムーズに終わったら、軽く観光でもしてみたいと思った。


「これだけ人が多いと、俺以外の転生者もいそうだな」

「いると思いますよ。割と普通に」

「そんなに?」

「はい。タクロウが来る前日も一人追加されていますし」


 全然レアリティーないな、転生者なのに。

 その人はちゃんと説明を受けて、身の丈にあった目標を掲げたのだろう。

 

「俺の天使ガチャはハズレなのに」

「ちょっとどういう意味ですか! ハズレってなんですか!」

「今さらだけど、俺たち騎士団の中に入って大丈夫なのか? 思いっきり部外者だけど」

「無視ですかぁ!」

「私がいれば問題ない。それに、今回の咎落ちの件の関係者だ。タクロウたちにも報告のため騎士団に入る権利がある」


 そうこうしているうちに、俺たちの眼前にはいかにもという建物が顔を出す。

 剣のマークを掲げられた白い建物。

 お城というのは小さいが、屋敷と呼ぶには広い。

 そんな絶妙な大きさの建物から、訓練に勤しむ騎士たちの掛け声が微かに聞こえる。


「中を案内しよう。ついてきてくれ」

「お、おう」


 なんか急に緊張してきた。

 報告って誰にするんだ?

 騎士団長とか?

 偉い人と会って話すと、正直苦手だから避けたいのだが……。

 そんなことを考えていると、隣でサラスがジーナに尋ねる。


「ジーナのお姉さんもいるんですよね?」

「――ああ、今から会うんだ」

「そうなんですか! ちょっと楽しみですねー!」

「……」


 どうやら報告は彼女の姉、アイギスにするようだ。

 ジーナの横顔を覗き込む。

 能天気なサラスと対照的に、緊張が見て取れる。

 身内ですらこの緊張感……果たして俺は上手くしゃべれるだろうか。

 不安を抱いた時、ふいに背後から呼び止められる。


「戻っていたのね、ジーナ」

「――!」


 びくりと反応したジーナが、すぐに振り返った。

 俺たちも続けて視線を向ける。

 背後には、ジーナによく似たロングヘアの女性が堂々と立っていた。

 ただ立っているだけなのに威圧感がある。

 俺たちは一瞬で確信する。

 彼女がアイギスだ。


「姉上……ただいま戻りました!」

「一か月かしら? たかが不審者の捜索に、随分と時間がかかったみたいね」

「も、申し訳ございません」

「いいわ」


 チラッと、俺と視線が合う。

 明らかに睨まれて、俺は怖くて視線を逸らした。


「話は中で聞くわ」

「はい」


 そのまま彼女の執務室に案内された。

 部屋に入るまで、全員が無言だった。

 珍しくサラスも空気を読んで、というか威圧感に負けていたようだ。

 普通にビビッて俺の後ろに隠れてやがったぞ。

 執務室に到着し、仰々しい大統領が待ち構えて良そうな椅子と机のセットがあって、そこにアイギスは座り、腕を組む。

 俺たちは彼女の前で横並びになる。


「それで、何か報告があるみたいね」

「は、はい! 捕らえた咎落ちについて詳しい説明を」

「それはもういいわ。報告書に目を通したら十分……私が知りたいのは、どうして男が一緒なのかしら?」

「ひっ!」


 ギロっと睨まれて、思わず情けない声が漏れる。

 それほどの圧力が、なぜか俺一人に向けられている。

 

「彼はヒビヤタクロウ、今回の件で協力してくれた冒険者と、その仲間です」

「ああ、報告にあったわね。転生者だったかしら」

「はい」

「それで? どうしてその男が一緒なのかしら? 報告ならジーナ、あなた一人で十分でしょう? それに……報告があってから戻ってくるのが随分遅かったわね?」


 アイギスは視線を俺からジーナに戻し、彼女に言葉で詰め寄る。


「申し訳ございません」

「謝罪じゃなくて理由よ。何をしていたのかしら? まさか、遊んでいたわけじゃないでしょうね?」

「……それは……」


 ジーナがごくりと息を飲む音が聞こえた。

 彼女は俺に一瞬視線を向けてから、覚悟を決めたような表情でアイギスに言う。


「姉上! 私は彼と、タクロウと結婚しました!」

「……は?」

「それが帰還が遅くなった理由です!」

「……冗談でしょう?」

「い、いえ、本当です」


 俺とジーナの指には、証拠たる女神の指輪がはまっている。

 アイギスの視界がそれを確認し、俺のことを睨みつける。


「この男と……? 頭でおかしくなったのかしら? ジーナ」

「――! 姉上……」


 明らかに彼女は怒っていた。

 眉間にしわを寄せ、苛立ちが全身から溢れ出ている。


「教えたはずよ。男なんて全てケダモノのゴミ以下なの。しかも冒険者なんて野蛮な連中の……こんなパッとしない男と結婚なんて、正気とは思えないわね」


 な、なんだこの女!

 初対面でその物言いは酷くないか!

 確かにパッとしないしイケメンではないけどさ!

 不細工ってほど酷くもないと思っているぞ!

 たぶん!


「おい、タクロウのことを悪く言うなよ」

「カナタ!」


 俺の心の声を代弁するように、隣に立っていたカナタが口を開く。

 凄いなカナタは。

 この状況で反論できる胆力がある。

 ジーナは驚きと焦りを表情に見せていた。


「いくらジーナのお姉ちゃんでも、タクロウのことを馬鹿にするのは許さないぞ」

「お、おいカナタ」

「ジーナだってムカつくだろ? あたしらの夫が馬鹿にされたんだぞ!」

「あたしら……!」


 アイギスの視線は明らかに、カナタの左手薬指に向けられていた。

 同じ指輪をカナタもしている。

 男は一人、結婚指輪をしている女は二人。

 この状況を、すぐに理解できる人間は少ないだろう。


「説明をしてもらうわよ、ジーナ」

「は、はい」

 

 ジーナは怯えながら、俺が転生者であり加護の力で複数の女性と結婚できること。

 自分だけじゃなく、カナタも俺と結婚していることを伝えた。

 さてここで問題だ。

 この世界は愛に厳しい。

 そしてアイギスはどう見ても男が嫌いだ。


 この後の反応は?


「クソ男ではないか貴様ぁ!」


 ブチギレである。

 わかってましたよ!

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