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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第二章 出会いと妄想の新生活

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いざ旅立ちの時④

「早急に何か手を考えないと……くそっ! 女神の祝福なんてなかったらでっち上げられるのに!」

「タクロウ、それはさすがに騎士として見過ごせないぞ」

「大丈夫だって。タクロウは悪いことできない人間だと思うから」

「そうですよ。この男は口だけでかくて大したことない人間の典型なんです」


 なぜかいつの間にかサラスが俺たちの部屋に合流していた。

 いつもなら悪口に速攻反撃するところだが、今はこんなアホに構っている時間も惜しい。


「どうすればいい? 何が最適だ?」

「なんだかブツブツ言い出しましたよ。この男」

「必死になるのもわかるよ。あたしもタクロウには死んでほしくないからな」

「うむ。タクロウには生きて私たちと共にいてもらわないと困る。だから私たちも一緒に考えよう! タクロウの悩みは、夫婦の悩みだ」

「そうだな!」

「カナタ、ジーナ……うっ」


 また泣きそうになってしまう。

 二人と結婚できて本当によかった。

 この先もずっと、二人と過ごしたいと心から思う。

 そのためには目標を達成し、生き延びなければならないんだ。


「出会いのなさが一番の問題だ。今のエンカウント数じゃそもそも足りない」

「それは単にタクロウがモテないだけなのでは?」

「そういうお前はまともなサポートをしろ! 女神様こいつクーリングオフしてくれ!」

「酷いじゃないですか! 私だって頑張って考えてるんですよ!」


 女神の安心サポートサービスで一緒に異世界にやってきた天使のサラス。

 本来ならば序盤、彼女が上手くサポートして俺を導いてくれるはずなのだが……。

 今のところデートの心構え以外でまったく役に立っていない。

 恋愛相談だけが得意の天使って、もはやただの女子高生じゃないか。


 悶々と悩んでいると、ジーナが提案をする。


「そういうことなら、王都に行くのはどうだ?」

「――王都?」


 彼女はこくりと頷いた。

 王都とはその名の通り、俺たちがいる国の主要都市。

 日本でいうところの東京みたいな場所だ。

 ジーナは王国に属する騎士の一人で、この街に訪れる前も王都にいたらしい。


「先の咎落ちの件は手紙で報告済みだが、直接詳細を伝えたいとは思っていたんだ。そのためには王都に一度戻らないといけない。いつにしようか迷っていてな」

「そっか。ジーナってあたしらに協力してくれてるけど、所属は騎士団なんだよな」

「ああ、その通りだ」

 

 パーティーへの加入は、戦う資格をもつ職業なら誰でも可能だ。

 ジーナは騎士団カードを持っていて、その中身はほぼ冒険者カードと同じ仕様になっている。

 騎士だからクエスト報酬はもらえないけど、クエストに参加する分にはギルド側も干渉してこない。

 

「どうだろう? もしタクロウたちがよければ、一緒に王都まで来てくれないか?」

「俺はもちろんいいぞ」

「あたしも! 王都って行ってみたかったんだ!」

「いい宿を探しましょう!」


 三人とも速攻同意して、王都行きがほぼ確定する。

 ジーナは安堵と嬉しそうな表情を浮かべて、俺に優しい視線を向ける。


「よかった。タクロウと結婚したことも、姉上に報告したかったんだ」


 あ、そういうイベントもあるのか。

 俺としても、娘さんを貰ったわけだし、挨拶はしておきたいところだが……。

 ジーナのお姉さん、アイギスだったか?

 話を聞いている感じ、とても厳しそうなイメージがある。

 余計な波風が立たないといいのだが……。


「ま、会えばわかるか。よーし、そうと決まったら王都行きの準備をするぞ!」

「「「おー!」」」


 元気よく掛け声が響き、俺たちは朝の仕度と宿屋を退出する準備を始めた。

 一か月ほどお世話になった場所を、一時的かもしれないが出ていくのは名残惜しい。

 宿屋の店主にお世話になった挨拶をすると、すごくいい笑顔で見送ってくれた。

 またのご利用をお待ちしております、とかは一言もなかった。

 どうも俺たちのふざけた噂が宿屋の店主まで届いているようで、余計なトラブルを起こしたくないと思っていたのだろう。

 この街で唯一の安住の場所だと思っていたのに……。

 朝からショックを受けながら、冒険者ギルドに向かった。


「――というわけで、王都に行くのでしばらく留守になります」

「そうなのですね。お気をつけていってらっしゃいませ。王都にも冒険者ギルドはございますから、クエストを受けたい際はそちらをご利用ください」

「はい。いろいろお世話になりました」


 俺たちは受付嬢に事情を説明し、出発前の挨拶をした。

 最初の頃は表情に嫌々オーラが滲み出ていたが、さすがプロの受付嬢だ。

 もう慣れただけかもしれないけど、俺と目を合わせて話してくれる数少ない人物ではある。


「お? 聞いたか? 変態が街を出ていくらしいぞ」

「マジか! やっといなくなってくれるのかよ」

「え、いや……また戻って――」

「やっとなのね。これで街にも平穏が戻るわ」


 俺たちが街を出る話を、周囲の冒険者が聞いて騒ぎ出す。

 ほぼ全員の口から、出て行ってくれてありがとう的な声が聞こえるのだが……。


「あいつが来てからロクなことねーからな。性獣のうえに疫病神って最低かよ」

「本当よね。二度とこないでほしーわ」

「出てイケー、出てイケー」

「くっ……こいつらぁ……」


 なんてひどい連中なんだ。

 一度は一緒に街を守るために戦ったのに。

 若干この街にも愛着が湧いて、今回も終わったら戻ってくるつもりだったのだが、俺の中でその気が失せた。

 この街に、最初から俺の居場所なんてなかったんだ。


「俺がいなくなった後に滅びてしまえ! チクショウー!」

「あ、ちょっ、タクロウ!」

「待ってくれ! 私たちは味方だぞ!」

「大丈夫なんですか……この先不安なんですけどー」


 俺は最後に呪いの言葉を盛大に残し、一か月を過ごした街に別れを告げた。

 果たしてこの先、どんな出会いが待っているのか。

 せめて誤解のない人生を歩みたいところだ。

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