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【第一章完結】抜きゲーみたいな世界に転生した童貞〔オレ〕は嫁を100人作ると決心した! ※決心しただけなので出来るとは言っていない。でも出来なきゃ死ぬらしい……  作者: 日之影ソラ
第一章 転生したけど死にそう

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一難去ってまたですか④

「っ……」

「ジーナ!」


 ジーナが膝を突く。

 構えていた盾はヒビが入っていて、彼女が手放した直後に砕けてしまった。

 鉄の盾が砕けるほどの攻撃を、長い間防御し続けていたのだ。

 

「平気だ……問題ない。私のことはいいから、怪我人の手当てと……周囲の安全確認を……」

「よくないだろ」

「そうだよ! まずは自分の治療が先だ!」

「カナタのいう通りだ。サラス、ジーナに治癒魔法を頼む」

「はいはーい! お任せですよー」


 サラスがジーナに治癒魔法を施す。

 見た目の傷はないが、あれだけの攻撃を受け続けたんだ。

 腕も足もボロボロだろう。


「骨折とかしてるんじゃないか?」

「ヒビは入っているかもしれない……少し、左手が痛い」

「マジか。そんな状況でよく耐えたな」

「私は騎士だから、痛みに耐える訓練もしている」


 騎士っておっかないな。

 そんな訓練があるのか……冒険者でよかった。


「……情けないな」

「え?」


 ジーナが弱音を漏らす。

 その横顔は悔しそうで、寂し気だ。


「私一人じゃどうしようもなかった……どころか、皆が助けてくれなければ今頃……」

「あれは仕方ないだろ。俺だって偽物なことに気づけなかったし」

「私は気づきましたよ!」

「お前は黙って治療してろ」

「なんでぇ!」


 気づいたのもギリギリだった癖によく威張れるな。

 あと今話に入られると拗れそうだから、とりあえず黙っていてほしい。


「騎士は守るために存在している。それなのに、私は守られてばかりだ」

「そんなことないじゃん! ちゃんとあたしらを守ってたろ?」

「そうだぞ。ジーナがいなかったら今頃全員ミンチだ。騎士としてしっかり守ってくれてたよ」

「……だが、姉上ならもっと上手くやれていただろう」


 ジーナは夜空を見上げる。

 姉のことを思い浮かべながら、遠い星々を見つめる。


「私の加護を見ただろう? 動けば効果が途切れてしまう。防御が硬いだけで、一人では何もできない」

「いや、十分すぎるだろ。あれだけ攻撃を耐えれたら大したものじゃないか」

「姉上なら一人で戦える。あの程度のモンスターにも苦戦しない。レベル差じゃない……才能の差があるんだ。私はいつまだたっても……姉上に届かない」


 吐き出されるのは劣等感ばかりだった。

 ひしひしと感じる。

 彼女がどれほど、優秀な姉と比べられ、劣等感を抱いてきたのか。


「私なんていても変わらない。彼に言われた通りだ。私じゃなくて……姉上が来ていれば、もっと早く解決していただろう」

「――でも、ここにいるのはジーナだろ」

「え?」

「間違えるなよ。今日ここで、骨が折れるまで頑張ったのは誰だ? お前じゃないか」

「……タクロウ?」


 柄にもないことを言おうとしている。

 他人の俺が、彼女の葛藤に口出しするのは無責任だとも思う。

 それでも、口は勝手に動いた。


「お前の姉がどんな凄い奴なのかは知らない。俺は転生者だからな。会ったこともないし、噂すら聞いたことがない」

「それはそうだろう。会えばわかるよ。私とは全然違う」

「違うのは当然だろ? 姉妹だからって、何もかも同じなわけあるか。姉は姉だし、ジーナはジーナで、それぞれに得意不得意はあるんだよ。適材適所って言葉を知らないのか。あーいうことをいう連中は!」

「タクロウ?」


 他者と比べられ、どうしてお前はできないのか。

 あいつに比べて無能だと、影で言われる苦しみは知っている。

 集団行動は当たり前。

 輪を乱したり、ついていけない奴が悪者になる。

 勝手に比べられて、無能の烙印を押されて……いい迷惑だ。


「あーえっと、何が言いたいかっていうとだなぁ」

「……」

「今ここにいたのはジーナで、頑張ってのもジーナだ。お前がいなきゃ俺たちは死んでいたかもしれない。だからジーナ、お前がいてくれてよかったよ」

「――!」


 俺は恥ずかしながら感謝を告げた。

 それを聞いたジーナは両目を大きく見開く。


「……先に助けられたのは、私だ」

「そうかもな。別にいいじゃないか。完璧な奴なんていないんだし、助け合えばいいんだよ」

「助け合い……姉上なら、群れることは弱さだと言うだろうな」

「なんだそれ。そんなわけないだろ? 他人を頼ることだって勇気がいるんだ。それに助け合いだぞ? お互いに長所を活かし、短所をカバーする。それのどこが弱いんだ。お前の姉ってコミュ障か? だったらジーナのほうがコミュ力は上だな」

「あ、姉上を馬鹿にするな! 確かに口下手な人だが!」

「別に馬鹿にしてないよ。けど、そうやって不得意もあるんだろ? だったらそれでいいじゃんか。俺たちはどれだけ頑張っても、自分以外にはなれないんだから」

「――!」


 そうだ。

 俺は俺でしかない。

 天才じゃない俺は、憧れる誰かには決してなれない。

 努力してたどり着ける先は、自分という人間の延長でしかない。

 それでいいんだよ。

 

「自分でしかない……か。そういう考え方もあるのだな」

「悪くないだろ?」

「……そうかもしれない。タクロウ」

「なんだ?」

「ありがとう。私に……感謝してくれて」

「変なこというな? 感謝されて感謝するって」


 ジーナは笑う。

 いつも気を張っていて不愛想だった彼女が、初めて笑顔を見せた。

 なんだ。

 ちゃんと笑えるし、綺麗な笑顔じゃないか。


  ◇◇◇

 

 後日談。

 あの後、ギルドと協力して街の修繕と、攫われた人たちの捜索が始まった。

 ジーナが囚われていた部屋には地下があり、そこに囚われていた。

 幸いなことに手を出される前だったから、彼らは治療を受けた後で普通の生活に戻れるだろう。

 もちろん、失われてしまった命は戻らない。

 犯人は自滅して、誰が罪を償う訳でもなく、事件は解決した。

 少々もやっとするが、これで平穏な街に戻った。

 そして一つ、大きな変化が訪れる。


 いつも通りに冒険者ギルドに顔を出すと……。


「よぉタクロウ! 昨日は大活躍だったじゃねーか!」

「お前はやる奴だって信じてたぜ!」

「お、おう。どうも」


 明らかに皆の態度が変わっていた。

 つい昨日まで変態扱いしていた奴らが、俺のことを評価している。

 彼らは昨夜の戦闘で、俺と一緒に戦った冒険者だ。

 一緒に戦い、死線を越えたことで、俺への数々の疑いが晴れたらしい。


「調子のいい人たちですねー」

「まったくだよ! 昨日までタクロウの悪口ばっかりだったのに!」

「まぁいいじゃないか。ようやくこれで普通に暮らせる」


 長かった。

 本当に……毎日罵声を浴びせられ、ごみを見るような視線で見られ。

 首輪はあるのに人権なんてほぼないみたいな扱い。

 ついに風評被害からも解放される。


「ヒビヤタクロウ!」

「――あ、ジーナ。昨日はお疲れ」


 昨夜の功労者が顔を出す。

 彼女はよく頑張ってくれたし、初めて笑顔を見せてくれたのも印象的だ。

 もう俺のことを疑うことはないだろう。

 そうなったら、彼女は王国騎士団に戻ることになるだろうな。

 少し寂しいが、いつかどこかで会える日を期待しよう。


「タクロウ、貴様には責任を取ってもらう」

「え? 責任?」

「昨夜、私の胸を見ただろう!」

「ふぐっ!」


 突然の爆弾発言。

 ギルド内がざわつく。


「胸だと?」

「まさかタクロウ……既婚者の癖に?」

「お、おい! あれは不可抗力で」

「そんなことは関係ない! 女が男に胸を凝視された……あれはれっきとしたセクハラだ」 

「凝視はしてねーよ!」


 周囲の視線が冷ややかになる。

 さっきまで友好的だった奴らが、一歩下がってぼそりという。


「最低だな」

「違っ!」

「タクロウ! 貴様には責任を取って――」

「だから俺は――」

「私と結婚してもらおう!」

「……へ?」

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