第七話 盗賊王に、私はなる!
街から逃走して5時間、私は洞穴の中にいた。正確に言うと私が掘った洞穴だ。
何処にあるかというと、私が逃げたジリヌスの街から北にある街との間に存在する森の奥だ。
一応街道からは結構離れているので見つかることはないと思う。
ここを当面の拠点にすべく今はここの設営中だ。
「後はここを掘れば…よし、これで洞穴はできたっと」
洞穴が完成したので後は内装を整えていく。
幸い、自分がやっていた数少ない生産職の一つに家具職人があったので、家具は豊富にあり、転売用に購入しておいた建材も多少あるので内装を整えるぐらいはできるだろう。
入口はあまり目立たないように古い感じのドアを付け、床は木材風のフローリングを張って内壁も木材風にして合わせる。天井には灯りとしてシャンデリアを設置し、リビングルームにはお気に入りのテーブルや椅子、ソファを置いて、ランプや無限に水が出る水瓶をおく。
だいぶ
それから、ここでやる仕事のための部屋を作っていく。
まずは入口にカウンターと椅子を設置して来客対応ができるようにする。
次に保管庫。これは仕事で得たものを置いておくための部屋なのでスペースだけ確保し、特になにも置かない。
最後に捕虜収容室(牢屋とも言う)は男性用と女性用に分け、男性用は石材風フローリングに粗末なベッドだけ。トイレはおまるで十分だろう。
女性用はちゃんと木材風フローリングに鏡台、ちゃんとしたベッドにお風呂と水洗式トイレを設置する。
奥の寝室には身だしなみチェック用の鏡台に天蓋付きのプリンセスベッドとテディベアのぬいぐるみを置く。
両隣の部屋はバスルームとトイレになっている。
ちなみにトイレの内容物とかお風呂の残り湯とかは自動で処理されるようだ。
後は調度品として、暖炉やECOの登場したボスの石像、観賞植物を置いて完成だ。
「いい感じの拠点になったでしょ」
外から見ると洞窟に粗末なドアがあるだけだが中に入るとカウンターがあり、さらに進むとちゃんとしたした居住空間がある。まさに私にふさわしい拠点と言えるだろう。
ここまででもうなんとなく私が何をするか検討がついていると思うが、改めて言おう。
「盗賊王に、私はなる!」
すでに私は犯罪者なので、好きに生きる上での制約もない。盗賊として名を挙げるのもいいだろう。
「というわけで次は闇商人探しかな」
闇商人というのは便宜上そう呼んでいるだけで、要するに盗品や捕虜を売り払える商人だ。
こういった品を自ら売り払うのは骨が折れる。真っ当な商人や奴隷商人はこんな物など買ってはくれないだろうし、そう言った物を買ってくれる商人の知り合いなどいない。
ラブルク?彼は真っ当な商人っぽいのでこういうことは無理だろう。
ではどうするか?知らないのなら知ってる人に聞けば良い。ということで
「盗賊探し、しますかぁ!」
自分が盗賊なのにどうしてそんなことをするかというと、盗賊ならばそういう相手を知ってそうだからだ。
とはいえ、今日はもう遅いので盗賊探しはまた明日、ということで今日はもう寝るとする。
久しぶりのちゃんとしたお風呂に入れた。
「ふぅ」
思わず声が漏れるぐらいには気持ちよかった。
この世界の技術レベルから見て、こんなお風呂に入って天蓋付きのプリンセスベッドで寝るなんてそれこそお姫様ぐらいだと思う。
そう考えると宿とかで暮らす冒険者生活より、好き勝手できる盗賊暮らしの方が私の性に合ってるかもしれないな。
次の日、目を覚ました私は早速盗賊を探しに行く。
もう自重する必要はないのでゲーム内と同じ、フル装備を身にまとう。
「やっぱりこの装備が一番だよ。何というか、魂に染みついてる感じがする」
というか、もう体の一部のような感覚まである。盗賊の装備としてはあまりにも禍々しいが気にしてはいけない。
「さて、まずはどこを探そうかな」
盗賊の居場所の定番は街道沿いに待ち伏せしている、もしくは私のように森の中に拠点があるといった所だと思う。
であれば私が超絶美少女であることを生かして街道をひたすら歩くのがいいと思ったので暫くはそこを巡回することにした。
え?衛兵とか冒険者に見つかったらどうするのかって?その時はまぁ…身包み剥がした上で行方不明になってもらいましょうか。私は無慈悲で凄腕の盗賊ですからね。致し方ありません。
というわけで盗賊探しの日々が始まった。
一日目
鎧をぬいで一般人の服を着た状態で取り敢えず森から出ない範囲の街道を歩いた。
ひたすらに歩くがいくらたっても盗賊らしき姿はなく、冒険者グループとすれ違ったのみ。ちなみに彼らは私に気付かなかったので行方不明にはならなかった。
二日目
一日目と同じように一般人の服装をして歩く、今日は誰も通らなかった。その代わりにゴブリンを数体見つけた。サクッと処理して埋めておいた。その時の返り血で服が汚れてしまった。
三日目
今日は昨日洗濯した服を乾かしていたので鎧を装備して巡回した。そろそろ食料が心もとないと思っていた矢先、運よくその日は荷馬車に乗った商人が通った。それだけだったら食料が積まれているかも不明だったし、奴隷商人だったりすると戦利品の保全に食料消費が増えて面倒だったので見逃して上げても良かったのだが、護衛に冒険者が付いており、そいつらが私の手配書を見ていたらしく私が手配犯だとばれてしまった
欲を出して襲ってきたので図らずも盗賊としての初仕事になった。相手は四人パーティーで長剣持ちと曲剣持ちの剣士二人に槍士一人、魔法使い一人の構成だった。
先手必勝ということでまずは剣士のうち長剣を持っている方へ一気に距離を詰めて刺し殺す。そしてそのまま死体を盾にして魔法使いの火魔法による攻撃を防ぐ。
次のターゲットを探すと、まだ経験が浅いのか腰が引けている槍使いがいたので爆風に紛れて飛び込んで上半身と下半身を別れさせる。その時背後から雄叫びを上げて曲剣持ちが切りかかってきたので振り向きざまに切り上げる。
最後に残った魔法使いが放った水属性の魔法をよけて彼が持つ杖ごとぶった斬る。
護衛を片付けて荷馬車の方を見ると全力で逃げ出していたので走って追いつき、捕らえた。
護衛として雇うだの逃がしてくれれば金をやるだの色々言っていたが、荷馬車の中身が食料だったことで生かす必要がなくなったので口封じのため、行方不明になってもらった。
護衛の死体はお金や武器などの目ぼしい物を回収したのち、燃やして埋めた。冒険者カードを見ると槍使いだけDランクで残りはCランクでかなりの中堅どころのパーティーだったようだ。
正直、たいしたことないなというのが感想だった。
今回の仕事で得た一覧は
金貨3枚
銀貨36枚
銅貨120枚
長剣一本
曲剣一本
食料一か月分ぐらい
だった。肉類はなかったが、野菜は豊富にあったので暫くは食事に困らないだろう。肉が食べたきゃ狩りをすればいいし。
とはいえ、第一目標である盗賊の発見ができてないため、明日も巡回しないとなぁと思いながら食料の不安が解消できたので心安らかに寝ることができた。
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