第七話 シェーナ①
朝食を終え、プリオーリ宮殿前で別れを惜しみます。
モンタルチーノ子爵夫妻から、何度も感謝の言葉を伝えられます。
再訪を約束し笑顔で別れます。
高速馬車に揺られます。
次に訪れた時、街は賑わい活気づいている事を心の中で願います。
シェーナ街が見えてきます。
東門を通過して、真っ直ぐプッブリコ宮殿を目指します。
ソプラ通りを西進し、カンポ広場の中程で馬車がとまります。
トツカーナ伯爵邸こと、プッブリコ宮殿に到着します。
ソフィとの楽しい旅が終わります。
馬車から降りて、旅の同行のお礼を伝え、次はクロッセート子爵領に行こうと盛り上がります。
ソフィとバーヤさんと別れ、二人を見送ります。
馬車を伯爵家の馬丁に預け、ジーヤと歩いて帰ります。
僕達に気付いたワカバが、母さまに知らせに走ります。
別邸離宮の入口に、笑顔の母さまと、サーラ、エリザ、アンナ、ニンジーノ、ワカバが姿を見せます。
僕は嬉しくなって駆け出します。
「母さま〜〜〜」
母さまは僕を抱き上げます。
僕も母さまに抱きつきます。
大きなお胸に挟まれます。
なんとか、気道の確保に成功します。
僕は「ハッ」っとします。
最近、女性のお胸に目が行くのは、以前、母さまのお胸に挟まれてからだと気付きます。
男としての成長を実感します。
同時に【母なる宇宙お胸】の偉大さを知ります。
次の旅の時、まだ見ぬ高峰に出逢える事を心の中で願います。
「母さま、ただいま戻りました」
「お帰り。私の可愛い子」
食堂に皆が集まります。
まず母さまに、モンタルチーノ夫妻から預かった手紙と
『ブルロッソ ディ モンタルチーノ』
ラベルの最高級赤ワインを渡します。
「当たり年のブルロッソね♪」
母さまが嬉しそうです。
他にも、別邸用に預かったお土産をテーブルに広げます。
高級赤ワイン『ブルロッソ』、
モンタルチーノ産ハチミツ、
ポポロ広場に面した喫茶店『ポポロ ディ ポロリ』のよく冷えたジェラートです。
ハチミツは、知る人ぞ知るモンタルチーノの隠れた名産品です。
「サーラ、早めのお茶にしましょう」
「かしこまりました、アリアンナ様」
母さまと料理長サーラの声が弾みます。
いつもより賑やかなティータイムになります。
「温泉地でアレンツォ子爵令嬢アリーチェさんに、会えて友達になったんだ」
「あら、アレンツォ子爵令嬢と会えたの」
「うん。アリスはとても上品な良い娘なんだ」
「執事のジジーノ殿とも繋がりが出来たわぃ。偶然の不思議な縁じゃ。幸運アイテムのお陰かのぅ」
楽しい時間を過ごします。
やはり皆と一緒だと落ち着きます。
ティータイムを終え部屋に戻ります。
マジックバッグから不良品アイテム、三十点を取り出します。
ベッドの上に並べます。
一気にリペアします。
一つの可愛い小物が気になります。
縦十五センチ、横十センチ程の縦長の鳥かごです。
中の横木に五センチ程の小さな鳥がとまっています。
リペア前には、居なかった金属製の鳥です。
色合いから、様々な金属が使われているのがわかります。
鑑定結果
「金属製のカラクリ鳥」
良品
【気まぐれの銀梟】
助言 5%
50,000ゴルド
稀に定型文を話す。
「えっ、君はお話出来るの?」
返事はありません。
「気まぐれのフクロウか。何て話すのか気になるな〜」
【気まぐれの銀梟】は鳴くまで待とうと思います。
カエルのリュックの右前脚に括り付けます。
「可愛いから、名前を付けちゃおうかな。そうだな〜、アルジェントにしよう。君は今日からアルジェントね」
鳥かごの中の、アルジェントがキラリと輝きます。
復活した【古代の逸品】をマジックバッグに入れて、お店に向かいます。
「フォルトゥーナ、ただいま。今日は僕が手綱を握るから、よろしくね」
そう言って、フォルトゥーナの綺麗な首スジを撫でなでします。
フォルトゥーナが「ヒヒィ〜ン」と気持ち良さそうに鳴きます。
御者台に座って手綱を握ります。
横には馬丁長のニンジーノが座ります。
フォルトゥーナ号がパカパカ進みます。
「トキン様は、御者の才能がありますぜ。馬と心を通わせる才能です。これを教えるのは難しいですが、トキン様には教える必要がない。ははは」
ニンジーノが褒めてくれます。
お店の裏口に着きます。
鍵を開けて中に入ります。
ヒロン、ホホン、ビアンカ、ジュリアがいます。
「みんな、ただいま」
笑顔で再会を喜びます。
お土産のジェラートとハチミツは大好評です。
ヒロン達が集めた【逸品】素材と「一般品」素材をマジックバッグに入れます。
扉が開いてセドポンも笑顔をみせます。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
お気付きの方もいるかと思いますが、ストックが無く予約投稿できておりません。
毎日投稿が途切れたらごめんなさい。
頑張ります。