第六話 モンタルチーノ⑥
プリオーリ宮殿に帰ってきます。
【古代の逸品】専門店の場所が決まります。
赤ちゃんのロッソ君が、只者では無いことを知ります。
ティータイムも美味しく楽しめました。
ソフィとアンナおば様は、大工さんが来たら現地で店舗改装の打ち合わせです。
僕は部屋に運び込んでもらった、モンタルチーノ産の素材の選別とリペアです。
一人で部屋に篭ります。
木箱二つに素材が入ってます。
その他に、ある程度、姿、形を保った小物雑貨(不良品)が三十点ほどあります。
三十点の不良品はマジックバッグに入れて持ち帰ります。
シェーナ街でリペアして、フィレンツ街のポーロ商会で売ります。
二つの木箱を覗き込みます。
【逸品】素材と、「一般品」素材にきちんと分けてくれてます。
買取人さんが目利きなのがわかります。
一般品素材は麻袋に入れて持ち帰ります。
シェーナ街でリペアして、僕がオーナーを務める、サリンベーニ商会で売ります。
【逸品】素材を床に並べて行きます。
全部で六十点ほどあります。
ほぼ原形を留めていない、部分的な素材ばかりです。
これならスキルもバレないと思います。
リペアして『アンティーク通り』で売ります。
一気にリペアします。
スキルランクがMAXになり、複数同時リペアが可能になったのです。
「『修復』」
続けてもう二回、リペアを唱えます。
無事、全てのアイテムがリペアされます。
残念ながら幸運アイテムはありません。
鑑定書を作成していきます。
今後も【古代の逸品】は、まず僕のお店『トキンの虫眼鏡』に持ち込まれることになりました。
僕かセドポンが鑑定書を作成して、モンタルチーノに馬車で持ち帰り、お店に並ぶことになります。
そうする事で、アイテムの知識がない、街の若い人も店員さんとして雇えます。
そう考えると、セドポンの存在は大きいです。
今後、お店を任せて、一人旅が出来るのも、店番してくれるセドポンのお陰です。
姉のセドミンと一緒に、僕、直属の家人となってもらい、正解だったと思います。
お土産買って帰ります。
ようやく鑑定書の作成が終わります。
面白い効果の【古代の逸品】が揃ったと思います。
今から『アンティーク通り』の開店が楽しみです。
お店で拾った小石を、ポケットから取り出します。
どちらも五ミリ程の小さなものです。
鑑定してみます。
鑑定結果
「銀のヘアピン」
不良品(割れ)
【雪結晶の髪飾り】
魔力+0 (0/10)
10,000ゴルド
樹枝六花結晶の髪飾り。
「青金石のブローチ」
不良品(割れ)
【ラピスラズリの胸飾り】
幸運+0 (0/1)
13,000ゴルド
緊急リペア案件です。
鑑定結果
「銀のヘアピン」
良品
【雪結晶の髪飾り】
魔力+10
100,000ゴルド
樹枝六花結晶の髪飾り。
「青金石のブローチ」
良品
【ラピスラズリの胸飾り】
幸運+1
130,000ゴルド
どちらも見惚れるほどの綺麗なアイテムです。
まずは【雪結晶の髪飾り】です。
銀製ヘアピンの端に、六角形の装飾があります。
中心から枝が上下左右対称に伸びる結晶模様です。
とても上品な髪飾りです。
僕は一人の女の子を思い浮かべます。
友達になれた記念として、贈るのも良いかも知れません。
そして【ラピスラズリの胸飾り】幸運+1です。
にっこりが、ニンマリになりそうです。
幸運アイテムを入れ歩いている【山葡萄の編み袋】幸運+1から【銀細工の宝石箱】幸運+1を取り出します。
中から一つの幸運アイテムを取り出します。
僕が初めて手に入れた、幸運アイテムの一つと、新たに僕の元に来てくれた一つを、小さな麻袋に入れます。
鑑定結果
【【幸運の装身具(青金石)共鳴】】
【ラピスラズリの袖留め】
【ラピスラズリの胸飾り】
幸運+4
やはり、発光現象が起きます。
新しい「共鳴」の組み合わせを手にします。
これを求めて各地を旅することを決めたのです。
「ふぉふぉふぉ、やめられんのぅ」
思わずジーヤのモノマネをしてしまいます。
しばし、にっこり、ニマニマの時間を楽しみます。
人に見られては、いけない顔になっていると思います。
コン、コンッ♪
ドアがノックされます。
顔を戻して返事します。
「は〜い」
ドアが開かれ、ニコニコのソフィが顔を見せます。
「トキン、夕食前に鐘楼塔へ行きましょう。この時期の夕日は、お勧めだって、おば様が言うの」
僕はにっこり頷きます。
手を繋いで二人で向かいます。
鐘楼塔の急階段を登ります。
鐘楼のある展望台に着きます。
オリーブとブドウの畑が一面に広がる丘陵を夕日が覆います。
雲が炎のように輝きます。
丸めた干し草の長い影が伸びます。
明日の朝一番で、シェーナに帰る事を残念に思ってしまう。
そんな田舎街です。