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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
ベニス編
52/64

第三十八話 ベニス26

 鑑定屋さんに着きます。

 お店の前に一人の少年がいます。


 馬車から、僕だけ降ります。

 フォルトゥーナ号は、お店の裏手にまわります。


「やあ、ピッピーノ。来てくれたんだね」


 僕はにっこり声をかけます。


「はい、トキン様。今日からお世話になります。よろしくお願いします」


 ピッピーノが、礼儀正しくお辞儀します。


「うん、よろしくね。さあ、中に入って」


 お店の中に入ります。

 裏手から、エリーゼとクワッドが入ってきます。


「みんな、新しい仲間のピッピーノ。この若さで、ソロBランクの凄腕冒険者なんだ。船頭と護衛をメインにやってもらう予定だからよろしくね」


「ピッピーノです。よろしくお願いします」


 ピッピーノが頭を下げます。


「ピッピーノ、二人を紹介するね。まずは僕の専属メイドのエリーゼ」


「エリーゼです。よろしくお願いします」


「エリーゼさん、よろしくお願いします」


「クワッドとは、昨日会ってると思うけど、ピッピーノの先輩になるから、よろしくね」


「クワドリフォーリオです。クワッドと呼んでください」


「クワッドさん、よろしくお願いします」


「じゃ、座ってお話しよう。ピッピーノのこと教えて」


「トキン様、お茶をお淹れします」


「うん、お願い」



 エリーゼが、席に着くのを待って、ピッピーノが話し始めます。


 ピッピーノは、代々船頭の家系に生まれ育ったこと。

 父親を事故で失い、借金返済のために冒険者をしていたこと。

 母親と二人暮らしで、足が悪く働けなかったが、先日奇跡的に回復したこと。

 ユニークスキル『音斬ソニック』を持っていることを教えてくれます。



 今度は僕が、今後の予定を伝えます。


「週末からミラノ街に向けて出発するんだ」


「ミラノですか」


「うん。エリーゼも一緒に行くから、クワッドと一緒に水路探査と店番をお願いね」


「はい、わかりました。クワッドさん、よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 二人が礼儀正しくお辞儀します。


「クワッドは、水路とも相性のいいスキルを持ってるから、船頭が楽しいと思うよ。さっそく、二人で出かけてみたらどう?」


 ピッピーノがにっこりします。


「トキン様のお許しがいただけるなら、クワッドさん、是非お願いします」


「わかりました。きっとお宝を持ち帰ります。ピッピーノさん、玉網たもあみを二つ持って出発しましょう」


「はい、行きましょう」


 二人が楽しそうに、裏手から出ていきます。



「エリーゼ、お店を開けよう」


「はい、トキン様」


 二人で開店準備をします。


「そうだ、最初のお客さんはエリーゼ担当ね」


「えっ。はい、わかりました」


 エリーゼが機嫌良く、A型看板を外に出します。



 しばらく時間をつぶします。


 作業場の棚に、エリーゼがフランネル織物の欠片を並べて、僕が修復します。

 既に大量のストックがありますが、在庫を増やしておきます。



 カラン、カランッ♫


 お客さんです。

 エリーゼが鑑定室に移ります。


「トキン様、先日は申し訳ございませんでした」

「ごめんなさいなの」

「あれ?今日はこのあいだお見かけした、綺麗なお姉様なのん」


 エリーゼが固まります。

 三人も固まります。



「鑑定ではなく、トキン様にご用のようですね」


 作業場で、お話を聞いていた僕は、鑑定室に移ります。


「やあ、いらっしゃい」


 Fランクパーティー『行き場のない次女』の三人に声をかけます。


「トキン様、ご無事でしたか」

「トキン様、ごめんなさいなの」

「ごめんなさいなのん。生きてるか心配だったのん」


「はははっ、大袈裟だよ」


 僕は笑います。

 ボローニャ伯爵家ご令嬢、ローニャさんが言います。


「そう言って頂けると、ホッと致しますわ。今日は素材を二つだけですが、お持ち致しました」


 ローニャさんが、素材をカウンターに置きます。


「じゃ、鑑定依頼だね。エリーゼ、お願い」


「はい、トキン様」


「エリーゼお姉様が鑑定なさるのですか。申し遅れました。私、ボローニャ伯爵家のローニャと申します。お話出来て光栄ですわ」


「エリーゼお姉様、私はマントヴァ子爵家のトーヴァと申しますの。やっぱり素敵ですの」


「エリーゼお姉様、私はフェラーラ男爵家のラーラと申しますのん。お姉様に憧れてますのん」


 エリーゼ大人気です。

 エリーゼがニコリと笑顔を見せます。


「トキン様の専属メイド、エリーゼと申します。今回は私が鑑定させて頂きます。では『鑑定』」


鑑定結果

「ガラスの花瓶」

 不良品(欠け)

『赤ガラスの花瓶』

 清浄+0 (0/5)

 500ゴルド

 ベネチアングラス。


「ガラスのブローチ」

 不良品(欠け)

 500ゴルド


「お待たせ致しました。この「ガラスの花瓶」の欠片、銘を【赤ガラスの花瓶】効果は本来なら清浄+5の逸品です。価値は500ゴルド。こちらの「ガラスのブローチ」の欠片は特別な効果はありません。価値は500ゴルド。買取りですと合計1,000ゴルドになります」


「エリーゼお姉様、買取りでお願い致しますわ」


 エリーゼがニコリと頷きます。

 1,000ゴルド(銅貨一枚)を手渡します。


「実家からの仕送りがあるから、なんとかなるけど、私達やっぱり向いてないの」

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