第三十四話 ベニス22
「トキン様、お宝が三つあります」
「うん、鑑定してみるね」
僕もエリーゼもドキドキです。
「『鑑定』」
鑑定結果
「白銀の腕輪」
不良品(欠け)
【ミスリルの祝腕輪】
風属性魔法
(発動不可)
素早さ+0 (0/150)
器用さ+0 (0/150)
「これはっ、エリーゼちょっと待ってね。これだけ先に修復するから」
エリーゼが頷きます。
「『修復』」
僕は余裕なく、慌てて唱えます。
両手から、淡い光が溢れ、僅かな欠片を包み込みます。
「『鑑定』」します。
鑑定結果
「白銀の腕輪」
良品
【ミスリルの祝腕輪】
風属性魔法
素早さ+150
器用さ+150
「エリーゼ、言うよ。この「白銀の腕輪」銘は【ミスリルの祝腕輪】効果は風属性魔法と、素早さ+150。それと器用さ+150の三つ。価値は計り知れない・・どうしよう、今すぐレオナルド様に伝えるべきかな」
「トキン様、正直怖さを感じるほどの効果です・・ですが、もうすぐ夕食会が始まってしまいます」
僕は急いで考えをまとめます。
「エリーゼ、今から言う鑑定結果をメモして」
僕は記憶を呼び戻し伝えます。
鑑定結果
「白銀の盾」
良品
【ミスリルの祝盾】
雷属性魔法
体力+150
魔力+150
「トキン様、これは・・・」
「移動しながら説明する。レオナルド様のところへ急ごう」
二人でレオナルド様の執務室を目指します。
走りながらエリーゼに経緯を説明します。
ジョバンニ執事長が執務室から出てきます。
「ジョバンニ執事長、レオナルド様は中にいますか」
「はい、おられます」
「急用なので失礼します。エリーゼ、ジョバンニ執事長に説明を」
コン、コンッ
「レオナルド様、トキンです。急ぎの報告があって参りました」
「入りたまえ」
「失礼します」僕は息を切らして執務室へ入ります。
「レオナルド様、大変なアイテムを手に入れてしまいました」
執務机の上に、【ミスリルの祝腕輪】と鑑定書を並べます。
レオナルド様が、険しい表情で鑑定書を見つめます。
鑑定結果
「白銀の腕輪」
良品
【ミスリルの祝腕輪】
風属性魔法
素早さ+150
器用さ+150
「確かに、俄には信じ難い効果だ。だが、トキンがそこまで慌てるということは、話の続きがあるのだね」
「はい、これは以前、見かけたアイテムの鑑定書です。おそらくこの二つの装備は【共鳴】し、効果数値がそれぞれ二倍に上がります」
鑑定結果
「白銀の盾」
良品
【ミスリルの祝盾】
雷属性魔法
体力+150
魔力+150
レオナルド様は、二枚の鑑定書を並べ、見比べたのち言います。
「ふむ。トキン、盾の方はどこで見たのかな」
「シェーナ街です。この盾の所有者は、トツカーナ伯爵です」
「ジョバンニ!」
「はっ」
ジョバンニ執事長が、執務室に入ってきます。
「トツカーナ伯をここへ。それと夕食会は一時間ほど繰り下げる」
「かしこまりました」
屋敷中が慌ただしくなった気がします。
僕もドキドキしています。
「トキン、よく知らせてくれた。この腕輪は、私が自由にさせてもらっていいかな」
「はい、もちろんです」
「ありがとう」
しばらくして、ジョバンニ執事長が、トツカーナ伯爵を伴い現れます。
「ヴェネート公、どうなさいましたか」
トツカーナ伯爵が、心配そうな顔で伺います。
「急な呼び出しすまない、トツカーナ伯。急ぎ確認したい案件が転がり込んでね。これを見てほしい」
レオナルド様が、【ミスリルの祝腕輪】の鑑定書を手渡します。
トツカーナ伯爵が、鑑定書を睨みます。
口に手をあて「これは・・」と声をもらします。
「これによく似た盾が、トツカーナ家に家宝として伝わってます」
「ふむ。その盾は、これで間違いないかな」
レオナルド様は【ミスリルの祝盾】の鑑定書を手渡します。
「まさしく、この盾です。間違いありません」
「トキン、君からトツカーナ伯へ説明を頼めるかな。詳しく全てを」
僕は頷きます。
「ブランドお義父さま。この【ミスリルの祝腕輪】とお義父さまがお持ちの【ミスリルの祝盾】を同時に装備した時、おそらく【共鳴】と言う現象が発生します」
「共鳴?トキン君【共鳴】とは?」




