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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
ベニス編
37/64

第二十八話 ベニス⑯

 赤の冒険者、レッジーナさんの幸運を、少し分けてもらった気分です。


 一度、作業場に戻ります。

 お店に残る素材を、一気にリペアします。

 エリーゼとクワッドに説明します。

 お店で使いたいアイテムを除き、新しい清掃施設に持って行って、

「サリンベーニ商会」行き

「アンティーク通り」行き

「ベネチアングラス製品」

 に分けるよう伝えます。

 

 僕は鑑定室に戻ります。

 カウンターに【逸品】素材を三つ並べます。

 

 ちなみに、僕が普段使うカウンターは、僕の席側だけにある、一段低いカウンターです。


「ガラスの箱」

 不良品

(割れ・欠け)

【レースグラスの宝石箱】

 幸運+0 (0/1)

 1,000,000ゴルド

 最高級ベネチアングラス。


「ガラスのネックレス」

 不良品

(割れ・欠け)

【レースグラスの首飾り】

 癒し+0% (0/30%)

 3,000,000ゴルド

 最高級ベネチアングラス。


 それと、エリーゼが水路から見つけた、金属のフレームが付いた、宝箱形のガラス小箱です。


 リペアしてみます。


「ガラスの箱」

 良品

【レースグラスの宝石箱】

 幸運+1

 10,000,000ゴルド

 最高級ベネチアングラス。


「ガラスのネックレス」

 良品

【レースグラスの首飾り】

 癒し+30%

 30,000,000ゴルド

 最高級ベネチアングラス。


「ガラスの箱」

 良品

【偶然の赤銅箱】

 潤い+30%

 9,000,000ゴルド

 ベネチアングラス。

 アベンチュリン・ガラス技法。


 三つの【逸品】素材が、本来の姿を取り戻します。


 これで「レースグラス」の良品が、四つ手に入ります。

 ベネチアングラスの装飾技法の中でも、秘伝中の秘伝といわれる最高級品です。


 大皿と小皿は、レオナルド様に渡す予定です。


 僕は大きな期待を持って【レースグラスの宝石箱】を手に取ります。

 そっと斜めに傾けます。


 コロ、コロッ♪


 期待通りの音がします。

 僕は満足して、一度カウンターに置きます。


 もう一つの小箱【偶然の赤銅箱】を持ちます。

 僕は僅かな期待を持って、斜めに傾けます。


 

 音はしません。

 少し残念ですが、予想通りです。

 カウンターに戻して、カエルのリュックをあさります。


【針職人の千枚通し】器用さ+34を取り出します。


【レースグラスの宝石箱】のフタをそっと開けます。


 内側はガラスを守るため、木片に白いフェルトを巻いた、カバーがあります。


 底のフェルトを、慎重に突き刺し、持ち上げます。

 中から、もう一つの底が現れます。

 底の上には、五ミリほどの素材が三つ見えます。


 僕はにっこりしてしまいます。


 二重底の仕掛けを知っていたのは、以前に一度だけ経験していたからです。


 僕の婚約祝いにと、冒険者さんが贈ってくれた「幸運アイテム」の小箱が二重底だったのです。

 偶然、音に気付いて調べているうちに、仕掛けを見つけたのです。

 その時は、五つの素材が入っていて、僕が一人旅をする為の力を、得ることができたのです。



 カラン、カランッ♪

 お客さんです。

 アイテムをカウンターの隅にずらします。


「お邪魔します」


 十代前半に見える、男の子が一人入ってきます。


「鑑定お願いします」


 礼儀正しい人物です。

 僕はにっこりお返事します。


「こんにちぃ」

 カラン、カランッ♪「やっふぃい〜。噂の美少女・弓使いジュリアーナちゃんだよっと」


 勢いに飲み込まれ、全て持ってかれます。

 一つ深呼吸して応えます。


「ちょ」

【おい、お前。よく来たナ。待ちくたびれたゾ】


 おっと、ここでアルジェントが、気まぐれぶりを発揮します。

 なかなかのカオスです。

 しかも、誰に言ったのかわかりません。

 

 もう一度、深呼吸して応えます。


「ちょっと、待ってて下さいね。こちらのお客さんから、順番に対応しますので」


 噂の美少女が、大人しくコクコク頷きます。


「お待たせしました。こんにちは、僕はトキンです」


「こんにちは、オレはピッピーノです。Bランクのソロ冒険者です」


 剣士ピッピーノさんはBランクだと言います。

 背中に剣を背負い、左腰には二本の短剣が見えます。右腰には革のポーチ、同色の革のブーツ。何より目を引くのは、金属製の防具を、一切身につけていないことです。

 ただの普段着なのです。

「グラスダンジョン」くらいなら、防具はいらないのかもしれません。


「ピッピーノさん、鑑定依頼品をカウンターにお願いします」


 ピッピーノさんが頷いて、一つのアイテムをカウンターに置きます。


「では、観てみますね『鑑定』」


鑑定結果

「ガラスのブレスレット」

 良品

【レースグラスの腕輪】

 潤い+30%

 肌艶+30%

 60,000,000ゴルド

 最高級ベネチアングラス。


「ふむぅ〜ん、観えました。この「ガラスのブレスレット」銘は【レースグラスの腕輪】効果は潤い+30%、肌艶+30%。価値6,000万ゴルドの逸品です。買取りなら、25%の1,500万ゴルドになります」


 ピッピーノさんが興奮気味に言います。


「1,500万ゴルド、そんなに。それなら冒険者を辞めて、船頭ゴンドリオーレになる夢が叶います」

ここまで読んで頂きありがとうございます。

数話にわたって誤表記を訂正しました。


ヴェネート公爵家の執事長名はジョバンニさんです。


ジュゼッペ執事長→ジョバンニ執事長に訂正。


ジュゼッペ執事もいます。二番目に偉いです。


ちなみにトツカーナ伯爵家の執事長はジュゼッペさんです。


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