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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
ベニス編
31/64

第二十三話 ベニス⑪

 癒された気分のまま、鳥かごを持って鑑定室に戻ります。


 カラン、カランッ♪

 お客さんです。


「やっほ〜。噂の美少女・槍使いアクアリーナちゃんだよっと」


 やたら元気な子が来ました。

 八歳くらいにみえる、短槍を持った女の子です。

 水色のドレスをベースに、白色と水色の装備品で、コーディネートしています。

 スライムしか出ない、グラスダンジョンの冒険者ならではです。


「こんにちは、アクアリーナさん。僕はトキンです」


 僕はにっこり挨拶します。


「やっほ〜トキン。アクアリーナさんじゃ減点だぞ。アクアリーナちゃんね。はい、やり直し」


 僕は素直に従います。


「こんにちは、アクアリーナちゃん。僕はトキンです」


 僕はにっこり挨拶します。


「やっほ〜トキン。無料鑑定してくれるんでしょう。無料って、良い響きよね。10点プラスよ。これお願いね」


 なにかが、10点プラスされたようです。


 噂の美少女・槍使いアクアリーナちゃんが、カウンターに二つのアイテムを並べます。

 

「では、観てみますね。鑑定」


鑑定結果

「ガラスの香水瓶」

 良品

【赤薔薇の芳香瓶】

 芳香+5%

 50,000ゴルド

 バラの香り。


「ガラスのコップ」

 良品

【氷無のコップ】

 保冷+15%

 300,000ゴルド


「ふむぅ〜ん、観えました。この「ガラスの香水瓶」は、銘を【赤薔薇の芳香瓶】効果は芳香+5%の逸品です。価値は50,000ゴルドです」


「まあまあの価値ね」


「この「ガラスのコップ」銘は【氷無のコップ】効果は保冷+15%の逸品です。価値は300,000ゴルドになります。買取なら価値の25%で、引き取ります」


「トキン、全部買い取って」


 僕はにっこり頷いて、87,500ゴルドなので、切り上げて88,000ゴルド(銀貨八枚、銅貨八枚)を手渡します。


「あの、アクアリーナちゃん。壊れたアイテムも素材として買い取ってます。良かったら、持って来てください」


「え〜、アクアリーナどうしよう」


「昔から、真の美少女は、心も優しいと聞いてます。アクアリーナちゃんなら、引き受けてくれると思って」


「もう、トキンったら、分かってるじゃない。真の美少女アクアリーナちゃんに任せなさい。まったね〜」


 カラン、カラン♪

 一気に店内が静かになります。


 買い取った【赤薔薇の芳香瓶】芳香+5%は、お店の水まわりで使います。


【氷無のコップ】保冷+15%は、昨日も買い取りしています。

 色も形も一緒です。

 やはり【古代の逸品】には、量産品もあるようです。

【氷無のコップ】もお店で使います。

 これで二個セットになります。

 綺麗なベネチアングラスなので、たくさん揃えたいです。


「ヒヒィ〜ン」とフォルトゥーナの声が聞こえます。

 エリーゼとクワッドが帰って来たのかもしれません。

 裏手にまわります。


 クワッドが玉網たもあみを三つ持ってます。


「トキン様、今後も水路を探る可能性を考えて、一番強度の高い網を揃えました」


「うん、クワッドがいるから、今後も水路に沈んだ【古代の逸品】を引き上げることができるね」


「トキン様、エリーゼ先輩、この辺りです」


「うん、みんなで探そう。宝探しだ」


 三人で水路に玉網を入れて探ります。

 泥を石畳の上に重ねます。

 泥の中で何かが光ります。


 クワッドが素手で取り出します。


「トキン様、これで間違いありません」


 僕は頷いて鑑定します。


鑑定結果

「銀のナイフ」

 良品

【銀鼠のナイフ】

 幸運+1

 50,000ゴルド

 食べ物に困らない幸運の食器。


「やっほ〜噂の幸運アイテム、銀鼠ちゃんだ」


 僕は二人に鑑定結果を伝えます。

 クワッドが本物のお宝発見だと喜びます。

 エリーゼも良かったですねと笑顔を見せます。

 

 クワッドが洗って、エリーゼが消毒してくれるそうです。


 僕は泥を水路に戻します。

 ベニスの水路は、潮の干満によって絶えず浄化され、海水が流れることで生態系を保っています。

 泥も、目に見えない生物の、大事な住処だといいます。

 ベニスは元々、干潟や湿地だった場所に、つくられた街だからです。


 片付けして、お店に戻ります。 

 エリーゼとクワッドは、作業場でフランネル織物を切り分けます。


 僕は鑑定室に戻ります。

 カラクリ鳥のアルジェントをカウンターの角に置きます。


 クワッドがくれた、不良品素材を眺めます。

 ユニークスキル『探査サーチ

 改めて、凄いスキルだと思います。

【古代の逸品】の在処がわかるスキルのことなんて、想像もしてなかったです。


 クワッドが『探査』で見つけてくれた【銀鼠のナイフ】を取り出します。

 銀製品特有の黒ずみがあります。

 長い時間、水路の中に居たのだと思います。


 僕はすぐ近くに居ながら、全く気付けなかったです。

 僕一人だと、まだまだ力不足です。

 協力してくれる仲間の大切さを、改めて実感します。


【銀鼠のナイフ】を、ひと撫でします。


「いま、綺麗な姿に戻すからね『修復リペア』」


 僕の両手から、淡い光が溢れ、【銀鼠のナイフ】を優しく包みます。


 往年の輝きを取り戻し、ランプの光を少し和らげて反射します。


 カラン、カランッ♪

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