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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
ベニス編
26/64

番外編 SS 小さなご令嬢のひととき

「鑑定」


鑑定結果

「銅の短剣」

 不良品(ひび割れ)

【紅葉の短剣】

 魔力+0 (0/20)

 火属性魔法(発動不可)

 23,000ゴルド


「はぁ、この子はとっても綺麗な色合いなのに、効果を失ってしまってるわ」


 小さなご令嬢は嘆きます。


「とても優秀なのに、本当に残念だわ」


 お行儀良く、オレンジティーをひと口含み喉を湿らせます。


「ジジーノ、次を見せてくれるかしら」


「お嬢様、次はこちらになります」


 老執事が小さな包みを差し出します。


「あら、小包み?」


 老紳士が静かにこたえます。


「つい先ほど届きました。送元はシェーナ街のヴェネート公爵家となっております」


「トキンからね」


 小さなご令嬢に、笑みが広がります。

 丁寧に包みを解きます。

 細長い上質なマホガニー材の木箱が見えます。


「なにが入ってるのかしら♪」


 微笑みを浮かべて、蓋を開けます。

 中から、丸められた羊皮紙と、シルク布が見えます。


 羊皮紙を手にして、公爵家の家紋が押された封蝋をそっと解きます。

 トキンからの手紙を読みます。

 顔を赤らめ、シルク布を開きます。

 中から綺麗な髪飾りが姿を見せます。


鑑定結果

「銀のヘアピン」

 良品

【雪結晶の髪飾り】

 魔力+10

 300,000ゴルド

 樹枝六花じゅしろっか結晶の髪飾り。


「綺麗・・本当に素敵だわ」


 小さなご令嬢は、姿見の前に移り、機嫌良くヘアピンを留めます。


「ジジーノ、似合うかしら」


 満面の笑みで振り返ります。


「お嬢様、とてもお似合いでございます」


 老執事の言葉に、満足して頷きます。


「ジジーノ、続きは明日にしてほしいの」


 老執事が静かに頭を下げて退室します。


「トキンったら、ソフィがいながら、困った人ね」


 口では怒りながら、もう一度、手紙の一文に目をおとします。



『この素敵な髪飾りを観たとき、君の上品な姿が目に浮かんだから』



「もう、これじゃ、まるで恋文じゃない」


 小さなご令嬢は、顔を赤らめながら、しばらく姿見の前に、機嫌良く立ち続けます。


 ポニーテールに輝く銀の髪飾りと、羊皮紙の一文を何度も交互に見直します。

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