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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
ベニス編
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第十四話 ベニス②

 アドリア海の波と、水路に囲まれたサンマルコ広場に戻ります。

 

 ドゥカーレ宮殿に到着します。

 ジョバンニ執事長が待っています。


「レオナルド様。つい先ほど、フランチェスコ大司教より、お茶のお誘いがあったのですが、外出中で戻られる時間が定かではないと伝えたところです」


「そうか。ふむ、トキンが来ている事も伝えておきたい。受けると伝えてくれ」


 ジョバンニ執事長が部屋をでます。


 まもなくして、戻ってきます。


「お茶会の準備が整ったそうです」


「わかった。トキン、いくぞ」

「はい」


 隣りに立つ、サンマルコ大聖堂に向かいます。

 ドゥカーレ宮殿と渡り廊下で繋がっています。


 フランチェスコ大司教が出迎えます。

 大司教の後ろに、小さな修道女がいます。


「レオナルド様、お待ちしておりました」


「大司教、お誘い感謝する。トキンも来ている」


「こんにちは、大司教様。ご無沙汰しております」


 僕はにっこりでぺこりします。

 大司教とは婚約お披露目会で会っています。

 ぽっちゃり体型の、気の良いおじいちゃんです。


「これはトキン様。ベニスにお越しでしたか。ぜひ孫娘を紹介させてください。マルティーナ、レオナルド様とトキン様にご挨拶を」


「はい、おじいさま。こんにちは、レオナルド様」


「こんにちは、マルティーナ嬢。また美しくなったようだ」


「レオナルド様はいつも褒めてくださいますね。ありがとうございます」


 初めて会うマルティーナさんは、七歳前後にみえる美少女です。

 修道女姿が可愛いです。


「はじめまして、トキン様。マルティーナと申します」


「はじめまして、マルティーナさん。トキンです」


 挨拶を済ませ着席します。

 タイミングよく、ミントティーと、レモンチーズタルトが並びます。

 お茶と会話を楽しみます。

 

 マルティーナさんは、会話が上手だと感じます。

 さりげなく話を誘導し、相手にお話させる術にたけています。


「そういえばトキン様の婚約者様は【トツカーナの聖女】と呼ばれていらっしゃるとか」


「うん、そうみたい。シェーナの魔物襲来事件で、活躍が認められたって聞いてる。マルティーナさんも回復魔法の使い手なのかな」


「はい、恐縮ながら【ベニスの聖女】と呼ばれております」


「【ベニスの聖女】か〜。上品なマルティーナさんにぴったりの【二つ名】だね」


「まあ、トキン様は女性の扱いがお上手ですね」


 と言って笑顔を見せます。

 美少女の笑顔は破壊力が凄まじいです。

 

 フランチェスコ大司教が、タイミングを見計らい言います。


「トキン様、しばらくベニスに滞在の予定とか。よければ明日にでも、マルティーナに街の案内をさせましょう。美味しい甘味ドルチェも、誰よりも詳しいですぞ。よろしいですかな、レオナルド様」


「ああ、案内してもらうといい」


「おじいさま、その言い方ですと私が食いしん坊に聞こえてしまうではありませんか」


「甘い物は大好きです。ぜひお願いします」


 楽しい雰囲気のままティータイムを終えます。


 

 レオナルド様とドゥカーレ宮殿に戻ります。


「着いて早々、連れまわしてすまなかったね。トキンの部屋を用意してある。案内させよう、ジョバンニ頼む」


「かしこまりました」


 ジョバンニ執事長に続いて、広い宮殿内を進みます。


 四階の部屋に案内されます。

 アドリア海を一望できる贅沢な部屋です。

 一人のメイドが立っています。


「あれ?エリザ?」


 エメラルド色の髪を肩まで伸ばした美人メイドです。

 別邸メイドのエリザにそっくりです。


「エリーゼと申します。トキン様付きのメイドとなります。よろしくお願いします。エリザは私の妹になります」


「そうか、よろしくね。エリーゼのところは姉妹揃って美人なんだね」


 エリーゼがニコリと笑顔を見せます。

 僕の部屋と繋がった、隣りの部屋に控えていると聞きます。

 夕食の時間まで、荷物整理を手伝ってもらいます。


「そうだ、エリーゼ。僕のお付きになった記念に、これをプレゼントするよ」


 僕は、一つのアイテムを手渡します。


「これは王侯貴族が使う、フランネルの高級毛布ではないですか。メイドには過分な品です。お気持ちだけいただきます」


 エリーゼが遠慮します。


「ははは、エリーゼ遠慮しないで。僕付きのメイドになった役得だと思ってさ。ほら毛布の柔らかさを確認してみて」


 エリーゼが遠慮がちにモフモフします。

 だんだん笑顔になっていきます。

 モフモフが加速します。


「トキン様、ありがとうございます。この様な素晴らしい物をいただき、本当に嬉しいです」


 エリーゼがニッコニコです。

「奉仕レベルMAXでいくわ」とかなんとか言ってます。

 

 

 レオナルド様との夕食を終え、就寝前のシャワーを浴びます。

 

 バスタオルを巻いたエリーゼが、一緒に入ります。

 身体を洗う際に、泡が飛ぶから目をつむるように言われます。

 どんな洗い方か、方法はわかりませんが、とても気持ちよかったです。

 

 部屋に戻ってベッドに横になります。

 寝巻きに着替えたエリーゼが、添い寝して本を読んでくれます。


 エリーゼの声を聴きながら、今日を振り返ります。

 

 ボローニャ街をエストロと一緒に出発して、フェラーラ街に寄ってエストロと別れ、

 ベニス街に着いてレオナルド様に僕のお店をもらって、

 大司教とお茶をして、マルティーナさんとお出かけの約束をする。

 エリーゼが僕付きのメイドになって、お風呂が気持ちいい。

 

 充実の一日に満足です。

 明日、マルティーナさんに教えてもらう予定の甘味処が楽しみです。

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