第十・五話 SS ムジェッロ
僕は今、山あいのムジェッロ村に寄り道しています。
この村、唯一の商店を訪れます。
木の壁とトタン屋根の、古い建物です。
手書きの看板があります。
愛されて40年。信頼と実績の
『ムジェッロ百貨店』
店内はごちゃごちゃしてます。
むき出しの『パルメザンチーズ』が四つ積み重ねてあります。
その横に、農作業用のクワが立てかけてあります。
その隣には、計り売り用のワインの樽があります。
かなりのレイアウトセンスです。
僕は構わず、ある一角に向かいます。
心の中で「あった。これか」と頷きます。
鑑定結果
「ガラスの手鏡」
良品
【麗しの手鏡】
肌艶+10%
1,000,000ゴルド
↓
売値800,000ゴルド
「ダイヤモンドの指輪」
良品
【青金剛石の指輪】
幸運+1
1,500,000ゴルド
↓
売値1,700,000ゴルド
値付けは好い加減ですが、近からず遠からずというか、結果オーライというべきか、とりあえずこの二点を買います。
「この二点、お願いします」
「あんれー?この商品まだあったかー」
お爺ちゃんが首を傾げます。
「はい、棚の奥の方にありました」
「こんな山奥で売れるわけねーかー。二つで200万ゴルドにまけちゃるー。持ってけー」
「いいんですか」
お爺ちゃんは、宝石とガラス製品を雑に麻袋に入れ、僕に差し出します。
にっこりで支払いを済ませ店をでます。
新しい幸運アイテムと、戦略物資が手に入ります。
僕はホクホクでフォルトゥーナ号に乗り込みます。
フィレンツとボローニャを結ぶ街道を、北に向けて進みます。




