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迷宮都市の小さな鑑定屋さん。出張中です。  作者: ジン ロック
モンタルチーノ編
10/64

第八話 シェーナ②

 扉が開いてセドポンも笑顔をみせます。


 鑑定室に移ります。

 

「トキン殿、お帰りぽん」


「ただいま、セドポン。これお土産ね、ジェラート食べながら話そう」


 二人でジェラートを頬張ります。


「うわっ、美味しいジェラートぽ〜ん♪」


 シフォンお姉さんのジェラートはシェーナ街でも好評です。


「買い取りしたアイテムは、言われた通り分けてあるぽん」


【逸品】の良品、不良品

「一般品」の良品、不良品

 の四つに分けてあります。


「『幻の左ストレート』に卸す武具は別にしてあるぽん」


「セドポン、ありがとう。完璧だよ」


「ありがたきお言葉ぽ〜ん♪あとコレ『たぬきの皮』から買い取った指輪。見たけど、呪われてるぽん。カンポ広場のドブさらいクエスト中に見つけた。って言ってたぽん」


 指輪を受け取ります。

 以前、買い取りした【新雪の指輪】と同じように、文字か模様かわからない部分に横傷が入っています。


「わかった、他の素材と一緒に持っていくね」


 次はセドミンにお土産を渡しに行くと別れます。


 御者をニンジーノに任せて、馬車に乗り込みます。

 預かった指輪を鑑定します。


鑑定結果

「銀のリング」

 不良品(傷)

【深雪の指輪】

 幸運−1 (−1/1)

 5,000ゴルド


 リペアで呪いを解きます。


鑑定結果

「銀のリング」

 良品

【深雪の指輪】

 幸運+1

 50,000ゴルド


 本来の効果を取り戻します。

 幸運アイテムが増えただけでなく「共鳴」しそうで嬉しいです。


 ですが、少し嫌な予感がします。

 この二つの呪われていた幸運アイテム。

 ただの勘ですが、人為的な気がします。

 誰が何の為にかは、わからないので今は心に留めておくだけにします。


 ソプラ通りのど真ん中、カンポ広場の南に位置する、お店前に馬車がとまります。



生活用品の総合商会


『サリンベーニ商会』



 間口、三メドル、奥行き十五メドルの店内を進みます。

 

 左右両方の壁に、たくさんの絵がかけられています。

 これも売り物だそうです。

 

 若い画家達の応援を兼ねていると聞いています。

 インテリアとして需要があり、密かなヒット商品らしいです。


 奥の大きな売り場に出ます。

 たくさんのお客さんがいます。


 テーブル、ソファ、食器棚、ベッド、机、絨毯などが並ぶ家具コーナーには、家族連れが多い気がします。


 食器、調理器具、アクセサリー、文具などが並ぶ小物雑貨コーナーには、若いお客さんが多いです。


 お店が大きいので、一つのアイテムをたくさんの種類から選べます。

 値段も少し安くしているようです。


 僕を見つけたサリンベーニとセドミンが笑顔でやってきます。


「トキン様、この通り大繁盛です」


「うん、凄いね。サリンベーニに任せて正解だったよ。小さなお家に補充分の用意をしておくから」


 サリンベーニは笑顔で頷きます。

 以前、住んでいた小さなお家は、別邸離宮のすぐ隣りにあります。


 サリンベーニが元々、持っていた馬車の置き場、商会の商品ストック置き場、セドミンとセドポンの住まいに使っています。


「セドミン、これモンタルチーノのお土産のジェラートとハチミツ。全員の分あるからみんなで分けてね」


 セドミンの笑顔が弾けます。

「フフ〜ン♪」と嬉しそうです。


 あまりに店が大きいので、店員を十名ほど雇い、交代で常時七名ほどが売り場に立っているそうです。

 他にも配達人を二人雇っていると言います。


 以前、ジーヤが言っていました。


「市民に仕事を用意出来るかどうかで、領地が発展するかどうかが決まるとも言えるのぅ」


 店内を見渡します。

 忙しく動きまわる店員さんと、楽しそうに笑うお客さんがいます。

 

 僕も少しはトツカーナ伯爵領のシェーナ街に貢献出来た気がします。


 二人と別れ小さなお家を目指し、フォルトゥーナ号を操ります。


 四つある小さなお家の南部屋に入ります。

 以前はジーヤとワカバが使っていた部屋です。

 今は商会の倉庫部屋に使っています。


 部屋中に溢れていた商品ストックが、一つも残っていません。


 モンタルチーノから持ち帰った物。

 ヒロン達が集めてくれた物。

 セドポンが買い取ってくれた物。


 全てをリペアしていきます。

 部屋中に商品が溢れます。

 この在庫量でも一週間くらいしか持たないかもしれません。

 サリンベーニが独自のルートで仕入れてくる商品を加えても、十日から半月分ではないかと思います。


 僕がシェーナを離れられるのは、今は一週間から十日が限度だろうと思います。

 

 もう一つの小さなお家に入ります。

 以前は、サーラ達メイドが使っていた西の部屋です。


【古代の逸品】の不良品素材スクラップを広げます。


 ヒロン達が集めてくれた物が八点。

 セドポンが買い取ってくれた物が五十点あります。


 これを一気にリペアします。

 

 セドポンが買い取った良品の【古代の逸品】七点を加え、全部で六十五点に鑑定書を作成します。

 その内、十五点は武具なので『幻の左ストレート』行きです。

 

 残りはモンタルチーノからの、馬車に乗せて『アンティーク通り』で販売します。


 ようやく、ひと段落つきます。

 別邸離宮に戻って旅の準備です。


 明日はフィレンツに向かいます。

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