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少女の最後の夢

作者: ラクト

とても短く、音楽聴きながら思いついた物語を書いただけです。

「なんで…なんでよ…。ふざけんなよ」

部屋の隅で座り込む、ボロボロな少女は死を目の前にしても生きることを諦めてはいなかった。


彼女は10歳の時に両親を事故でなくし、弟と2人残された。幸せだった日々から一転した瞬間だった。

「お姉ちゃん、ぼくらはこれからどうなるの?」

「…大人たちの話によると、町の南にある孤児院で保護してもらえるみたい。だから、そこに行こう」

しかし、孤児院はどこもいっぱいで入ることはできなかった。家も家賃が払えないため追い出されてしまったので、ここ数日は野宿している。

せめて弟だけでも安全な場所で暮らして欲しい。そう思ったが、孤児院がいっぱいではどうすることもできない。金も教養もない彼女らはクズ鉄を集めることでしかお金を得ることはできなかった。

また、悪劣な環境で長く過ごしたせいで、幼い弟は色々な病気にかかりあまり働くことはできなかった。


ある日、姉弟そろって人攫いに攫われた。

子どもたちをたくさん買っている人に買われ、奴隷となったのだ。

彼女と弟は同じ家の奴隷となった。初めは「体の弱い弟とバラバラにならなくてよかった」と安心していたが、弟はただの人質だった。危険な仕事をする際の逃亡と自殺防止のためだ。

「姉ちゃん…。ごめん。僕、邪魔だよね」

「そんなことない。あなたがいるから頑張れているの」


彼女は、墓を掘り起こしたり、人を殺したり、違法薬物の売買を行ったり…。様々なことをやらされた。

それに加えて、実験台にもされた。

一体何が起きているのかわからなかった。

昨日まで同じ部屋で過ごしていた多くの少年少女が呪いや実験で死んだり、自殺していった。

そして、彼女の弟も呪いに蝕まれ死んでいった。

「ふざけるなよ…。私の大切な弟を返せよ…」

彼女もそう長くは生きられないだろう。

彼女自身も周りの人たちもそう考えていた。

他の人よりも多くの呪いを受けていたからだ。

しかし、彼女は諦めてはいなかった。

いつか昔みたいに幸せな日々が送るのだと強い意志を持って、耐えていた。


ある日彼女は夢を見た。

家に帰るとまず弟がおかえりという。

そして、台所で料理をしている母がおかえりという。

少しして父が帰ってきてただいまという。

そして、おかえりと返す。

久しぶりに感じる温かい気持ちと幸せな日常。

しかし、しばらくして両親は出かけてしまう。

そして、弟は悲しい顔をして「ぼく、死にたくないな」と言って倒れた。

すると、明るかった部屋が一気に暗くなった。

ここにいては行けないと思い走り出すが、どこに向かって走ればいいのかわからない。

私はどこを走っているのか、こっちの方向でいいのか、これ以上進んではいけないのではないかなどと不安な気持ちがぐるぐると巡る。

右に行ったり左に行ったりするが、出口はみえない。

お前は何をしても幸せにはなれないのだと言われているような気がした。

「ふざけるな、私の人生をなんだと思っている」

彼女は自分を信じ、真っ直ぐ進むことに決めた。

「必ず幸せになってやる」と強い意志を持って…。


だが、彼女が受けた呪いは容赦なく彼女を蝕む。

彼女の意識はそのまま闇の中へと消えていった。

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