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なんかすごくブクマ増えたんですけど何があったんでしょうか汗

ありがとうございます。

 ミティに連れてこられたのは、ボロボロの屋台が立ち並ぶ通りだった。店舗は明らかに廃材を利用して作られており、店主、行き交う人々の身なりも汚い。中には武装した人、花を売る少女(婉曲表現)なんかもいる。日本じゃあり得ない光景だ。特に最後。

 いやマジで、私よりも年下の女の子が堂々とそういう商売してるっていうのが異世界だよね。日本じゃ中学生だよ犯罪だよ。

 あ、おっさんが声かけた。ロリコンがいるよ、お巡りさーん。

 ミティはニッコリと笑って口を開く。


「ようこそ、貧民御用達、通称『屋台通り』へ! 品質はちゃんと見て買わないと騙されるけど、うまくすれば表の3分の1くらいで買えるんだよ」


「へぇ……流石ね。遥、財布をスられないように気をつけて。誰かとぶつかったりしたら、基本はスリだと思いなさい」


「う、うん」


 外国の裏通りと同じ匂いがするわ。

 旅行で行って、叔父に連れ出されたあそこは本当に凄かった。

 物乞いがいて、孤児がいて、同性愛者がいて、スリがいて。カオス極まりない。

 何となく、そこに似た空気を感じた。


「お姉さんよく分かってるねー。素人が入ると簡単にスられちゃうからご注意を! けどま、今回はあたしもいるし大丈夫だと思うよ」


「当たり前の用心よ」


 そう言うと、遥がお金の入った袋をキュッと握って俯いた。


「あ、ほら、私は海外行ったことあるから知ってるだけで」


 だから、日本にずっといたなら知らなくてもいいんじゃない? のかな?

 弁明しながら思う。

 ……何故私は慌てているのか。

 遥は千里眼目当てで誘っただけのはず。

 もう、自分がよく分からない。


 ああもう、と首を振る。ニヤニヤとしているミティを睨みつけると、ミティはすまし顔で口を開く。


「じゃあ買いに行こっか!」


「……お願いするわ」


 なんだかどっと疲れた。

 ずっと振り回されている気がする。自分で選んだこととはいえ、もう少しコミュニケーションというものについて学んでおいた方が良かったのだろうか。私は人の感情に疎すぎる。自分も含めて。

 小さくため息を吐き、ミティの先導に従った。


「おっちゃーん」


「お、ミティじゃないか。久しぶりだな! 今日はどうした?」


 ミティがそうやって最初に話しかけたのは、40歳を過ぎたくらいの男がやっている店だった。


「旅の準備を揃えたいんだよね。人数は2人で、とりあえず3日分かな!」


「毎度! そっちのお嬢さん方のかい?」


「うん、そうだよー」


 男は気前の良い返事をしながら、手早く商品をまとめていった。


「だいたいのものはあるけど、細かいものまでは無理だよ?」


「知ってるよー! この後いろいろと回る予定!」


「はいよ。寝袋とはいるかい?」


 ミティの視線がこちらに向けられる。


「馬車の移動は2日間。座って寝られるなら要らないけど、どうする?」


「買うわ」


 即答。

 一度だけ夜行バスでの移動を試してみたが、あれは酷い。やってられない。疲れは取れないし首は痛くなるしで散々だった。2晩も座って寝るなんて絶対にごめんだ。


「私は構わないけど……」


「私が構うの」


 遥は夜行バス問題ない派らしい。

 けど、私は嫌なので押し通させてもらう。


「そういうことで」


「あっはっは。毎度あり!」


 男が荷物をまとめ終える。


「値段なんだけどさ」


「こんだけだと、銀貨2枚ってところかな」


「それ表の値段と一緒じゃん! もうちょっと安くならない?」


 ミティの言葉に、男が意外そうな顔をする。


「カモりたいんだと思ってたんだが違うのか?」


「残念ながら今回は違うの。いつもの値段で売ってよ」


「なるほど」


 再度提示された値段は、銀貨1枚と銅貨20枚。

 ……すごいわね。ほとんど半額じゃない。

 やっぱりこの子使える。

 スカウトしようかどうか本気で悩む。


「……まだ高くない?」


「バカ言え、これが適正だ。今年は保存食が値上がりしてるんだよ」


「むぅ……仕方ない。他のもの見てから取りに来るから預かっといて。あ、ローブだけ今ちょうだい」


 ミティは振り返って言った。


「これくらいじゃないかな? 多分ここより安いところはないよ」


「そう。じゃあそれでお願い」


 とりあえず私の財布から出す。あとで遥と折半だ。

 お金と引き換えにローブを受け取る。


「着て。すっごく目立ってるから。……他の細々としたものはぐるっと回って揃えてくとして、とりあえずご飯にしない?」


 ミティに言われて気が付いた。

 ずいぶんとお腹が空いている。

 もうお昼か。そんなことにも気付かなかった自分に少し苦笑い。


「そういえば、もうそんな時間……」


 遥の驚いたような声に私も頷く。


「すっかり忘れてたわ」


「あたし安くて美味しい場所知ってるんだ! そこ行こ!」


 ミティはにししと笑い、うきうきと歩き出した。

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