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15話 DQNは斯くして赤面する

親友由加との楽しいランチ。

日向は彼女との友情を再確認し、由加の大切さを知る。


曇天であっても、その絆は一点の曇りもなく輝いているのであった。

 「それじゃあ、またね由加」


 ヒラヒラと手を振った私に、親友の彼女はパアッと顔を華やがせて、大きく振り返してくれる。


 「うん!またね日向!頑張れよ!」

 「うん、頑張る!」

 「じゃあね~」

 「ばいばーい」


 小走りに去って行く由加の背中が見えなくなるまで、私は手を振った。

 曲がり角手前でもう一度大きく手を振ってバイバイしてくれたことがいかにも由加らしく、私の口元は知らず知らずのうちに笑みを浮かべていた。


 こんな風に笑みを浮かべられるようになるなんて公園にいた時からは考えられないし、それだけ私にとって彼女は大きな存在なのだと改めて実感した。


 彼女の貴重な休日をこんなことに使わせてしまって申し訳なかったが、由加は満面の笑みで「気にしないで!日向の恋路を応援する為なら、私は火の中水の中どこへだっていくし、なんだってするんだから!」とサムズアップ。

 「ありがとう由加」としか伝えられないのがもどかしいほどに、私の心の中は彼女への感謝の気持ちでいっぱいだった。


 しかし、見送っていたときに気がついたのだが、小走りで去っていった、彼女の後ろ姿は少し急いでいるように見えた。


 それもそのはず。


 なんでも、このあと予備校に行かなくては行けないそうだ。

 進学校に通う彼女は私なんかとは違って、勉強も忙しいはず。

 そんな時間の無いなかで相談に乗ってもらってほんと感謝しかない。

 

 「私も頑張らなくちゃ……」


 そう呟いてグッと拳を握りながら考えたのは今夜のこと。


 まずは、今夜、あのコンビニで相沢さんと仲直りしよう。


 相沢さんにちゃんと心を込めて「ごめんなさい」って、謝るんだ。

 

 相沢さんなら、それできっと許してくれる……。


 もちろん、「怒ってたらどうしよう」とか「仲直りできなかったらどうしよう」とかっていう不安もあるんだけれど、それよりもずっと「相沢さんと仲直りしたい」っていう気持ちの方が大きい。


 だから、なんとなくだけど。

 これからは全てうまくいく。


 そんな気がするのだ。


 そこまで考えた私はふと顔を上げ空を見上げる。

 相変わらず空は分厚い雲に覆われていた。


 「はあ……それにしても今日は蒸し暑いなぁ……」


 パタパタと服を引っ張って、胸元に空気を送り込みながら呟く。


 さっきまで冷房の効いた店の中にいたのに、もうじっとりと汗をかいているのがわかる。


 生ぬるい風が頬を撫でた。

 普段なら、気持ちが悪く、鬱陶しいその風も今はなぜかそれほど不快ではない。


 「でも、まだ時間あるしな……家かえって一回シャワー浴びよう」


 私は一人そう呟くと、元来た道へと引き返し帰宅することに決めた。


 昨日の夜も相沢さんの家でお風呂入ったんだけど、相沢さんと会う前に一度シャワーは浴びておきたい。


 だって、やっぱり、こういうときには一番可愛い私で会いたいじゃん?

 それに万が一相沢さんに匂われて「日向、お前臭うぞ?」とか言われたら私ショックで死んじゃう……。


 でも、そう言えば、昨日おんなじベッドで寝た時とか、相沢さん私の体の匂いスンスン嗅いで「いい匂い……」って寝言だけど言ってくれてたし、私の体臭自体は嫌いじゃないはず……。


 むしろ、私の匂い好きそうかも……。

 私も相沢さんの匂いすっごく好きで、ずっと嗅いでいたいくらいだったし……。

 特に首筋のところの匂いとかクラクラするくらいいい匂いで……。

 やばっ……なんか恥ずかしくなってきた……。


 変なことを考えてしまいそうになり、熱くなってきた顔を手で仰ぎ、冷ます。


 「はあ……相沢さん。会いたいなぁ……」


 熱っぽいその言葉は誰の耳にも届かず、夏の風に運ばれていった。


 

 


感想ちょうだい!

それだけだ!


また、次話で会いましょう。

応援よろしくお願いします!

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