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私は慌てて家を飛び出した。
そしてなんの躊躇もなく、森に入った。
私は走った。
通りなれた森だ。
バス停の方角も、何も考えなくてもわかる。
――良かった。間に合いそうだわ。
その時、背中に強い衝撃を受けた。
吹っ飛ばされて地面に倒れこんだ私に、声が届いてきた。
「おやおや、今回は諦めかけていたのに、いい獲物が迷い込んで来たものだ」
地に伏したまま顔だけ声のほうへと向けると、そこには男が立っていた。
暗くてよくは判らないが、どうやら若い男のようだ。
何かを手にしているのも見えた。
――ナイフ?
殺された女性は、皆鋭利な刃物で刺し殺されている。
私は思わず叫ぼうとした。
しかし恐怖のあまりに喉が詰まって、何も発することが出来なかった。
「夜中にこんなところをうろうろしているあんたが悪いんだからね。俺を恨むんじゃないよ。それでは早速、楽しい楽しいお仕事に取り掛かるとしますか」
男が一歩踏み出した。
その時である。