表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

四方を山に囲まれた小さな町。


人口は四万人ほど。


平成の大合併で市に成り上がる前は郡部だったところだ。


市の名前を言っても、県外の人でその名を知っている人は少ない。


それが私の住んでいる町だ。


そんな何も誇るものがない町が、一躍有名になった。


一ヶ月足らずの間に、三件の殺人事件と三人の行方不明者があったからだ。


殺されたのは全員女性。


二十代が二人と四十台が一人だ。


行方不明になったのもみんな女性で、中学生が一人に高校生が二人だった。


警察もマスコミも同一犯と決め付けて、捜査と報道を続けていたが、今のところ犯人の目星はついていないようだ。


「ほんと、怖いわねえ」


私は同僚の清美に言った。


清美と私は共に小さな会社で事務員をしている。


大学があった都会での就職も可能だったが、地元のほうがのんびり出来るとふんで帰ってきたのに。


狭い町で六件もの重犯罪が続いているとあれば、四年間住んだ都会のほうがまだ安全なのかもしれない。


「まあ、大丈夫なんじゃない」


清美はことなげに言う。


いつもそうだ。


彼女は何かについて悩むということが、まるでないのだ。


自分がいつ被害者になるかもしれないと言うのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ