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3:二場泰介

二場泰介。21歳、大学3年生。性格、積極的・ひょうきん。容姿、中の中。彼女、2日前に出来たばかり。



……うーん。


年上だとは思ってたけど……社会人か。



泰介はシェイクを飲みながら、目の前の女性を眺める。

空の容器が不快な音を立てる。


「ぃーっ!!やめてその音」


片手にハンバーガーを持ったまま女性は耳をふさぐ。


草加悦子。25歳、OL。勤務先、化粧品会社。性格、元気ハツラツ。彼氏、2日前に出来たばかり。


「ぼめん、ぼめん」


泰介はストローから口を離さずに言葉を発した。

悦子は泰介を一睨みし、ハンバーガーをほおばる。


「言ってなかったのは悪かったと思うわよ」


うつむいたまま悦子は決まり悪そうな調子で呟く。


「え、何を?」


泰介もポテトを4本一気に口に含む。

口からはみ出したポテトを手で押し込む。


「歳よ!」


悦子の食べるスピードも上がる。


「何で?」


自分のポテトを食べ終わった泰介は悦子のポテトに手を伸ばした。


「何が!」


ポテトを奪われまいと悦子はトレイを持ち上げる。


「年。気にしなくていいのに」


泰介は仕方なく自分のハンバーガーを口にする。

悦子はトレイを持ち上げたまま泰介を睨んでいる。


「歳明かした時固まってたくせに」


「…………。ナゲット頼んできていい?」


「私、サラダ食べたい」


「じゃ俺も」



泰介が持ってきたトレイには、ナゲット・サラダ・アップルパイ・ヨーグルト・アイスが乗っていた。


「多くない?」


「多ければ多いほどいいんですよー」


悦子のトレイにサラダとヨーグルトとアイスを乗せる。

やった、アイス♪と悦子は笑顔でアイスのふたを開ける。


「……俺の敵は社会人か」


「ふぇ?」


悦子はアイスに夢中だった。


「俺が飽きられないように、努力しないとなって思ってさ」


泰介の顔が見る見る赤くなっていく。


「アイスが溶けるじゃない!」


悦子の顔も赤くなっていた。




―――――――――――――――――――――――――


「あぁーむかつく」

「あちぃあちぃ」

「なんなんだ隣のバカップルは」

「食いすぎだよな」

「そこはどうでもいいよ。俺も思ったけど」

「いや、あれ1日分のカロリー軽く超えてるから」

「お前家政とってたっけ?」

「最近メタボが心配で…」

「じゃ食うなよ」

「あっやめてっ」

「キモい声出すな」

「やぁーめぇーろぉぉぉぉぉ」

「低い声出すな」

「や…」

「め・ろ」

「はい、調子乗ってましたスマセン」

「…ここで男二人で飯食ってギャーギャー言ってる俺らって惨めだよな」

「まるでバカップル…」

「い、痛いな。静かに食おうぜ」


「……」

「………………」

「…」

「なぁ」

「何」

「静かに男二人でハンバーガー食うのもかなりイタくないか?」

「それ俺も思った」

「普通に食おうぜ」

「そだな」

「…」

「……」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


おしまい

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