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1:尾崎みなみ

…あぁ、もぅ!!


あったま痛ぁーい!!


むかつく マジで


「ほにゃしき、あたし頭痛い!」


尾崎みなみ。大学3年生、21歳。性格、最悪。容姿、自分ではキレイ形だと思っている。

彼氏、無し。下僕、一人。


ほにゃしきと呼ばれた眼鏡のさえない男は、

黙って薬と水を差し出す。


「鎮痛剤です。多分、みなみさんの場合、虫歯が原因だと思いますよ。病院に行ってください」


本屋敷健一。大学2年生、20歳。性格、温厚。ひょろひょろしていて不健康そうだという理由で、みなみに「ほにゃしき」とあだ名をつけられた。彼女、無し。みなみの下僕扱い。


図星を疲れたみなみは、ちっ、と舌を鳴らし憎憎しげに健一を見上げる。


「う…っさいわね、何であんたがそんなこと知ってんのよ」


空になったグラスを健一に突き出す。


「だって最近ご飯食べる時物凄い形相になってますよ」


「見てんじゃないわよ!気持ち悪い」


かっとなって近くにあった雑誌を健一に投げつける。

足に雑誌をぶつけられた健一は、「あ痛。」とさして痛くもなさそうにつぶやいた。


「歯医者行くの怖いんですか…?」


健一は、まるでませた子どもを試すような言葉を吐き、ニヤリと笑った。


「ば、馬鹿にしてんの?!腹立つ!!ほにゃしきの分際で!!」


健一に見下された気分になったみなみは、顔を真っ赤にしながら今度は近くにあった花瓶を健一に投げつけようとした。


「病院行く前に警察に行きたいんですか」


あわてて健一は花瓶を引ったくり、みなみから遠ざけて置いた。

代わりに健一の背中には消しゴムやら鉛筆やら定規やら、みなみが自分の筆箱から取り出した文房具が投げつけられていた。


「小学生じゃないんですから」


無抵抗のまま呆れたようにみなみを見下ろす。


「見下ろしてんじゃないわよ」


不満そうに真っ赤になって膨らませた顔をクッションで隠しながらつぶやく。


「病院行くって約束してくれますね?」


みなみは無言で首だけを縦に振った。






―――――――――――――――――――――――――――


「本屋敷ってみなみ先輩に下僕扱いされてるよな」

「違う違う、あれ愛情の裏返し。みなみ先輩が、本屋敷に、ぞっこんなんだよ」

「お前、『ぞっこん』て。他の表現ないのかよ」

「…激ラブ?」

「…お前国語成績悪かっただろ」

「うっせぇな」

「じゃ、みなみ先輩に下僕扱いされてるように見せかけて実は本屋敷が手の上で転がしてんだ」

「というか懐柔してるというか」

「懐柔なんて難しい言葉知ってたのか」

「…馬鹿にしてんのか」

「恐るべし本屋敷」

「無視すんなよ」

「馬鹿にしてんだよ」

「し、しどいっ!!」

「とりあえず、めでたしで」

「え、こんな風に話進んでくの?」

「そうなんじゃね?」

「俺ら名前だけでも登場するかな」

「さぁ〜」

「……………………」

「………………」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


おしまい















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