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6.こうして夏休みは終わった(最終話)

 そんな形で隠しキャラその2騒動は早々に収束した。

 ここがゲームとは似て異なる世界なのだと再認識する。ヒロインはどちらかと言うと可愛い系で決して美人ではない。ゲームでのシクカがナルシストという設定はなかったのだろうと思われた。

 つくづく不思議な世界だなと思いながら、そういえば世界の設定を覗き見て他の世界にネタとして提供する困ったちゃん(妖精や悪魔のような存在)がいると何かの物語で読んだことがあった気がする。もしかしたらこの世界のある設定とやらが異世界にある例のゲーム会社に伝わり乙女ゲームになったのかもしれなかった。おかげで私としては様々な対策が取れたわけだがあくまで酷似した世界というのを忘れてはならない。


「結局隠しキャラの魔術師に会えなかったー。でも隣国の王子にはぜったいぜったい紹介してよ!?」


 情報を提供してもらったので一応化粧の部分をぼかして(私の顔のことはまだヒロインには伝えていない)収束の経緯をヒロインに伝えたらすごい勢いで詰め寄られた。だから近いってば。


「それは安心してちょうだい」


「シーアは王太子と婚約してるからもう誰にも興味はないのよね? 恋愛的な意味で」


「ないから安心しなさい」


 恋愛的な意味ならそもそも最初から誰にも興味はないが、それを言ったらヒロインが暴れそうな気がするので言わないことにした。



 さて、くだんの魔術師だが全くおとがめなしということにはならなかった。

 婚約披露パーティーの夜だけならともかく私が王城へ顔を出すたびにまとわりついてきたのである。しかも魔術師はよほど自信家らしく堂々と私を口説いていた。さすがにこれは父親である宰相の耳にも届いたらしく、学園の夏休みが終わる前に国境の町へ派遣されることになったという。いわゆる左遷、というやつである。とはいえショウサイ公爵家の嫡子なのでほとぼりがさめれば戻ってくるのだろう。

 それよりもどうやら王太子や私の兄に相当締め上げられたようである。教えてくれたのは王太子だが。

 兄はそれこそ剣で叩き斬る勢いで魔術師に迫ったらしい。そういえば兄は魔術もそこそこ使えるのだった。魔術師団第二の方々を証人として模擬戦を行い、文字通り魔術師を完膚なきまでにぼこぼこにしたのだとか。うーん、やっぱり兄は素敵すぎる。しかもそれを私に悟らせることなくスマートにこなしてしまうところが頼もしく、どうしても兄離れをさせてくれない。


「……兄さま、相変わらずかっこよすぎますわ」


 ほうっとため息をついて宙を仰げば王太子が苦笑しているのが横目で確認できた。だってしょうがないじゃないか。私の兄は完璧なんだぞ!


「それでよくシェーンの婚約を認めたね」


「なにか勘違いされていませんこと? 兄さまの幸せが第一ですのよ。もちろん婚約した方が兄さまに釣り合わないと思えば反対したでしょうけど、カロリーナさまはその点素晴らしいですわ」


 未来の義姉は控えめで何かと私を気遣ってくれる。これはもうできるだけ迷惑をかけないように早くお嫁に行かなくては! と拳を握りしめるぐらいである。


「兄の幸せが第一か。じゃあ君の幸せは?」


「私の幸せ、ですか」


 きょとんとした。無事第二王子と婚約解消した。ヒロインとも和解し仲良くなった。自分が望んだわけではないがすでに婚約者がいる。これ以上何か求めることがあるだろうか。


「シーアはもう少し自分のことを考えた方がいい。君はいつだって周りのことを考えすぎて自分がおろそかになっているように見える」


「……そうかしら」


 私はいつだって自分のことしか考えないでやってきたのだけれど。王太子が私の手を取り、そっと優しく口づけをする。


「そして、できれば私とのことも真剣に考えてほしいかな。未来の可愛い奥さん」


 ここで固まる以外、私に何ができただろう。

 王太子は兄ほどではないがイケメンである。それが至近距離で、薄化粧の私に甘い眼差しを送っている。

 何故か顔が熱くなってきた。なにか悪い病気だろうか。土器がムネムネして……以下略。

 文字通り全身真っ赤になった私の手に、王太子は再度口づけする。


「シーア、毎日だって言うよ。君が好きだ。君の気持ちがもし私に向いたらその時は……わかっているよね?」


「……う」


「う?」


「ううううう……うーは美しくメイクして帰りますのうー! 失礼させていただきますーーー!!」


 情けないと言うなかれ。私は文字通り敵前逃亡した。


「本当にシーアは面白くて可愛いな」


 という王太子の呟きを背中に聞きながら。

 王太子よ覚えとけ!! いずれ絶対にぎゃふんと言わせてやるからな!!



 二学期に入るとまた寮の部屋に従兄からの花束が届けられるようになった。そこにメッセージカードが1枚。


”シーアが結婚するまでは花を贈らせてください”


 従兄なりのけじめなのだろうか。そこまで従兄が私を想ってくれていることに申し訳なく思う。でも彼の気持ちに応えることはできないから、せめて花ぐらいは黙認することにした。

 しかしいいかげん侍女が作ったドライフラワーも増えてきた。秋口の文化祭で販売してやろうかと真面目に考えてしまう程である。


 そして。


「サワクーロさま! 約束を果たしてくださいませ!」


「そうね、タイミングをはかりましょう」


 鼻息を荒くして詰め寄ってくるヒロインに苦笑する。欲望に忠実な友人も面白い。



 後日、ヒロインを隣国の王子に紹介したことでまたなにがしかのトラブルを引き寄せることになるのだが、当然ながらこの時の私は想像さえもしていなかった。



 おしまい?

兄さま最強伝説(何

悪役令嬢の巻き込まれ体質はこれでなくなったのか(謎


これにて続編完結です。お付き合いありがとうございましたー!

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