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閑話 ある日の会話みたいです。

私には今気になっている人がいます。先日のお茶会で初めてあったスピカ・フォン・ヴァーゴ嬢。今まで私は王子として慕われ、敬われてきたし、それが当たり前だと思っていました。そんな中彼女は私を慕わない、敬わない挙句の果てに逃げようとすらする。そんな彼女が新鮮で面白かったのです。

「スピカ嬢……宜しいのですか?

私は一国の王子ですよ。敬わないと首を跳ねられてしまうかも知れませんよ?」

ある日私はそう尋ねた彼女は可笑しそうに笑って答えます。

可笑しそうに笑って答えるような質問じゃないのにも関わらず……

「ここで死んでしまうのもいいかもですね。」

本当に可笑しそうにクスクスと笑う彼女の答えに驚きが隠せません……彼女は死を望んでいるのでしょうか?

「……何故でしょう?貴女は貴族のしかも、公爵家の生まれでしょう?不自由も不幸も無いでしょう?」

「公爵家の生まれだからって不自由も不幸もないわけじゃないですよ。

実際、私は母がいない事に不自由を感じています……」

そう告げた彼女の横顔は憂いを湛えていた。確かに母親が居ないというのは不自由で彼女は誰からも同情される様な人物なのかも知れません。

何となく彼女が不憫に思えました。

「それは……」

「なにも、言わないで。同情的な言葉は何回も聞いたから!!

結局王子も皆と一緒なんですね。母が居ないと知ったら同情ですか?」

同情……していたのかも知れません。私の母は健在しており、兄弟は居ませんがそれでも、幸せです。

母のいない悲しみというものを想像して勝手に辛いのだろうと解釈していたのかも知れません。

「確かに……母が居ないのは同情を誘うものです。それに、兄とも、弟とも血が繋がらない……唯一の肉親は父のみです。それでも……いえ、それって本当に不幸なんですか?」

その問いかけに思う事があった……母親が居ないのも兄弟と血が繋がらないのもなにも、彼女に限ったことでは無いことに……実際孤児院には母親も父親も居ないというものも多い。貴族には半分しか血が繋がってない兄弟にどう対応すべきか悩む者も沢山いると聞いた……

自分の周りには更に不幸な者もいる、それにいち早く気づいた彼女は強く、美しく見えた。

「申し訳ございませんでした。」

彼女は豆鉄砲を食らった鳩のようにきょとんとした。そんなに驚く様な事だったのだろうか?

つんつんと肩の辺りをつつくと彼女はハットした顔をして後ずさった。

「あぁ……その……今日話した事は誰にも喋んないでくださいね……死んでしまってもいいだなんて誰かに聞かれたら私が死にたがってるみたいに勘違いされるんで!!」

彼女は死にたいわけでは無いのでしょうか?もしかして、死んでしまったら死んでしまったと言う半ば諦めのような物なのかも知れません。

おかしな所を気にする強く、美しい彼女に惹かれるのは時間の問題でしょう。

それまで彼女に好いてもらえるよう努力します。

今回は王子様視点でスピカさんを好きになった理由として書かせて頂きました。

同情されることが一番辛い事だとどなたかに聞いてから同情されてもなお強く生きようとする方が本当にかっこよく見えてしまうのでどうせならスピカさんにそんなカッコイイ女性になって頂きたいなと思いました……


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