まさかの展開みたいです。
ぼーやさんに、連れられてやって来たのは見慣れた。
正確に言うとゲームのスチルで見慣れたヒロインの家でした。もしかして、ヒロインはぼーやさんの妹か、お姉さんという事ですか?
なら、ますますヒロインに無下な扱いは出来ないかも知れませんね……
「あ、あのっ…す…すみません…助けて……頂いて…お、お家までおじゃましてしまって……」
「困っている人は放って置けないので……後、僕ぼーやさんじゃなくてエリスって言う立派な名前がありますよ?」
ぼーやさんは名前じゃ無かったのか!?
それよりエリス……?エリースでは無く?
「ええっ……これは、とんでもないご無礼を!?申し訳ございません!!
命を助けて頂いた上にお名前を間違えるなんて!!」
「だいぶ、涙は引いたみたいで良かった。そこ座ってて、お茶、入れてくるから。」
前世で見慣れているとは言え今世では初めて普通の家、しかもヒロインの家だどうしてもそわそわと辺りを見廻してしまう。
「平民の家は落ち着かない?」
ふんわりといい香りのする紅茶がコトリと目の前に置かれた。
それに、美味しそうなお菓子がついてる。決して貴族のお茶会で出る様なキラビヤカなものでは無いが素朴な感じでなかなか美味しかった。
思わず「美味しい……」と呟いてしまったからか、目の前の彼に笑われてしまった。
「お菓子美味しい?お貴族さまの口に会うとは思えないんだけどな……」
どうやら、エリスさんは私が貴族の令嬢だと薄々気がついているのだろう……
やたら、貴族だとか、平民だとかの発言が目立つ。
「確かに、なかなか立ち入らないと言うより立ち入れない家ですからなかなか興味深くはあります……お菓子は、美味しいです!!」
彼はふわふわと笑った。ヒロインの家族だからだろうか?
その顔は酷くヒロインの笑顔と重なって見えた。
「と、ところでエリス様にはエリースというお名前の妹様かお姉様はいらっしゃいませんか?」
変な、質問をしてしまったのだろうか、エリスは一瞬驚いた様な顔をしてそれから腑に落ちない様な不機嫌な顔をしてから笑顔を作り「まさか、エリースは生まれてすらいませんよ。」
と笑った……どういう事だろうか?ヒロインが生まれてないだなんて聞いたことすらない。
「それより僕だけ名乗るのもおかしな気がしませんか?」
それもそうだと思った。しかも、命の恩人に向かって名乗ってすらなかったなんて悪役令嬢が聞いて呆れる。
「スピカです……本当にこの度は命を助けて頂きありがとうございした。」