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閑話 呪術師さん視点のようです。

入学式、僕は代表のスピーチをことわった。代理にスピーチを読んだのはこの国の王子。

僕の見た目は特殊だから、王子のように華やかな舞台に立つことは出来ない。きっと新入生達も僕みたいな奴がスピーチを読むより王子が読んだ方が幸せな入学式を迎えれるだろう。そんな事を考えていると斜め前に座っている幼なじみのレグルスと僕の前に座っている女がひそひそと僕の事を話し始めた。

あまり自分の事を話されるのは嬉しくなかったから彼女の椅子を蹴った。

彼女が何やら叫んだので隣に座っていたレグルスが手刀で意識を刈った。レグルスは虫も殺せないような顔をしているくせに平気でそういう事をするから驚く。


彼女が目を覚ます。銀糸の髪に月の様に輝く瞳、女性らしい丸みを帯びた身体付きの綺麗な人だ……

レグルスが意識を刈った事に謝罪をしていたが彼女は何事も無さそうに微笑んでいる。

彼女の椅子を蹴ってしまった事に謝罪する。そもそも僕が椅子を蹴らなかったらこんな事にならなかったのだが、と言うか、椅子を蹴った時点で思ってた反応と違ったからこんな事になったのだ。

「その、あまりにも後ろの彼が綺麗だったので驚いてしまいました……」

彼女が少し興奮気味にそんな事を言うから驚いた。普通この髪と目を見ると驚いた様に目を見開きそれから、少し伏せて後腐れの無いように去っていく。間違っても綺麗だなんて言う人はいない。僕を懐柔する為に近づく口実か、それとも本心か…それは分からない。

レグルスがいくつか質問をするが、彼女は然もありなんとでも言うように平然と答えていく。今まで畏怖や恐怖のような感情しか向けられて来なかったから綺麗だとかそういう事を言われて嬉しかった。

怖がられるのが普通だと思っていたから彼女が髪の色や目の色で僕を怖がらないのが嬉しい。それに、そこに惹かれる。

でも……僕が呪術を使うと知ったら怖がって離れていくだろうか?それなら、本格的に彼女に惹かれてしまう前に彼女から離れてもらわなければならない。僕はもう、傷つきたくない。


彼女は僕の放った魔術を平然と顔色も変えずに避けた。慌てて呪術を解除しようとしたが、間に合わずレグルスに当たった。

彼女は淑女らしからぬ声を上げてレグルスに駆け寄った。

とても不味い。彼女を殺すつもりは無かったから一、二時間程度悪夢を見続けるだけだが、一、二時間もレグルスに眠りこけられては困る。どうやって起こそうかと考えているとレグルスが目を覚ました。彼女がなにかしたのは明白だ。

レグルスに注意されたが、僕の放った呪術は完璧だった。スピード、タイミング共に人に避けられ無いものだ。にも関わらず彼女は当たり前のように避けて見せたのだ。

レグルスが自己紹介を始めたので僕も愛称を名乗る。でも、レグルスに笑って正式名称を告げられてしまった。

僕等が名乗ったからだろうか、彼女も名乗った。どうやらスピカと言うらしい。彼女の名を聞いてからレグルスが真っ青になって謝った……なぜ?後で聞いたところ、スピカはとても偉い人の娘らしい。

スピカが僕らと仲良くしようとしてくれていることを知ってより一層彼女を好ましく思った。

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