王子様に攻略されそうです。
「僕も君も貴族社会に生まれなかったら良かったのにね。そしたら、僕が君を思い続ける事も出来ただろうに。」
何となく……なんとなくだけど、この人の手を離してはならないと思った。
もしここで断ってしまえばゲームでのあのドSでありながらどこか悲しい表情の王子を産んでしまうのでは無いかとさえ思える。
「19……私が学園を卒業して一年経ってもまだ私のことを好きで居てくれて尚且つ私が生きていたら結婚しましょう。」
王子に向かって随分傲慢な条件だと思う……それでも、今婚約してヒロインに王子を取られるとかそんな理由でヒロインをいじめたくない。どうせなら、笑って彼らを祝福したいのだ。
転生してから随分私は、我が儘になったのだ。
「そんな事でいいのなら喜んで。」
さっきまでの狂気も儚げな微笑みもどこへ消えたのかパッと花の咲くような笑みが王子の顔に浮かんだ。そんなに嬉しいことなのか……
「スピカ様はよろしいのですか?」
アクルックスが無表情で、どこか不安げな様子で問いかける。なぜ、その問をするのかは分からないが明るく答えた。
「ん?あぁうん。何年も一人を想い続けるなんて並大抵の事じゃないと思うよ?」
「殿下なら、やり遂げると。」
アクルックスの答えにすこし疑問を浮かべていると、褒めてくれと言わんばかりにどこか、嬉しそうに告げる。
「君に会いたくて1週間かかる領地まで3日で行ってきたからね。」
「えっ……」
うええええ!?怖すぎるだろ……きっと私は今顔面蒼白だと思う。
「知らなかったスピカ嬢が悪いのですよ。」
やっぱり逃げようかな……?
「ダメですよ。19まで逃がしてあげません。」
そう告げて私を抱く王子が10歳に見えないのは私のせいじゃない。
短ぇ……∑(゜△゜;)
次回から学園に入学させたいと思います。