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転生しちゃったみたいです。

「ごめん……スピカ。」

綺麗で豪奢な衣装を着た青年がワインで汚れたパールピンクのドレスを着た少女の肩を抱いて告げる。

するとすぐに場面は移り変わった。

「スピカ様……正直貴女には幻滅しました。」

今度は重そうな鎧を纏った騎士だ。

息も絶え絶えになっている魔道士のローブを羽織った少女をお姫様抱っこして告げた。

また、場面が移り変わるのだろうか?

「スピカ……いくら僕が家族だからって許せる事と許せない事が有るんだよ?」

その次は質素だが質の良さが感じられるセンスの良い簡素な服を着た青年が同じような服を着た少女の手を取り血溜まりに踞る少女を冷たい目で見ながら告げた。

彼らが血溜まりを作った訳では無い。うずくまる少女が自分で作ったのだ。

次はどんな場面だろうか。

「スピカねぇ様、意地悪はよくないと思います……」

柔らかな笑顔の少年が少し年上の少女の腰に抱きつきながら告げる。

無邪気さ故に許される事なのだろう……

何を間違えても大の大人が少女の腰に抱きついて人としゃべるだなんて許されない。

この夢にも慣れてきたのだろうか?そんなどうでもいいことを考える事が出来るようになった。

「スピカさん、君ほどの魔道士がこんな事をするなんて信じられないです。」

次は学園の制服を着た青年が魔道士のローブを肩にかけ震える少女を庇うように立って告げる。

少女の物にしては随分大きかったからきっと青年のローブなのだろう。それにしても、なぜ、少女は震えているのだろうか?

「……許さない……」

真っ黒なローブをフードまで被った青年なのか少年なのか少女なのか分からない人が告げる。おかしい、少女が居ない。

「スピカ嬢……いくら公爵家のご令嬢と言えどやっていい事と悪い事があります……何の為に学園に来んのですか?」

先生だろうか?

優しげな雰囲気の男性がゆっくりとしかし、確かに、責めるように問われる。

私に答えられるわけが無い。

「スピカ……信じらんねぇよ。なんで、こんな酷い事したんだよ!?リゲルも傷ついてんだろ!?」

黒髪に黄色い目……まるで黒猫みたいな学園の制服を着た青年が執事服を着た青年を連れて告げる。

どこかで見た事がある様な気がしてきた……

「お嬢様?私は、貴女の側に居りました……でも、もう耐えきれません……」

前の執事服を着た青年だ。

学園の制服を着た少女の側に立ち辛そうに告げる。

なにが、そんなに辛いのだろうか……

場所が変わり、時間が変わり、セリフがかわり、人が変わり。

でも、どんなに変わっても“スピカ”を責め、別れが告げることを予感させる様な言葉と表情は変わらない。

あまりに突然の事に頭がついて行かない。

これは、一体どういう事なんだろうか?


「お嬢様!!」

うぅん…人気声優の声だと言われても疑わない様な少女とも少年ともつかない声で起こされる。

随分前に熱を上げた人気声優の声とよく似ていると思うけど……

でも、それにしては少し声が高い気がする

「お嬢様!!起きて下さい!!僕が旦那様に叱られます!!

ヴァーゴ家のご令嬢が朝寝坊でお茶会に遅れたなんて体裁が良くないですって!!」


「あと五分……もうちょっと…ね?」

自分の家の布団ではないふわふわな肌触りとかっこいい少年ボイスに包まれて眠りたい……どうせ暫くしたら覚める夢なんだし、もうちょっと夢見させて……

それにしてもリアルな肌触りだなぁ……自分の想像力がつくづく無駄に素晴らしいと思うわ。

と、思ってたらがばっと布団を捲り上げられ抱き上げられる。

11,2歳の少年……?少なくとも花も恥じらう女子高生を11,2歳の少年が抱き上げるだなんて芸当できる人は私の周りには以内。

つーか、この少年どこかで見たな。じーと見てたらどうやら、視線に気がついたらしく花の咲く様な笑顔で笑った。

「スピカお嬢様お早うございます。旦那様にお寝坊の事……申し上げておきましたよ?」

…………?

そうしているととんでもなく怖そうなおじ様が少年と同じ年頃位の男の子と、5,6歳位の男の子を連れてやって来た。

「スピカ?あれだけ、今日は寝坊してはいけないと、言ったにも関わらず寝坊しただなんて許される事だと思ってるのか?今日は王宮で茶会だと言っておいただろう!?シリウス王子とお会いすると言っておいただろう……すぐ準備をしなさい!!」

低く唸るような声で告げられる……王宮?茶会?ボーとしていると、金色の髪、蒼穹の瞳、優しげな笑みを浮かべる形の良い唇……シリウス王子?王宮………

「か……輝く君に捧ぐ!?むり、行かない!!だめ!!死ぬ!!」


12/19

加筆修正。


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