ある人の夢③
夢の国の話はいつまで続くのでしょうか?
エリスは再び生まれる。主人公はエリスだ。そのエリスは、夢の国に革命を起こしていこうと頑張っていた。
私は、二度死んだ。夢を見ている張本人は出てこない。
この国もまた、いい加減な人たちの集まりであった。
この世界が、どうしようもない不幸を実現するためにあるなら生きようとは思わない。
夢を見ている張本人と話すことを決めた。
高校生の女の子。
すぐに見つけることができた。
「ちょっとすみません」
私は彼女に話しかけた。
「はい。何ですか?」
これまでのことを話した。
気持ちは悲しいとかもう嫌だという気持ちだったかもしれない。
涙も落ちそうになった。
落ち着けと私は心に聞かせて堪えた。
彼女は言った。
「夢の世界に不幸が実現しているのは、私が原因ではないと思います。現実だって夢の世界に勝るとも劣らない不幸を実現しているのですよ。私は、夢の世界に逃げました。夢の世界は、可哀想な人だらけで、現実世界も可哀想な人だらけです。あなたは、この世界をどう見ているんですか?」
難しい話だと思った。
夢の世界は確かに現実を見た彼女の見ている世界だ。
現実か。
私はこたえた。
「夢の世界に逃げても、現実が変わらなかったら、幸せになれないよね。この世界に不幸をばらまく人がいるのね。私は、私の生きている世界を変えたいの。そして、もう二度と民衆を殺したくないから、あなたの相談相手になりたい」
少女は言った。
「あなたには無理かもしれない。だって気づいてないじゃない。あなたは夢の世界に生きている私自身の夢の世界に生きている」
私はこたえた。
「言ってなかっただけで、気づいてないわけではないの。私の生きている夢の世界を陥れる原因が、あなたの思い描く夢の世界であり、あなたの生きている世界に不幸を実現しているのが誰なのか……。それは分かりきっていることだから、何も言わないようにしているの」
少女は言った。
「どうして何も言ってくれなかったの? 言ってくれたら私の生きる不幸な世界の現実を止めることができたかもしれない。いつになったら、私は幸せになれるの? いつになったら、私は私の生きている誰が見ているのか分からない夢の世界で幸せになれるの?」
皆が不幸な世界を変えるには、不幸の根源に終止符を打たなければならない。でも、私にはそれができない。
この不幸の原因を打ち破るためには、現実を直視しなければならない。私にはそれができない。どうすればいいのか分からない。
そこで私は言った。
「あなたには人を不幸に陥れておいて、それを傍観する権利があるかもしれない。でも、不幸になっている人は、不幸なの。そして、簡単にはその心の内をさらけ出そうとはしない。本当の心は、あなたにだって分からない。神様がこの世界を創造したと言ったって、私の不幸な世界の現実を創り出した神様を私は必要としない。あなただって同じこと。夢の中で私たちが不幸にならないように、私たちが、幸せになれるように、あなた自身が自分の世界を創り上げてほしいの」
少女は言った。
「私にそれができないから、あなたを夢で見ているの。私はあなたを私として創り出したわけではなくて、私の理想像として創り出したの」
私は言った。
「あなたは、必ず不幸な世界の現実を変えられる。でも、不幸の原因に気づかなければならないわ。本当の不幸の原因をあなたは、夢の中で追求しているのだから」
少女は言った。
「私、あなたが何を言いたいのか分からないけど、不幸の原因を打ち破ることが、先決なのね。でも、頭の中が整理できないの」
私は少女の手を取り、歩き出した。空を見上げる。
私は言った。
「空を見上げるのは何のため?」
少女は言った。
「楽しいから?」
私は言った。
「不幸の根源に訴えかける機会をつくるためだよ。この空の向こうに生きているわけではないわ。私自身の中に生きているわけでもないと思う。でも、不幸の根源に訴えかける必要があるの。私たちは、空を見上げるために空を見上げたんじゃなく、何のために空を見上げるのか考えるために空を見上げるの。民衆を不幸に陥れる原因を何のために生み出しているのか。私には分からない。でも、私たちはその奴隷になっちゃいけないの。あなたの言葉も、私の言葉も、ある意味で奴隷の言葉かもしれないけれど、この一言一言によって、不幸の根源が変わるならば、私は発言をやめない。やめさせられても、私の心の奥底までは操らせない!」
少女は言った。
「誰に言っているの?」
私は言った。
「この世界を不幸にしないでほしいから、不幸の根源に訴えかけるように言っただけだよ」
少女は言った。
「訴えかけたら、私の生きている現実も、不幸の連続から変わるのかしら?」
私は言った。
「決して不幸の連続から逃れることはできないと思う。でも、戦いなのよ。私はあなたの夢の国で戦っている。あなたはどうなの? 気づけるはずよ。夢の国の私には分かりきっていたことだった。でも、みんな分かっていないのね。必ず気づかなければならないわ。私は誰なのか。あなたは誰なのか。そして不幸に陥れた原因は何なのか」
少女は言った。
「分からないよ。だって、分からないんだもん」
私は言った。
「分からないなんてこと分かりきっているの! どうしてか分かる? この世界の不幸を撒き散らしているのは、権力者なんかじゃない。金持ちなんかでもない。夢の国の私には変えることができないかもしれない。でも、それを変えるには、幸せになることを祈ってあげる以外にないの! 幸せになることを、信じてあげるしかないの!」
少女は言った。
「私の幸せを祈ってくれるの? 」
私は言った。
「あなたの幸せを祈って、あなたは幸せになるのかしら? 私は発言を省略し過ぎているかもしれないけれど、不幸の原因は、もう誰もが知っているかもしれない」
少女は言った。
「私は、あなたの幸せを祈ってあげる。私も何回みんなを不幸にしたら気がすむんだろう。そして、気づいた気がする。私は、あなたの幸せを祈ってあげる。あなたが幸せにしたい人を本当に幸せにするには、そうするしかないと思うの」
私は言った。
「あなたの祈りが叶うことを、私は、信じる。私は、私の祈りが叶うことを信じる」
少女は夢から覚めようとしていた。
私はその前に彼女に言った。
「たとえ、不幸の原因を知ったとしても……あなたは必ず知ることになるけれど、恨んじゃいけない。私だってこの体を捧げても、心の奥底だけは捧げていないもの。絶対に分からないんだもの。あなたの心の奥底も分からない。私も知らないけど、心の奥底だけは絶対に捧げないでね」
少女は言った。
「何となく分かった。私もエリスのように、何かよく分からない不幸の原因となっている存在に対して、私の心だけは捧げないよ」
私は思った。
あなたには無理なのよ。傍観者である前に、人間にならなければならない。あなたには私たちを心の底から支配するなんてこと無理なのよ。人間ってそういう意味で、本当に不幸の原因を打ち破るためには、苦労しそうね。