権力者に翻弄され続ける民衆の物語
ぼくから見た2009年の衆院選〜2012年の衆院選の日本。
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Q.この物語は誰に向けて書いたものか?
A.この物語は2009年の選挙において、民主党政権を生み出した3000万人の国民に対しての物語です。
この物語をもって、ぼくの革命小説家になるという夢は叶ったと思っていきます。
その心は、単に「国民の皆さん、もういい加減にしてください。政策について何も考えずに、自分の都合の良い解釈で評価して、選挙に行くことを反省してください」という内容です。
約1億3千万人の中で3000万人は多いです。
日本国民の4人に1人が民主党政権を生んだ張本人なのに、何も無かったかのように平然としています。
この中での3000万人に対する皮肉、風刺、精神改造の訴えは自己評価で満点と思います。
ぼくの書きたいものは書けました。自分が3000万人の投票者を表す物語を書けたと思います。
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ある人の夢の中。
この夢を見せるのは他でもない作者である。
欲望に支配された人々の伏魔殿は、その国の統治者の城であった。その中にあって政治家が欲しいままに権力を濫用していたのである。その反抗の声を挙げたのがエリスだ。
「ようやく、登りつめた。私は勝ったのだ。金と権力の亡者共を叩き潰し、私はついに、新しい民衆の代表になったのだ」
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2009年8月30日に理想的なマニフェストを掲げた民主党が政権を取ったことを示す。
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新しい国の指導者になったのは女性であった。
この国の地方の村で育った女性であった。
彼女は、国の圧政に苦しむ民衆を救うために立ちあがった。そして、ついに圧政を続けた権力者たちに勝利し、戦いの終わりの時を迎えた。
レンガで固められた城壁は、崩されていた。民衆が剣を持ち、槍を持ち、大砲で権力者の城を囲んでいた。
そして、その城の中にいる権力者を捕らえた。
「エリス様、準備が整いました。民衆はエリス様を待っています」
エリスは、仲間のマリアに言った。
「愛する民衆が待ってくれているの? すぐに行くわ」
エリスは今、城の中で、頭を整理していた。これから先のことを考えていたのである。美しい城の中で、汚い仕事は行われていた。それを払うためには、何をしなければならないのか模索していた。
エリスは、その悪事を調べあげて、調査書や日記にまとめていた。
民衆を思うエリスにとって、この戦いをもって、国を安定させたいと思っていたのだ。
民衆は、そんなエリスを愛していた。
エリスが民衆のことを愛しているように……。
エリスは、城の前の広場に用意された壇上にあがった。そして、人々に呼びかけた。
「みんな来てくれてありがとう。私は、我が国を、金と権力で弄ぶ亡者共に勝ちました。私たちは今、何をなさねばならないのか。私たちは今、何が待っているのか。考えています。皆さんの意見も頂きたいです。本当に来てくれてありがとう。私たちは、必ずこの国を立て直してみせます」
「エリス! エリス!」
民衆は声をあげた。
夢の話の主人公は、この喜ばしい状況が長く続くように促したいのである。
時は早く過ぎる。
民衆の声があがるのは良い。
みんなの声があがる時はまだ良いのだ。
それから3年が経った。
エリスが国にどのような変化を起こしたのかみてみよう。
--------解説--------
2009年から2012年の3年間に民主党政権下においてもマニフェストは実行されたと思う。
1.高速道路
2.高等学校授業料無償化
3.税金を上げない(後に覆された)
こうしたマニフェストだけでも実施するために、たくさんのお金がかかる。それを国民は知っていた。
だから期待しなかった。しかし投票した。
期待していない政党に投票する、その判断や行動の理由は謎。
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「エリス様。なぜ、何もしないのですか!」
「マリア……どうしてうまくいかないの? 私はバカだから、わからないの。教えてよ……どうしたらいいの?」
エリスは悩んでいた。
エリスは思った。
(どうして、民衆の声が聞こえないの? 何で誰も聞かせてくれないの? 何が不満なの? 今、何が起こっているの?)
--------解説--------
一人一人の考え方の違いがある。そのために、エリスはその一つ一つの意見を聞いているが、全ての人が賛成するような政策はありません。国民は不満しか言わない人たちとしています。
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マリアは、心配していた。
(変わらなければならないものは変わっていない。エリス様はみんなに呼びかけた。でも、エリス様もみんなも、このままでは……)
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変わらなければならないものとは、国民のことです。
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エリスは悩んだ。
悩み続けていた。
このまま悩み続けていくと、誰も幸せになれない。
しかし、この国では、誰かを幸せにしようとすると、必ず他の誰かが不幸になるのだ。その原因が分からなかった。
一体この国に何が起こっているのか。
それはエリス自身が抱えていた大問題(※)であったのである。
--------解説--------ー
誰かを幸せにしようとすると、必ず他の誰かが不幸になることが大問題だと書いています。
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国の中で、その声は不意に出てきた。
以前権力を握っていた者達は、分かっていた。噂や風聞は"偉大な民衆"の心を動かすのに最も適したものであると。
「昔のほうがうまくいってたんじゃないか?……あんなどうしようもない女を国の指導者にして、何の意味があるんだ?」
--------解説---------
責任をエリスに押し付けています。
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民衆は、この声に動いた。
「何もできない無力な女を叩き出せ。あの頃のほうがうまくいっていたのだ……時間を取り戻せ!」
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煽りに動かされやすい国民の声。
これが私たちの教訓だと思う。権威・権力に対して、国民は戦時中も盲信した。
2009年になってなお、盲信的に国民がよく分からないマニフェストを掲げる政治家に投票したという現実がある。
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扇動に乗った民衆は、城を囲んだ。
マリアは、エリスの手を握った。
「エリス様……逃げましょう」
エリスは、民衆の声が聞こえたことに喜びを感じた。
しかし、悲しみも覚えた。
「ねえ、マリア……この国はどうなってしまうの? 」
「エリス様……」
マリアは、エリスの顔を見つめた。
エリスはマリアの顔を見て言った。
「愛する人は……どうして私を忘れるの? 私を忘れさせてごめんなさい……何もできなくて……ごめんなさい……」
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民衆のことを愛していたが、その極度の愛が、不満が出ればその不満を解消するやり方をしてしまった。
わがままな人の「あれを買って、これを買って」につながり、買ってくれなくなるとわがままな人は不満を述べる。
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城の前の広場の壇上に立ったのは、かつて国の中で力を持っていた人だった。
「金と権力が城の中にこもっている。税金泥棒が私たちを忘れて、苦しめている。私たちは何もしていないのに……私たちを苦しめる人間が……汚い欲望に支配された人間が、この城にこもっているのだ!」
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権力者のブーメラン発言。
以前の権力者がしていたことを全てエリスがしたように民衆に訴えている。民衆は以前の権力を忘れたのか、それに動かされてしまう。
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エリスの前の指導者や、そこに服して権力を持った人々は思っていた。
(今、私は〝民衆〟の1人。今や民衆の側である私たちは3年間何もしていない! これこそが肝心な事なのだ。エリスは何かを変えようと努力していた。それは結果の実らない現実には無意味だ。それは敗北を意味する。民衆は、エリスを指導者とする革命によって、自らの変革の可能性を生み出した。しかしその動き、その変動、それをうやむやにして、終わらせた。そして、追放された私たちを戻してくれた。昔から、〝私たちの問題〟への意見を考えられず、〝私たちの問題〟をうやむやにされ続ける、この国の民衆がまとまることはありえない)
--------解説---------
民衆に対する権力者の思い。
民衆は、まとまると制御できない。
民衆が政治を考えないでいるのに、国が悪くなったら政治家の責任だという。
権力者は、政治を考えない国民のほうが、問題の肝心、要と思っており、しかしながら、これを考えられると困ります。
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エリスは、城の中まで聞こえる声に涙を流した。
「何があったの?……ねえ、マリア!……どうして? どうして、この国の人たちは変わらないの?」
マリアは、言った。
「どうしてなのか分かりません! しかし、変わらなければならないものが、変わらなかった……」
エリスはその場にとどまった。
「……最後までこの声を聞いていたい。今、殺されても、この声を覚えていれば、次の世界で変えられるでしょう?」
マリアは床に手を付け、涙を流して言った。
「次の世界ですか。それでも悔しさ(※)は変わりません……」
--------解説---------
マリアは、民衆のために生きたいと思うエリスを思い、また権力に振り回される民衆を嘆いているのである。
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エリスは、マリアの手に優しく手を添えた。
民衆は城に入ってきた。
エリスは、その場で捕らえられた。
マリアも同じように捕らえられた。
この国は再び元に戻った。
その後、エリスは声が出せなくなった。
マリアは心臓を痛めて死んでしまった(※)。エリスは民衆の声が届くところで、ずっと声を聞いていた。
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心臓を痛めたのは、本当に悔しかったからである。権力者の思うままに動く国民のことを考え、悔しさを感じて死んだ。
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民衆は言った。
「あんなのが指導者になったからいけないんだ。あのようなバカを二度と指導者にしてはならない。私たちは二度と同じ轍を踏んではならない」
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民衆自身のブーメラン発言と言えます。
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エリスは泣いていた。
エリスに同情する人もいた。それでも、国が何も変わらなかったことには、文句を言っていた。
エリスは、その場で、ずっと悩んでいた。
「何も変わらなかったのはなぜだろう……。ごめんなさい。私を許して……」
エリスは、何年かして病気になった。
「たくさんの声が聞こえた。ありがとう。こんな私を許して……。本当に声を聞かせてくれてありがとう。私、次はこんなことにはしないから……。本当に変わるから……」
そう心の中で思いながら、エリスはその場で息をしなくなった。
これは高校生の女の子が夢に見た話であった。その女の子は言った。
「どうしてエリスは3年間何もしなかったのかしら?……でもそれ以上にどうして人々はエリスを裏切るのかしら?……まあ、夢の話だし、どうでもいいんだけどね」
高校生の女の子が夢の国の事に囚われる事はない。
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女の子は自分には関係ないと感じているように書きました。
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5年ほど勉強した後、大きく内容を変更しようと思います。
(2020.3.18〜2025.3.18くらい)