第7話 はじめての街
異世界 16日目
翌日、セイラの足が悪化する前に街に行って治療することにした。
「じゃあ、明日街に行ってみますか」
「そうですね。道わかるんですか?」
「あっ…」
「わからないんですね」
そうだな、街ってどうやって行けばいいんだ?
セイラも迷子で冒険者も初心者だって言ってたしこの森の地理に詳しくないしな…
「そうだ!街って川が近くに流れてたりしない?」
「そうですね、確かにこの森から流れてくる川の大体下流の方に街がありますが」
「おおっ!じゃあ、川まで行って下流を目指せばいいんだね!」
よっし
ついに街に行けるぞ!
「川までの道のりがわかるんですか!」
「木に目印つけておいたからすぐにでも川に迷わずいけるよ。確かここから30分ぐらいかかったはず。」
「30分って何ですか?」
そうか、異世界だと時間の単位違うのか。
「時間の単位かな。僕の故郷だとそうやって言うんだ。こっちだと、どうやって時間を分けるの?」
「一日を12刻として考えてますね。お昼が6の刻です。街だと、一刻ごとに鐘がなるんでそれで時間を計ってますね。」
「そうだね、そうなると一刻の半分の半分ぐらいの時間かな。ゆっくり歩いて。」
「そうですか。そういえば、ブラッドさんの故郷ってどこなんですか?」
あちゃあ、ついにきちゃったか。
一応、誤魔化しておくか。
「極東って呼ばれてるところかな。わかんないかもしれないけど、めっちゃ遠いいの。」
「そうなんですね。私あんまり学がないので、よくわかりませんがきっと遠いんでしょうね。だから、髪が銀髪何ですね。」
「ああ、これはまあそんな感じかな。銀髪ってこの辺だと珍しい?」
「そうですね、私はあんまり見かけたことないですね。でも、他種族の方だといたりするらしいですよ。私はまだあんまりあったことがないので何とも言えませんがね。」
そこまで目立たないなら、髪染めるのを考えてたけどいいか。
「じゃあ、朝ごはん食べたら街に向かおうか」
「はい、わかりました!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
結果的に言おう、川を辿って行く作戦は成功した。川がグネグネ曲がってたりして4時間ぐらいかかってしまったが、途中過程はともかく街にはついた。
このことについては、俺を褒めて欲しい。
なんせ休憩は入れたが4時間もの間、女性を背中におんぶして舗装されていない道を歩いたのだ。大変だった。いくら吸血鬼パワーをもってしても、4時間が限界だったのだ。
それに、途中でモンスターに会って走って逃げたりしたからもう大変。足がガクガクだ。
だが、男たるもの足を怪我をしている女性を歩かせる訳にはいかない。
それに、ご褒美もあったし。
ぐへへへへ( ̄▽ ̄)
諸君わかるだろう。私はおんぶを自らの意思で止めることはできないのだ。
柔らかさのために…
まあ、本当にそんなことともかく。
「やっと、ついた。はあ、はあ。」
「ブラッドさん本当に大丈夫ですか?もう街が見えてる安全な場所ですし、休憩してからでもいいんですよ。」
「いや。行きましょう。セイラさんの足の方が心配です。早く治療して貰わないと!」
キラッ
「ブラッドさん、優しいんですね!」(≧∇≦)
これで好感度が上がっただろう。
俺は、彼女ともっと仲良くためにこんなキザなことも言えるようになったのだ!
〈熟練度が一定値を超えました。
スキル「虚言」のレベルが上昇しました。〉
…嘘をついてるつもりはないんだけどな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そんなこんなで街の入り口までやってきた。
「門でかっ!」
「そうですね、私も初めて見たときそう思いました。でも、王都の門に比べると小さいって商人の方が前に言ってました。」
「王都のはこれよりでかいのか…」
見た限り、街の門は3mぐらいはある。
見た限り浅草の雷門ぐらいのデカさ。
これが小さいってどんだけでかいんだよ王都。
門に近づくと武装した2人の人が門の近くにいた。きっと衛兵だろう。
「街の中に入りたいんですけど?」
「身分証は持っているか?なければ、銅貨3枚を通行料として払う必要があるぞ。どうした彼女、怪我でもしてるのか?」
「はい、あそこの森で足を怪我したんです。その、どこかに座らせてあげられませんか?」
「ちょっと待ってろ。ジェイコブ、椅子持ってきてやれ。確か休憩室の中にあったろ。」
「わかりました、ロイドさん」
「すいません。ありがとうございます。」
「気にするなお互い様だろう。それで身分証は持っているのか?」
「自分はないです。」
「ちょっと待ってください。確か冒険者カードでいいんですよね。はい。」
「確かに受け取った。ん?お前セイラか?」
「はい。そうですが何かありました?」
「ギルドの職員からセイラという冒険者が薬草を取りに行っただけなのに1日経っても戻ってこないって心配してたぞ。」
「そうですか。ご迷惑おかけしました。」
「後でちゃんと、ギルドに行けよ。ほら。」
「ありがとうございます。あっこれ、銅貨3枚です。」
「そっちの彼の分だな。了解した。」
「セイラさんごめんね。払わせちゃって。」
「いえ、命の恩人なんですからこのぐらいさせて下さい」
「ありがとう」
そうこう話していると、
「ロイドさん、椅子持ってきました」
若い方の衛兵さんが椅子を持ってきた。
「ありがとな、ほら。嬢ちゃん座りな。」
「「ありがとうございます」」
「気にしないでください。仕事なんで。」
俺はセイラが座るのを手伝って、衛兵さんに気になっていたことを聞いてみた。
「あの彼女の治療してあげたいんですけど、どこに行けばいいですかね?」
「そうだな。手っ取り早く治療したいなら、治療院。ここの通りをまっすぐ行って二つ目の通りを曲がったところにある。ただし高い。もしくは、時間はかかるけど塗り薬なら安い。通りをまっすぐ行った冒険者ギルドの隣にある雑貨屋で売ってるのがいいかもな。
嬢ちゃんならギルドの場所わかるだろうし案内はいらないだろう。」
「ありがとうございます。あと、モンスターの素材ってどこで売れますかね?」
「基本は冒険者ギルドだろうな。あそこは適性価格よりちょっと低めで買われるけど、どんなときにどんなものでも何個でも買ってくれるからな。商人の知り合いとかがいるんならそういう奴らに直接売ってもいいかもな。必ず売れるとは限らないし、値段はまちまちだが、儲かるときもある。」
「へぇー、ありがとうございます。」
「そうだ、最後に一応幾つか質問がある。嬢ちゃんはいいぞ」
「わかりました。」
「はいどうぞ」
「お前の名前は?」
「ブラッドです。」
「お前犯罪歴はあるか?」
「いや、ないです。」
「ここで、商売しようとしてるか?」
「いいえ」
「どこの出身だ?」
「えっと、極東ってわかりますかね?すんごい東にある国なんですけど。」
「いや、聞いたことないな。」
「ロイドさん、確か海を渡った東にあるジャパニカの別名が極東だったと思います。」
ジャパニカってなにそれすごい気になるんだけど!
まあ、ここで聞いたら変だし。あとで調べるか。
「そうだったか。じゃあ、お前の変な服って。ああ悪いな。」
「いいですよ。確かに奇抜ですからね。前に極東で流行ってた服です。」
ちなみに周りはなんか中世のヨーロッパで着てそうな服なのに、俺はジャージである。
そりゃ、違和感半端ないよな。あとで、服買おう。
「そうか。じゃあ、質問は終わりだ。では、改めてハドニスへようこそ。これからよろしくなブラッド。俺はここの衛兵長をやっているロイドだ。」
「よろしくお願いしますロイドさん」
「俺は新米衛兵のジェイコブって言う、よろしく!」
「ジェイコブさんもよろしくお願いします!」
こうして、俺たちはやっとハドニスというらしい町に入れた。
異世界で初めての人里である。
まず何より、俺は肉と木の実以外の食い物が食いたい!
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種族 吸血鬼 lv 23
職業 「狩人 lv12」「釣り人 lv7」「詐欺師 lv1」
スキル 「吸血 lv18」「投擲 lv20」「ステイタス魔法 lv2」
「追跡 lv10」「釣りlv5」「魔力操作 lv8」「夜目 lv17」
「鎌術 lv7」「棒術 lv4」「採取lv8」「地図 lv2」「血の契約 lv0」
「魅了 lv1」「虚言 lv2」「浄化魔法 lv1」
称号 「ハンター」、「おねしょ野郎」、「釣り好き」、「投擲野郎」「鎌兎の使い手」「石が好きな人」「豚殺し」「嘘つき」「人でなし」
ついに、セイラ以外の人間に出会った主人公。
作者はうれしいです。いろんな意味で。
ここからの話はしばらくほのぼのとした感じのものを書いていこうと思います。
バトルが好きな人はすいません。
次回の投稿は来週です。では、また。