第4話 イノシシ、そしてラブコメ?
前回までのあらすじ
異世界の森の中でサバイバル生活をしていたブラッドはある日、女性の悲鳴が聞こえる。イノシシとの激闘(?)の末、彼が目にしたものとは!
こうは書きましたが、ブラッドは何も見つけません。
はい、すいません。
ではどうぞ。
俺が声のした方に駆けつけるとちょうど女性が血管猪に突進をされそうなところだった。
足が光ってるやばい。
あの血管猪とは何回やったことがある。
特徴はやはり突進だ。
直線的にしか動かないがスピードは早い。
最初はただの猪ぐらいのスピードでしか突進してこないんだけど、なんか血管が出るとスピードがものすごく上がる。
その状態で突進がうまく当たらないとさらに血管が浮き出て息が荒くなる。
きっと焦れて怒るんだろうな。
そうすると足が光る突進をする。
これがまた厄介で目が慣れないとよく見えない。
まだたきするともう目の前にいたりする。
きっとスキルを使っているんだろう。そうに違いない。
一瞬で距離を詰めてくる。
まあ吸血鬼の身体能力は素晴らしいので、レベルが低かった一桁台の頃はあんまり見えない速さでも、今やレベル23の俺にとってこの程度楽勝だ。やすやすと猪の突進が見える。
猪が動いた。
「さてと。血管猪め、喰らえ!!」
俺は小石を振りかぶって猪が通過するであろうところに小石を投げる。
パッシュ!!
俺の小石は吸い込まれるように猪の前足に当たる。
ドスッ!
「ふんぎゃあああ!」
ガガガガガガガ
猪は前足を攻撃されて体制を崩し、そのまま自分の勢いのせいで斜めに体を擦りながら転んだ。
これでやつの動きは封じたも同然だ!
「もう大丈夫だよ。あとは任せて!」
俺は女性に駆け寄り、猪から彼女を守るために前に立つ。
さっき見たときに気がついたが、彼女は足を怪我しているようだ。まあ、今はこの血管野郎を仕留めないといけないけど。
俺は腰にぶら下げてた二本の鎌兎の尻尾付き鎌に両手を伸ばし魔力を流す。
この鎌兎の尻尾。
なんででかくなったり小さくなったりするのか疑問に思い考えて魔力とか流せばいいんじゃね、と気がついたんだ。
そう思ったらやってみようってことで、心臓から魔力を流すイメージを強く意識し続けた。そしたらなんか抜けた気がして、鎌を見ると大成功。尻尾が伸びて鎌もでかくなった。
ちなみに、鎌の秘密には初日に思いついた。
だが、魔力を認識するのは一週間の修行を要した。
とてもつらかった。
だが、俺は魔力操作をマスターしたのだ!
もう怖いものはない。
まあ、あのあと鎌兎には3匹遭遇して、一本は練習で失敗して使いもんにならなくなったから小屋でナイフに使ってる。
で、残りの二本は今俺の手の中ってことだ。
俺は鎌をブンブン回転させて振り回す。
そして、走って豚に近づき。
グサッ、っと突き刺し、息の根を止めた。
<経験値を得ました。称号「豚殺し」を得ました>
「ふう、疲れた」
この血管猪足さえ攻撃出来れば、雑魚なんだよな。
突進しか攻撃方法がないし。
っていうか、「豚殺し」って称号ひどくね。
俺、人殺しみたいに言われてるんだけど。
レベルも上がんないか。
「そういえば、あの女性は?」
あたりを見回すが、女性の姿が見えない
あっれー?
って あっ!?
倒れてる!!((((;゜Д゜))))))
やばい、まさか俺がたたかっているあいだに死んじゃった…
ボトッ
そんなまさか…
いや、でも重症なのかもしれない。
俺は自分の持っていた武器を落としたのにも気付かずに彼女に駆け寄った。
こういう時ってどうするんだっけ…
そうだ、まず脈があるかどうか調べないと。
えっと、手首で確か確かめられたよな。
「ちょっと失礼します」
「小さいな、手…」
ってそんな場合じゃない
脈は…わからない
くっそ
よく考えたら俺自分のも測れないじゃん!
まして他人の脈が手首からわかるわけがないじゃないかよ。
えっと。えっと。そうすると…ごっくん
「首ですよね~」
あああ、初対面の人の首触るとかただの変態だろ。
でもな…彼女が死んでるのかわからないし。
ええいままよ!どうにでもなれ!
俺は彼女の脈を首で測った。
結果、普通に生きてました。
よくよく考えたら、息してるし。
そこで気が付けよ俺。
人間テンパってはいけない。常に冷静であるべし。
「…まあ大丈夫そうだね。じゃあ、この人どうしちゃったんだろう?」
死んでしまったわけでもないのに、倒れるなんて…
そうか、気絶してしまったのか。ほう。(;O;)!!
あっ…もしかして俺の容姿が恐ろしかったとか?
前に川で自分の顔を見ようとしたら、水が濁ってて見えなかったから自分の容姿がわからなかったが、もしかして俺ってものすごく怖いのかな?
吸血鬼ってやっぱり怖いのかな見た目。
鬼だし。
うーん、どうしよう。
話は変わるがそういえば、さっきからなんだかすごくいい匂いがするんだよな。
もしかしてこの子かな。なんか首を見た時からなんだか惹きつけられるっていうか。
はっ!もしかしてこれが吸血衝動!!?
今まで、モンスターには感じなかったのに。
やはり吸血鬼は人間の血を吸うのか。
まあ、人の血を吸う嫌悪感みたいなのはとうの昔に失われたし。
でもやっぱり、勝手に吸血はよくないよな。
でも、ものすごくしたいんだよな…
それにこの子、すごくかわいいし…
キョロキョロ
えっと、ちょっとぐらいいいよね。
ちょっとだけ、そうちょっとだけ。
自分の欲望に逆らえず、俺は顔を彼女の首に近づけると
「あっ…」
「あっ…」
「「…」」
彼女と目があった。
「えっと、なんといいますか。」
チュッ
「…へっ?」
「あの森の中でやるのは流石にちょっと...。あの、だから今はこれで我慢してください。」
「あっ、あの…」
どっどうしようキスされてしまった。さらに相手はまんざらでもなさそうだ。
それって、どんなラブコメ展開!?
どうしよう。どうしよう。
こんなラブコメ、フィクションでしかしらねぇよ。
それにやばい、ここで実は僕、吸血鬼で吸血衝動に駆られてあなたの血をちょっと飲もうとしてましたなんて口が裂けても言えない。
この場でそんなこと言ったら、完全にムードぶち壊しだよ。せっかくのラブコメ展開がぶち壊しだよ。俺、この子に嫌われたくねぇ。それに人としてもなんか間違ってる!吸血鬼だけどさ!
仮に彼女の話に乗ってこの場を切り抜けたとしても、ムラムラして猪倒した後に襲っちゃいましたとか、どこの野蛮人だよ、おい!
俺はそんな変態じゃない!
どうする、ブラッド。
思い出すんだ、思い出すんだ。ラノベの主人公たちの前例を。
こうやって間違ってキスしてしまった時の言い訳を…そうだ!
この状況!あの言い訳が使える!
人工呼吸!!
「すいません、つい貴方が綺麗で...」
誰だこれ言ってんの!?
俺なのか!?
確かに金髪で、日本にいたら10人中7人ぐらいが振り返りそうな整った顔立ちをしていて、いくら俺の好みどストライクといってもさあ!
俺の口がこんなキザなこと言ってんの!?
俺頭おかしいのか!
話の流れ的に暗にムラムラしましたっていってんだぞ、おい!
俺変態になっとる!
ラブコメ展開は崩れてないけど、俺のメンタルがズタボロだよ。
かわいい女の子にこんなこというの初めてだよ。
チョー恥ずかしい。
ああああああああああ
「そんな綺麗なんて…」
「それより、足大丈夫ですか?」
よし、これで話題を変えました。
恥ずかしい展開はここで終わりです。
なんであんなこと口走ったのかわからないけど、これで大丈夫ムラムラルートはごまかしたぞ。
これで私の心は安泰です。
後はこの女性との会話を維持することを考えればいい。
って、それも難しいんじゃね!?
「綺麗…。綺麗…私が綺麗…ぽっ」
頬っぺた赤くしないでよ。
話もそれてないし。
もうこの人自分の世界入っちゃってるよ!
こっちの方が大問題!
まだ、さっきの話切り抜けられてない...
ルートが不回避だと!
こん野郎、ここは力技じゃ!
「あの~、脚…」
「綺麗…綺麗…。はっ!あ、あっはい、脚は…痛っ。」
「やっぱり、痛みますか?」
話逸れた~
よっしゃ、気まずい雰囲気は回避っと。
それより、脚大丈夫かな本当に。
「捻挫みたいです。脚は折れてないと思います。」
「立てます?」
「あっ、ちょっと無理かも」
「じゃあ、とりあえず手伝いますから。一回立って、歩けるようだったら一旦僕の家までそのまま行きましょう。」
「すいません。」
でも立ち上がったあと、どうやって移動すればいいんだろう。
「(かっこいい~)」
「んっ?何か言いました?」
「イイエナンデモアリマセン。」
「そうですか。」
俺はとりあえず立ち上がれるように彼女の横に行って腕を彼女の肩に回す。
「せーの」
「痛っ」
彼女は立てたが、とてもではないが松葉杖でもない限り歩けそうになかった。
「そうですね、じゃあ僕がおぶります」
「えっ、そんな悪いですよ」
「大丈夫ですよ。じゃあまずあそこの倒れてる木のところまで頑張って歩きましょう。そこに座って貰えば、背負いやすいですし。」
「わかりました。」
怪我した人の移動ってこれであってんのかな?
まあいいか。
「(近くで見るとめっちゃかっこいい!)」
「あの、何か?」
「イイエナンデモアリマセンヨ」
「そっそうですか」
なんか小声で言った気がするんだけどな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「おいしょっと」
「大丈夫ですか?重くないですか?すいません、いろいろ助けてもらって。」
「全然、軽いですよ。逆に光栄ですよ、こんなにかわいい人を背負えて。」
俺は勤めて爽やかな笑顔で言ってみた。
うん、俺なんでこんなこと言ってるんだろう。やっぱり、恥ずかしい。
「んっ…」
そしたら、顔を背けられてしまった。
俺そんなにキモかったかな。
自分でも、やちゃった感あるけど…
さっきから、顔赤いしな。
怒ってるのかな。
キモイこと言って。
もしかして、体調が悪いのだろうか?
照れるってことはないだろうし。
やっぱり、熱があるのかな?
「あの、やっぱり気分悪いですか?(主に俺の行動にせいで)」
「いや、逆に最高です!(かっこよくて)」
最高に気持ち悪いか。
調子乗りすぎたかな。
「ふぅ」
まあ、とりあへず小屋に行こう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ステータス
名前 ブラッド
種族 吸血鬼 lv 23
職業 「狩人 lv12」「釣り人 lv7」
スキル 「吸血 lv18」「投擲 lv20」「ステイタス魔法 lv2」
「追跡 lv10」「釣りlv5」「魔力操作 lv8」「夜目 lv17」
「鎌術 lv7」「棒術 lv4」「採取lv8」「地図 lv2」「血の契約 lv0」「魅了 lv1」
称号 「ハンター」、「おねしょ野郎」、「釣り好き」、「投擲野郎」「鎌兎の使い手」「石が好きな人」「豚殺し」
今回は主人公とヒロインの出会いです。
ラブコメの予感!
はたして、これはラブコメなのか!
作者はそうしたいと思っていたり、いなかったり。
正直、自分でもこの展開面白いのか面白くないのかよくわかってない。
まあ、とりあえず話を進める作者です。
はい、今日の更新はここで終わりです。
では、次回の投稿までさらばじゃ!