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-eight-




『晶すごいね』


「……」


今私たちは牢屋の外を歩き回っている。

そう、あの頑丈な鎖を私壊しちゃったんだよね。

意外とモロかったよ?


そのかわり私の手はボロボロと化した。

でも痛くはない。まぁ大丈夫!


と言いつつもさっきの悪魔天使の言葉に結構傷ついている私。

嫌いだとは言われたくない自分がいた。

全く…弱虫な人間だ。


つーか…


「出口どこだよっ?!」


『ないよ?』


「うえぇぇぇ?!」


私は叫びだした。

だってあり得ないでしょ??

何のために歩いてんのよ私は!


「じゃあどうするの?」


『うーん…さぁ?』


「はぁ?」


『だって僕も分からないんだ』


意味分からない!

だってあんた悪魔天使で神様なんでしょ?!

それ位分かってろよ!

私は怒りを抑えながらもため息をついた。


その時だった。

急に悪魔天使が胸を押さえて膝を地面についた。

つまり倒れた。

え?!何このシチュエーション

あり得ないでしょ?!


「悪魔天使?!」


『ハァ…ハ…あき…』


「ちょっと大丈…ッ?!」


悪魔天使に触れようとした時急に私の頭の中に何かが流れ込んできたのだ。

それは一瞬ではなく、多分長い長い…コト。

私も同じように地面に倒れ込んでしまった。


††††

真っ暗闇。

あ、悪魔天使がいる。

小さ〜い。小学生?

って悪魔天使がいるってことはこれは悪魔天使の記憶?!


……あの人は…

優しそうな笑顔をしてる綺麗な女の人。

きっと悪魔天使のお母さんなんだろうな。


「お母さん〜」


ふふふ、かわいい〜。

幼少時代の悪魔天使。


また画面が変わった。

今度は中学生時代かな。

アキトもいる。


…………………仏壇?

ああ…あのお母さん亡くなられたのか…

悪魔天使泣いてる。


「お前のせいだ…」


悪魔天使はそう言って私の方を睨みつけた。

ガキのクセにこわぁ。

てかなんで私の方を睨み付けんのかが分からん。

理解不能。


「アキトのせいだ!」


アキト?

おぉっ?!いた?!

私と重なってたよ!


「兄ちゃん…」


「お前が…母さんを…」


「違っ…」


「違くない!母さんはお前をかばって…」


アキトをかばって…?

って事は悪魔天使のお母さんは事故死か…。

お、悪魔天使が飛び出してった

追いかけ………?


「兄ちゃん!まって!」


アキトもか。

じゃあ行こう。


「兄ちゃん!」


「なんでついてくるんだよ!」


「だって…兄ちゃんと…」


そうアキトが呟こうとした時に信号が赤に変わり横からバイクが飛び出してきた。

アキトは気がつかない。


「アキト!危ないっ!」


しかし悪魔天使が気がついて飛び出した。

そしてアキトを押して…


悪魔天使は…


宙に…


浮き上がって…


花びらのように…


地面に…


叩きつけられて…


私は…凍りついた。

悪魔天使は血だらけで、バイクは逃走。

周りの人の泣き叫ぶ声が耳から離れない。


「兄ちゃんっっ!!」


アキトの呼びかけも虚しくアキトの手を握る力は完全に消えていった。


いや…いや…

イヤァァァァァァッ!



†††


『ら…きら…あきら!』


私はその声で元の世界へと戻ってこれた。

自分の方に何か違和感があった

やっぱり泣いていた。


さすがに好きな人の死ぬ場面を見るのはねえ…


『大丈夫?』


「大丈夫よ…。ただ悪魔天使に触れようとした時私の頭の中に悪魔天使の記憶が流れ込んできて…頭こんがらがってる…」


『そっか…』


悪魔天使は私に手を向け私はその手を握った。

力が入らない。

踏ん張ろうとしても膝が言うことを利かず生まれたての子馬みたいな感じである。


「た…立てないぃ…」


『ふ』


「笑うな〜!」


『すみませんお嬢様。では出口までご案内』


「え?さっき無いって…ってお姫様だっこしてんじゃねえ!」


『あはは』


私の顔は真っ赤である。

お姫様だっこというものをされたのが初めてで、恥ずかしい。

だって…悪魔天使の顔が間近にあって…。


『ん?どした?』


だから近いっ!

あんたみたいな綺麗な顔が間近にあるとヤバいから!!

見つめんな〜!!


『晶顔真っ赤だよ』


「……るさっ!」


『照れすぎ』


「あ、あとタイムリミット一時間だから早くし…」


『不法侵入者発見』


私が言いかけた時目の前には可愛い顔して実は結構イヤな奴がいたのだ。

やっぱり不法侵入者なのね私は


「悪魔天使下ろして」


『だめ』


「早く下ろさんか」


『捕まっちゃうよ』


「大丈夫だから」


私を見て悪魔天使はゆっくりと私を下ろした。

私は地面につくなりその可愛い顔して実は結構イヤな奴に蹴りをいれた。

この世界に来て私技が強くなったんだよね。


『ぐふっ?!』


「人のこと不法侵入者扱いしないでね♪」


私はその可愛い顔して実は結構イヤな奴を蹴飛ばして歩き出す

しかし…その後だった。


テレビの土曜サスペンスで聞き慣れた音と共に私の背中に強い痛みが走ったのだ。


私は何があったのか分からないまま力無く倒れていった。

多分…撃たれたんだね。

痛い…ような気もする。

よく分からないや。


『確保』


という声と一緒に私の意識は消えていった。

この…人殺し…


――――――――







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