辞書【２００文字小説】

　辞書を開くと目の前に言葉の海が広がる。

　読み方の五十音順にきれいに並んだ辞書で私は目的の言葉を探し始めた。

　この作業がまた大変なのだが、一方で楽しいとも思えてくるのだ。

　こうしていると、ついつい探している言葉以外の言葉に目が行ったりして、なかなか進まない。

　しばらくそうしているとようやく目的の言葉を見つけることができ、言葉の海から帰ってくる。

　辞書で調べた言葉を調べた後もしばらく言葉の海の余韻に浸っていた。