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シェイドの事情

 シェイドは帰りの電車の中で、先ほどの出来事を思い返していた。そのたびに頬が緩んだ。今の自分の立場からすると不謹慎であるとも思いながら、胸に宿る楽しさをないものにはできなかった。


 自分の周りにはいないタイプの可憐な女の子だと思った。

 ミドリ地区の子どもというだけで、ぬくぬくと満ち足りている感じが癇に障り、今までまったく関わる気が起きなかった。フロウの飢えた目に誘われた。


 シェイドは、初めて感じるみずみずしい果実のような胸の内の楽しさに心を奪われていた。仕事のことや仲間のことを考えようとするが、ままならなかった。


 実際、ミドリ地区の人間とあまり深く関わるのは仕事上不適切だった。十分に発達した判断力は、シェイドに正しく告げたのだが、明日会う約束を取り付けてしまったし、本名まで伝えてしまった。


 一度だけ、とシェイドは思った。明日だけだから危険はない、と自分に言い訳をした。そんな思考の合間にも、フロウの表情が思い起こされた。シェイドの胸が甘く華やいだ。


 巾着袋を無事に回収できたことも、シェイドを弛緩させていた。警察にも届けないフロウに拾われたことは幸運なことだった。とはいえ、仕事はまだ終わってはいなかった。


 電車とバスを乗り継ぎ、数時間が経った。ミドリ地区を抜け、オウド地区にさしかかる頃には、フロウのことはシェイドの心のカギ付きの箱に仕舞われていた。





 シェイドが乗り継ぐ最後のバスは、年季の入った錆びついた外観をしていた。

 まばらな乗客も一様にくたびれた様相をしていた。オウド地区の街も車内も、慣れ親しんだスパイシーな臭いがした。


 がたがたと振動の激しいバスに乗りながら、次第に、仕事のことがシェイドの頭を占めていき、しんと冷えた心身状態に戻っていった。


 今回の仕事は金庫バアに頼まれたものだった。


 金庫バアは、シェイドたちを統括する組織の長だった。灰色の髪を団子にまとめたこの老婆は、オウド地区の孤児を引き取り、住まいを与え、働かせていた。


 3人一組でチームを組ませ、連帯責任で仕事をさせた。稼ぎを徴収し、必要な生活用品は配布する仕組みだった。

仕事の内容はさまざまだった。屑拾いや物乞い、靴磨き、マッサージ、物売り、ありとあらゆる仕事が先輩から代々引き継がれた。


 そういった中、稼ぐ効率が最もよいのが、盗みだった。年長のチームは概ね盗みをしていた。

 稼ぎが多いほど、組織の中で特権を得ることができた。

 子どもたちは雑多な仕事や盗みをおぼえて、18才までには組織を卒業して一人立ちをして行った。


 孤児を利用して荒稼ぎをしていると金庫バアを非難する者もいた。そもそも、金庫バアという名は、その非難に端を発していた。

 金庫バアはまったく気にもせず、金は大好きだと公言し、むしろそれを通り名として定着させてしまった。もはや、金庫バアの本名を知るものの方が稀であった。


 孤児を働かせる組織は、他にもあった。

 シェイドは成長とともに、他の組織の実情も目の当たりにしてきた。金庫バアの組織は他より随分ましだと感じた。殺してはならない。薬には手を出さない。仲間を売らない。そんな単純なルールさえ存在しない組織がたくさんあった。


 また、金庫バアの鑑識眼は鋭かった。物に対してだけではなく、人に対してもそれは発揮された。チーム編成は金庫バアの一存で決まるが、相性や相補性のよいチームになることが多かった。





「どうも、あたしの目が狂ったのかね。マッドたちのチームは、ありゃあ、だめだ。ろくでもないのを束ねてしまったよ」


 金庫バアは、シェイドのチームに今回の依頼をするとき、愚痴をこぼすようにそう言った。すべてが良い結果になるとは限らないのが世の常であった。


 通常、金庫バアが身内のチームに仕事を依頼することはない。

 仕事は、チームごとに、一体何をするかということから考え、自分たちだけで外で実行するものであった。なので、今回の仕事は異例のものだった。


「四つ辻の肉屋からの仕事を、マッドたちが引き受けちまった」


 自室の執務机で、組んだ両手の上に顎をのせながら、金庫バアが忌々しげに言った。

 シェイドは思わず息をのんだ。


「関わるなと、あれほど言ったのに、あいつら」


 吐き捨てるように言って、金庫バアは灰色の目を細め、ため息をついた。


 それは確かに、金庫バアが子どもたちによく言う台詞であった。

 四つ辻の肉屋は危険で、とにかく普通じゃない。話を聞くな。目も合わせるな。万一声をかけられたら、金庫バアに聞かないと分からないと言い続けろ。逃げろ。

 復唱できるくらいに聞かされていた文言だった。










 四つ辻の肉屋とは、4丁目の交差点の角にある肉屋のことであった。

 表向きは精肉店だが、裏の顔があるということだった。

 裏の顔の詳細が金庫バアからも誰からも語られない分、不気味さは増した。シッコク地区とつながりがあるとも言われていた。


 金庫バアが話すには、マッドのチームは12才にもなるのに稼ぎがいまいちで、焦っていたのだということだった。

 その時、見計らったように、四つ辻の肉屋から、高額報酬の仕事を持ちかけられたのだという。


 マッドたちは、聞いてはならないと思いつつ、次第に耳を傾けてしまった。


 簡単な仕事だが、昼間にうろちょろしていても目立たず怪しまれない子どもが適任だ。

 子どもに頼む以上、大人よりもちゃんと、危険手当も含んだ報酬を払わないといけない。

 だから、報酬はこれだけ払う。本当に単純な荷運びの仕事だ。

 私の金を持って指定の場所へ行き、正しく品物を受け取って来る、それだけだ。


 マッドたちは、釣り込まれるように引き受けた。


 マッドたちは、金庫バアの組織のアジトに戻ってきた。

 渡された地図を見て、指定の場所がミドリ地区であることに、その時初めて気がついた。

 ミドリ地区であまり仕事をしていないマッドたちは怖気づいた。

 

一つ怖気づくと、次々怖くなってきた。

 そもそも四つ辻の肉屋の仕事は、引き受けて大丈夫だったのか。

 しかし、金庫バアに知られるのも怖い。


 とはいえ、怖さを抱え持つこともできず、以前、教育係だった先輩に打ち明けた。

 チーム結成間もないころに、少し年上の先輩チームが、教育係として2年間配置される。期間が終わっても、何かあると頼れる関係になることが多かった。

 先輩チームは話を聞いてびっくり仰天し、すぐさま金庫バアに報告した。

 金庫バアは、マッドたちをきつく締め上げ灸をすえるよう先輩チームに言いつけ、次に、シェイドを呼んだのだった。




「申し訳ないんだがシェイド、おまえらのチームにやってもらいたい」

「俺たちですか?」


 シェイドは驚いた。


「一度引き受けたからには、断ることはできない。だが、あいつらじゃ無理だ。仕事の指示書の文字だって、ろくに読めやしない」

「何で俺たちが」


 シェイドは、マッドたちに絡まれてしばしば嫌な思いをしていた。

 好きでもない相手の尻拭いのために、危険を冒すのは御免だった。


「おまえらのチームは、最近ミドリ地区中心で動いているだろう。ミドリ地区の事情にも交通網にも詳しくて、賢く動ける。四つ辻の肉屋が、子どもに仕事をさせたいと言っている以上、あんまり年長のやつらにやらせるわけにもいかない。正直、おまえら以外に任せられない」


 金庫バアは机に右肘をつき、こぶしをこめかみに当てた。

 まったく頭が痛いよとつぶやきながら、シェイドに向けて言葉を重ねた。


「バカどもを死なすわけにもいかないだろ。それに、四つ辻の肉屋からの仕事となれば、1チームのことですむわけがない。今までうちが徹底無視を通してきたから、気に入らなかったのかもしれないね。隙あらば手を出そうと狙ってたんだろうよ。うちの組織全体の話さ。きれいにケリつけて仕舞いにしないと、火の粉が降りかかってくるよ」


 最終的に、シェイドは引き受ける決断をせざるを得なかった。

 そもそも金庫バアからの異例の依頼を、断りきれるわけもなかった。


 この仕事の危険性について、金庫バアが話した。


 おそらくご禁制の品のお運びさんであろう。

 道中何もない可能性もある。

 だが、下手をすると、警察が嗅ぎつけるかもしれない。あるいは、品の横どりを狙う連中が現れるかもしれない。

 もしくは、品自体が所持しているだけで危険をもたらすかもしれない。何があっても不思議じゃない。


 シェイドは話を聞くうちに、頭の中でさまざまな物事の輪郭がくっきりとし、スピードを上げて回転し始める感覚をおぼえた。

 軽い興奮を自覚した。

 一度引き受けると決めたら、シェイドはどんな危険も越えてやろうと思えた。


 これを上手くやりおおせたら、組織の中でシェイドのチームは、より一層立場を強くするはずだ。


 多くのチームの中から、9才のシェイドたちのチームが金庫バアに選ばれた。

 自分たちのチームは金庫バアに信頼されている。

 

 シェイドは、まずはこの組織のトップに立つのだと、いつしか思うようになっていた。そして、それも通過点だと感じていた。

 ここではないどこかから来たのだし、いつかはここではないどこかへ行くのだと思っていた。





 シェイドの仲間は、タタという名の少年とカラカラという名の少女だった。


 シェイドとタタとカラカラは、これまでの成果から3人部屋を勝ち取っていた。同年齢の多くは9人部屋であった。部屋の状況一つとっても、シェイドのチームは飛び抜けていた。


 シェイドは、部屋で二人に今回の仕事の話をした。四つ辻の肉屋の名が出ると、ほっそりとした短髪の少年タタの顔から、血の気が引いていった。


「ありえねえし。やべえ奴だって、ずっと言ってたくせに、金庫バア、トチ狂ったんじゃねえの」


 カラカラは、茶色い髪を三つ編みにして左右に垂らしているが、その髪の先を両手でずっと弄んでいた。

 もともと痩せていて色白の顔が、タタ同様に青ざめていた。だが、細い目の奥に強い光を宿して、カラカラはきっぱりと言った。


「私はシェイドの言う通りにする」

「おめえの頭は空っぽすぎる。何でもかんでもシェイドが言ったら、はいそうですかって、バカか」


「あんたよりはマシよ。あんたはぐちゃぐちゃ、小うるさい。細かすぎ。ついでにバカ」

「てめえ、ケンカ売ってんのか」

「売ってないし。勝手に買わないでよ」


 タタとカラカラが言い争う中、シェイドは、金庫バアから受け取った地図と、仕事の指示書を開いた。


「それで、実際の仕事のことなんだけどさ」

「シェイド、おめえは俺たちを無視か」

「うん。いや、仲いいなと思って。頼りにしているよ、タタ、カラカラ」


 タタは顔をしかめて見せ、お前の目は節穴かとつぶやいた。

 カラカラは、三つ編みをいじりながら、左手でタタを叩いた。

 シェイドは笑いながら、仕事の確認に入った。




 来週日曜日の午後1時半、ミドリ地区第7エリア、スクエア公園東花壇のトイレにて取引。

 四つ辻の肉屋から預かっている現金封筒と、取引相手の持ってくる巾着袋20個を交換する。

 一つの袋に赤、青、黄、緑、透明5色の石が入っている。

 すべてその場で袋の中身を確認する。

 速やかに四つ辻の肉屋に持ち帰る。


「簡単っぽいな」


 タタが怪訝そうに言った。

 シェイドは、金庫バアから言われた危険性を二人に伝えた。


「まじかよ、ふざけんなよ」


 タタはげんなりとした顔になった。


「取引相手のことも、全然わかんないんだね」


 カラカラは、三つ編みの先をギュッと握って言った。


 シェイドは、やること自体は確かに簡単だから、なるべくさっさと終わらせようと話した。

 シェイドの作戦を二人は真剣な表情で聞いた。シェイドは地図を3人の中心に置いた。


 まずは、行き帰りのルートを考えた。

 なるべく人通りが多すぎず少なすぎず、子どもがいても誰も気にしない道、また、よそ者に注目が集まらない道が望ましい。


 電車、バス、徒歩をどう組み合わせるか。迷いがあるので、1週間前に当たるあさっての日曜日に下見に行く。それで最終的に道を決定する。


 役割としては、シェイドとタタが半分の10個ずつ、巾着袋を運ぶ。石が5個入っているということで、大きさは分からないが、少々重くなるかもしれない。

 カラカラは折々の駅にいて、切符を購入し待機。

 シェイドとタタが戻ったら、カラカラから切符を受け取りすぐに移動。

 また、カラカラは、応急処置セットと水、食料品を携帯。疲労に応じて活用する。


 先日、ヒルダという子どもたちの世話役の女が、組織全員にリュックサックを配布した。

 ミドリ地区からオウド地区まで広範囲で流行っている品だった。

 ナイロン製で軽く、デザインはシンプルだがカラーバリエーションが多く、価格は安かった。


 ヒルダは一番流行っているカーキ色のみ買って配った。目立たなくて、何をするにもいいということだったが、単に個性的な色を与えたくないという意地の悪さだと、子どもたちは噂していた。

 シェイドは今回、この無個性なリュックサックを使うことにした。




 そして、1週間前に当たる日曜日に3人で下見を行った。

 その結果を踏まえて、シェイドはルートを決定した。

 誰かに追われた場合の迂回路や、バラバラになった場合の合流方法も決めた。


 当日に向けて、必需品を買ったり、危険予測をし直したりした。

 前日は最終打ち合わせをした。そうして、できる限りの準備を整え、当日を迎えた。





 出会った取引相手は、シェイドやタタには、普通のおじさんにしか見えなかった。

 トレーナー、ジーンズ、スニーカー。40~50代、取り立てて何の特徴もない男性であった。

 声をかけられなければ、取引相手と気づかなかったかもしれない。


 言われるままにトイレの個室に3人で入った。

 広めの作りではあったが、さすがに窮屈だった。


 男性が肩掛けバッグから巾着袋を取り出した。

 便器の蓋に載せて、シェイドとタタは数をかぞえ、中身を確認した。

 シェイドが封をされた現金封筒を渡すと、男性はその場で封を開けて札を確認した。

 札は、シェイドもタタも初めて見る、日常生活で使用されることのない高額紙幣だった。

 シェイドとタタは、巾着袋を10袋ずつ分けてリュックに入れた。


 取引は手際よく終了した。

 後は持ち帰るだけだった。

 シェイドとタタは急いだ。追うものはいないかと警戒しながら進んだが、まったくそういった気配は感じられなかった。




 3つめの中通りを走っている時、事は起こった。


「ちょ、おい、まじかよ!」


 タタの慌てた声に、先を走っていたシェイドは立ち止って振り返った。

 少し後ろでタタがしゃがみこんでリュックサックを背中から下していた。

 シェイドは異変を察して駆け寄った。


 なんと、タタのリュックサックの表面に大きな切れ込みが入っていた。

 リュックサックが軽くなってきたのに気づいて確かめたら、こうなっていたとタタは青ざめながら説明した。

 どこで誰にやられたのか、まったく見当がつかなかった。追手は警戒していたつもりだった。


「タタ、巾着袋は?」


 ハッとしてタタは振り返った。

 道に転々と目立たない色の巾着袋が落ちていた。

 二人は動揺したが、周囲を警戒しながら、急いで巾着袋を拾っていった。


 シェイドのリュックサックに、すべての巾着袋を入れることにした。

 あまり大きくない巾着袋でよかったとシェイドは思った。


 タタのリュックサックは駅のゴミ箱に捨てた。


 カラカラと合流した。事情を話すとカラカラも表情を曇らせた。

 3人は急いで四つ辻の肉屋へ向かった。

 いつの間にやられたのか分からない攻撃は、不気味だった。

 早くやっかいな仕事を終わらせ、薄気味悪さと決別したかった。





 初めて会う四つ辻の肉屋は、やや大柄なスキンヘッドの男だった。

 襟付きの白衣を着ていたが、盛り上がる筋肉で、ボタンが飛びそうに見えた。

 時によって、老けているようにも若いようにも見え、年齢が分かりにくい風貌であった。


 四つ辻の肉屋は、ガラスの陳列ケースの後ろに立っていた。

 ケースの中には、肉の塊が一つだけ置いてあった。肉の名前も価格も、説明するものは何も貼付されていなかった。


 シェイドたち3人を迎え、四つ辻の肉屋は大きな口に愛想笑いを貼りつかせた。

 シェイドたちは噂の四つ辻の肉屋に相対し、最初は恐怖を感じていた。

 しかし、四つ辻の肉屋の様子からは恐ろしい空気は微塵も察知できなかった。ただ、奇妙な違和感だけが漂っていた。


 四つ辻の肉屋は、シェイドたちを猫なで声でねぎらってから、品を求めた。

 シェイドはリュックサックを差し出した。

 四つ辻の肉屋は、リュックサックの中からテーブルの上に、巾着袋を一つずつ出していった。


「19」


 大変なことが判明した。巾着袋が一つ足りなかった。

 シェイドたちは凍りついた。


 あの時だ、とタタが言った。

 

 シェイドは四つ辻の肉屋に経緯を説明した。

 そして、今度こそどんな恐ろしい目にあうのだろうかと、再び恐怖心が呼び起こされた。


 しかし、驚くべきことに、四つ辻の肉屋は、ここに及んでも愛想笑いの態度をまったく変えなかった。


「誰か、落としたものは取りに行ってくれるんでしょ?保険として一人はここに残ってもらうけど」


 タタが、俺が落としたのだから、俺が行きますとすぐに言った。

 そこで、シェイドは肉屋に残ることにし、カラカラに銭バアへの報告を任せた。


「今から行ってももう電車もないし、夜に子どもっていうのは目立つし、明日にしなよ」


 四つ辻の肉屋は猫なで声で、シェイドとタタに一晩泊っていくことを勧めた。

 シェイドはもともと保険として滞在せざるを得なかったのだが、タタはアジトに帰っても構わない状況であった。

 しかし、タタはシェイド一人を一人にしなかった。

 カラカラのみ帰宅し、二人は肉屋の客間に一泊した。





 翌日、タタは一人、落とした巾着袋を探しに発った。


 シェイドは、客間から出ないようにと四つ辻の肉屋に言われ、従った。

 客間にはトイレも水道も備え付けられていた。パンや果物も置いてあり、自由に食べてよいと言われた。シェイドはすることもなく、やきもきしながら時間を過ごした。


 夕方、タタが戻ってきた。シェイドは四つ辻の肉屋に呼ばれ、陳列ケースのある店舗へ移動した。


「すみません!すみません!見つかりませんでした!お許しください!」


 タタは土下座していた。シェイドはそれを見た瞬間、タタの横に並んで一緒に土下座した。


「もう一度だけチャンスを下さい!どうかお願いします!」


 シェイドは今日一日、もしタタが巾着袋を見つけられなかった場合、何とか頼み込んで、自分が探しに行くことを提案しようと考えていた。

 二人は蒼白になりながら、お願いしますと繰り返した。


 シェイドが顔を上げて見ると、四つ辻の肉屋は、少し目線を漂わせながら、何か考えている風でもあった。しかしすぐに、目を三日月型にして笑い、鷹揚に言った。


「まあ、未来ある子どもたちのことだからねえ。私も鬼じゃない。明日、もう一度チャンスをあげよう」


 ありがとうございます、と二人は連呼した。


 シェイドとタタは、肉屋の客間にもう一泊した。

 シェイドはタタから状況を聞き、明日探索するルートを考えた。


 それにしても、チャンスをもらえたのは幸いだったと二人で喜んだ。

 意外と話せる人でよかったとタタは言った。

 シェイドは曖昧に頷いた。やはり違和感をぬぐえなかった。そうはいっても差し迫るような危機感は驚くほど感じられなかった。





 翌日、今度はタタが肉屋に留まり、シェイドが巾着袋の探索に出た。

 それが、今日だった。


 シェイドは、夜のうちに前日までの経過を紙にまとめていた。

 バス停の裏手にある木のうろに、結んだ紙を投げ入れた。

 シェイドのチームの連絡手段の一つだった。そこに文を入れておけば、カラカラが回収するので、昨日までの状況を知らせることができるのだ。


 そうして、シェイドはミドリ地区へ向かった。

 やがて、奇跡のようにフロウに出会った。

 巾着袋は無事、フロウからシェイドへと手渡されたのだった。











 肉屋の店舗のすりガラスの前で、シェイドは一度深く呼吸をした。


「失礼します」


 すりガラスの引き戸を開けて、シェイドは入店した。


 戻る時間を見計らっていたのか、四つ辻の肉屋だけではなく、タタもガラスの陳列ケースの後ろにいた。タタは青ざめていて、シェイドを見て、我に返ったような、何とも言われぬ引きつった表情をしていた。

 シェイドは、四つ辻の肉屋にタタが何かされたのかと訝った。


 四つ辻の肉屋は、前日までと変わらぬ貼りついたような笑顔を見せ、猫なで声で尋ねた。


「おかえり。どうだったね」

「見つけました」


 シェイドが答えた瞬間、四つ辻の肉屋の顔が固まった。口だけが動いた。


「見つけた?」

「はい」


 シェイドは袈裟がけにした小ぶりのナイロンバッグから、巾着袋を取り出した。


「見せてもらおう」


 差し出された大きな傷だらけの手に、シェイドは巾着袋を載せた。


 無骨な手で器用にひもをほどき、四つ辻の肉屋は巾着袋の中身をあらためた。


「間違いないねえ」


 四つ辻の肉屋の声色は、決して好ましい感触ではなかった。


 シェイドは困惑した。気味の悪い空気が流れていた。

 タタが、よたよたと陳列ケースの後ろから抜け出して、シェイドの隣へ来た。


「見つけたのか」


 四つ辻の肉屋は、シェイドを見た。

 

 シェイドの背筋を、恐怖がザアッと走り抜けた。

 汚れた深い沼のような目だった。

 そこから何か得体のしれないものが出てきて、引きずり込まれる気がした。

 見ただけで吐き気をもよおした。


 シェイドは、何をどう考えていいのか、一瞬にして訳が分からなくなった。


「これをお前が見つけたのか」


 四つ辻の肉屋は、シェイドに目を当てたまま陳列ケースをゆっくりと回り込んだ。

 

 先ほどよりも近い距離に迫りくる深い沼からは、腐ったような臭いがあふれ出してきた。

 それが幻なのか、まことのことなのか、シェイドには判別がつかなくなった。

 

 反射的に、タタを庇うように右腕を出し、自分の背後にタタを動かした。

 触れた体から、タタの震えが伝わってきた。だが、シェイドにもなすすべがなかった。

 こんなことは初めてだった。


「お前が見つけただと?」


 腐乱臭をまとった四つ辻の肉屋がもう一歩、シェイドたちに近づいた。


 その時だった。





 急に、店舗のすりガラスの引き戸がガラッと開いた。

 シェイドもタタも、悪い夢から叩き起こされたように、ハッとしてそちらを見た。


「こんにちは、お邪魔します。お、いたな」


 そこには、背の高い年かさの少年が立っていた。

 セピア色の天然パーマの髪が風に吹かれて揺れていた。

 涼やかな風が吹きこんできて、肉屋の淀みを洗い流すようだった。


「アニヤさん」


 シェイドの口からかすれた声がこぼれた。

 アニヤは二人を一瞥して、三人の間に入り、四つ辻の肉屋に一礼した。


「金庫バアの名代で参りました。アニヤと申します」

「知っているよ。金庫バアのところのエースじゃないか」


 いつしか、四つ辻の肉屋からはあやかしのような気配が消えていた。

 再び仮面のような笑顔が貼りついていた。


「ご存じとはさすがです。このたびは、うちのガキどもが大変なご迷惑をおかけしました」


 アニヤはくるりと二人を振り向いた。軽く目を細め、合図した。

 慌ててシェイドとタタは歯を食いしばった。


 アニヤの拳が、二人の頭の上に連続して落ちた。

 ゴン、ゴンという鈍い音が大きく響いた。

 シェイドにはチカチカと星が飛ぶのが見えた。

 タタは目を開けることができず、ギュッとつむったままでいた。


 アニヤは四つ辻の肉屋に向き直った。


「本来でしたら金庫バア本人がお伺いするべきですが、持病の腰痛が悪化し身動きが取れないため、代理で失礼いたします。ところでこいつらが落とした品物は見つかったのでしょうか」

「ああ、見つかったねえ」


 四つ辻の肉屋がぬるい口調で答えると、アニヤの肩が少し下がったようであった。


「そうですか。金庫バアからの伝言を預かっております」


 アニヤはブリーフケースから、封蝋で閉じられた手紙と厚みのある紙包みを取り出した。


「このたびは、こちらのチームの失態によって、大変なご心配をおかけしました。無事に品物がそろったとはいえ、それまでのご心痛を思うと、申し訳なく思うばかりです。報酬など勿論、いただけません。どうぞ、心ばかりのお詫びの品をお受け取りくださいませ」


 四つ辻の肉屋に、金庫バアの手紙と紙包みが差し出された。

 四つ辻の肉屋は、しばし中空に視線をさまよわせた。


「どうしようかなあ」

「どうぞお納めください」


 アニヤは静かな口調で言い、2つを差し出しながら頭を下げた。


 シェイドとタタは、アニヤが頭を下げたことで、先ほどまで背に隠れていた四つ辻の肉屋がよく見えて、思わず身を寄せ合った。


「見つかっちゃったからねえ」


 渋々という思いを微妙ににじませて、四つ辻の肉屋は手紙と紙包みを受け取った。


「お受け取りいただき、ありがとうございます。それでは失礼いた」


 アニヤが早々に帰ろうとするのを止めるように、四つ辻の肉屋が声をかけた。


「アニヤさんは確か、金庫バアのところはもうすぐ出ないといけないだろう」

「本当によくご存じで。はい。うちは18才が上限ですから」


「肉屋に就職しないかい」

「ありがたく思いますが、うちは金庫バアが最終的に決めるので、一存では何も決められません。それでは失礼いたします」


「つれないねえ。タタ、それにシェイドも、いつでもうちに仕事をしにおいで」


 四つ辻の肉屋が猫なで声で二人に声をかけた。二人はろくに応じることもできなかった。


 アニヤに続いて、タタ、シェイドと、すりガラスの引き戸に向かった。

 シェイドは足が変に強張り、歩きにくかった。


 なぜだろなあ見つからないようにまじないをかけたはずなんだけどなあ、という、四つ辻の肉屋の独り言を背に、3人は肉屋を後にした。





 四つ辻の肉屋を出て、アニヤが先頭を歩き、シェイドとタタはその後を並んで歩いた。

 10分ほど黙って進んだ。


「もう大丈夫だな」


 アニヤが振り返った。ややまなじりの下がった、いつも眠そうな目は、すでに穏やかな色を宿していた。

 シェイドは、アニヤの日ごろと同じのどかな雰囲気に、危機が去ったことを実感した。

 タタは大きくため息をついた。


 シェイドとタタは、アニヤの横に並んで歩いた。

 民家が点在する往来だが、舗装されていない悪路のため、人通りはあまり多くはなかった。


「怖かったろ。間にあってよかった」

「超怖かったっす。あいつ、無茶苦茶気色わりい。俺、死ぬかと思いました。アニヤさんのおかげで助かったっす」


 タタがおどけて自分を抱きしめるようにしながら言った。


「俺も怖かった。あんなの初めてです。吐きそうになりました。アニヤさん、ありがとうございました。でも、なぜあのタイミングで」


「ん、見張ってたの。シェイドが店に戻ってきたら、すぐ二人を迎えに行くつもりで」


 金庫バアの指示だとアニヤは説明した。


 昨日のうちに、金庫バア宛てに四つ辻の肉屋から電話が入った。

 シェイドたちのチームの失敗を伝え、失くした品物が見つからない場合の交渉をしてきた。


 品物は大変に高価なものであるから、対価として、このチーム3人を貰い受けるつもりだと。

 さらに、今後も金庫バアの組織と懇意にしていきたい。四つ辻の肉屋の仕事をこれからも引き受けて、信頼回復に努めてほしい。

 今回の件では、2回も挽回のチャンスを与えたのだから、温情を無視せずよく考えてほしい。以上のような話であった。


 今朝、カラカラがシェイドからの手紙を受け取り、金庫バアに報告を上げた。

 金庫バアは、迷うことなく組織で最も優れたアニヤのチームを呼んだ。

 組織唯一の2人編成のチームだった。もう一人はアネモネという少女だった。

 アニヤとアネモネは、シェイドのチームの教育係でもあった。


 金庫バアは、2日もシェイドとタタが帰って来ないことにいら立っていたし、その感情を知っていて揺さぶりをかけてくる四つ辻の肉屋に怒りを露わにしていた。

 アニヤとアネモネにとっても、二人はかわいい弟分であり、金庫バアの感情に共感できた。


 四つ辻の肉屋は3人を貰い受けると言っていたため、カラカラも危険と判断し、アネモネが一日一緒にいることにした。

 そして、アニヤは、シェイドとタタを連れ帰るよう、金庫バアに言われた。

 何とか今回のことを手打ちにして、四つ辻の肉屋と縁を切りたい、切らなければならない。

 金庫バアから、相応の現金を預かった。


「品物が見つかってなかったら、受け取ってもらえなかったかもね」


 アニヤが、内容にそぐわない、のんびりとした口調で言った。

 タタは怖そうにプルプルと首を横に振ると、ハッと気づいてシェイドを見た。


「おう、そうだ、シェイド、巾着袋どこにあったんだよ」

「タタが言ってたとこだよ。ほら、夜に話した時、ポスト横の家と家の間、あそこを探したかどうか自信ない、もしかしたらあそこかもって、タタが言ってたでしょ。その通りだったよ。助かったよ、タタ」

「何だよー、やっぱりそこかー」


 シェイドは、反射的にフロウのことを伏せた。そして、すかさず話題を変えた。


「そういえばタタ、肉屋で何かされた?俺が戻った時、変な顔してたけど」

「スカウトされたんだよ。うちで働かないかーい、報酬ははずむよー、楽しいよーって」

「俺は客間に一日放置されたけど」

「何で俺だけスカウトなんだよー」


 タタは怒り笑いの顔で、目の前の空間を殴るように、何度も拳を突き出した。

 アニヤはゆるく腕組みをしながら言った。


「あいつの存在は、不安とか嫉妬とか憎悪とか、そういう人間のマイナスの部分を増幅させるんだ。気がついたら、悪意と裏切りに満ちた争いに巻き込まれている。だから、最初から近づいたらダメなんだ。目を見てはいけないし、話を聞いてもいけない。これ、金庫バアの受け売りだけど、今日ちょっと分かった気がしたね。あれは普通じゃない」


「アニヤさんが来てくれて、本当に救われました。何だか安心してきたら、殴られた頭が痛くなってきたんですけど」


 実際、シェイドは今になってやっと、ズキズキとした痛みを感じ始めていた。タタはそれを聞いて、自分の頭に手を伸ばした。


「俺の方が髪短けえから、余計いてえ気がすんだけど」

「大丈夫だ、タタ。ぬかりない。シェイドの髪がふさっとしてる分、強めにやっといたから」


 アニヤは、右の拳を左の手のひらに当て、ニッと笑った。タタは、まじすか、と口を尖らせた。





 そうこうして歩くうちに、金庫バアのアジトが近づいてきた。

 レンガ造りの8階建てのアパートメントまで、もう一息であった。

 アニヤがふと尋ねた。


「そういえば、ここだけの話、品物ってどんなのだった?」

「なんか、赤とか青とか黄色とか、そんな高そうな宝石っす。5個ずつ巾着袋に入ってて、20袋も」


「そうか。それたぶん、魔術の補助媒介だな」

「魔術?あいつ、店を出る時、まじないがどうとか言ってました」


 シェイドは、四つ辻の肉屋の最後の独り言がずっと気になっていた。アニヤは頷いた。


「うん。たぶんもぐりの魔術師が仲間にいるか、自分も魔術を使えるのか。冗談で、こっちの気持ちをかき回そうとして、まじないかけたとか言ってるんだと思ってたけど。補助媒介を買いこんでいたとなると、冗談じゃないかもね」


「補助媒介って何すか?」


「魔術師の負担を減らして、魔術を強力にする作用を持つものだよ。俺も使い方とか、あんまり詳しくは知らないけど。楽々簡単に、すごい魔術をパッと使えるようにする道具」


 今度はシェイドが尋ねた。


「補助媒介はご禁制なんですか?」


 アニヤは考えながら二人に話した。


「魔術師は力が強くないから、悪い奴らにさらわれて利用される危険があるでしょ。だから、魔術師協会っていうのがあって、所属する魔術師を守っているんだって。何かあったら、怖い魔術を一斉にかけるとか、軍を要請して駆け付けるとか」


 アニヤは二人が理解しているか確かめながら話した。二人は頷いた。


「その魔術師協会が、強力な補助媒介を一括管理しているって話だよ。国もそれを認めている。所属する魔術師以外は手に入れにくいし、魔術師も理由がないと分けてもらえない。立派なご禁制」


 シェイドとタタは顔を見合わせた。


「四つ辻の肉屋、あんにゃろう、何やろうとしてんだ」

「変なことに協力させられたみたいで、気分悪いな」


 シェイドがちょうどそう言った時、アパートメントに到着した。




 古いが頑丈な建物の中に入ると、シェイドは随分安心した。

 消え残る不快感が和らぐようであった。

 タタの表情も、もう一段緩んだ。


 鉄扉を抜けて廊下を渡ると、2階まで吹き抜けになっている共有スペースに行きつく。

 そこにあるベンチに、カラカラとアネモネが座っていた。


 アネモネが先に3人に気づいて、カラカラに知らせた。

 カラカラはシェイドとタタを見るやいなや立ち上がり、駆け寄って二人に抱きついた。


「おかえり!」


 シェイドとタタの首に片方ずつ腕を回し、真ん中でカラカラはおいおい泣き始めた。


「まじ泣きかよ、しょうがねえな、おめえは」

「心配かけて悪かった、カラカラ」


 シェイドとタタは顔を見合わせてから、カラカラに視線を戻した。


「ただいま」


 二人はほぼ同時に言って、カラカラの背中に腕を回した。


 銀髪ショートカットで褐色の肌のアネモネが、ゆっくりとカラカラの背中に近づいた。

 そして、後ろから3人丸ごとふわりと抱きしめた。

 アネモネはのんびりとしたハスキーな声で言った。


「皆おかえり」


 シェイドとタタの目にも涙がにじんだ。


 今度はアニヤが、シェイドとタタの背中越しに皆を抱きしめた。


「おつかれさま。よく頑張りました」


 カラカラはとうとうワーッと強く泣きだした。タタもしゃくりあげ始めた。


 アニヤが無声音で、アネモネ、俺におかえりは、と言った。

 アネモネは、おかえり、と無声音で返した。


 シェイドはそののどかな往復に胸が詰まった。

 シェイドの頬をハラハラと涙が伝った。

 ここにいるのは俺の家族だ、とシェイドは強く思った。

 

 吹き抜けになっている2階の廊下から、何組かのチームが何事かと見ていたが、まったく気にならなかった。

 体中の淀みが、涙とともに溶けてなくなるようだった。


 その後、8階の銭バアの部屋までエレベーターで上がった。

 普段はエレベーターを使う権利はシェイドたちにはないが、エースチームが一緒であったため許された。


 待っていた金庫バアに、主にシェイドが報告をした。

 アニヤがいくつか付け加えた。

 すべてを聞き終えた金庫バアは、大きなため息をついた。


「ご苦労。皆、よくやった。バカの尻拭いさせてすまなかった。四つ辻の肉屋なんぞと関わって、だいぶ穢れがついて、縁起が悪くなっているだろうよ。しばらく仕事はしないで、垢を落としな」


 金庫バアは、シェイドのチームに一人5枚ずつ札を与え、最低1か月は働かないよう言い渡した。

 金庫バアの部屋を出ると、タタが早速弾んだ声で言った。


「すげえ、5万エン。しかも、休み。俺、どーしよ!」

「あんた、その勢いなら、3日ともたないよ、そのお金」


 カラカラの軽口も弾んでいた。

 涙の跡を頬に残したまま、明るさに満ちた表情をしている3人を、アニヤとアネモネは、のんびりと見守っている。




 シェイドは、なんて激しい1日だったのだろうと思い返していた。

 とてもいっぺんには消化しきれない経験ばかりだった。

 目が回りそうだが、幸せな気持ちで締めくくれることをとてもうれしく思った。


 そして、明日にはフロウと会う約束が待っていた。

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