報告
***に挟まれた部分の文章は、これまでの経過です。場合によっては読まなくても大丈夫かと思います。では、よろしくお願いいたします!
シェイドは、フロウの内側に飛び込んだ時、フロウ、ハシマと記憶を共有した。
二人の記憶も含めて、シェイドは金庫バアに報告した。
報告内容は、以下の通り。
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シェイドは宵闇の青グランドの招待を受け、センターエリア0サイゴの塔に向かった。
そこで、父ダンテ、母ラナ、恋人フロウの人形に接待された。
まことの黒デンジの襲来があった。実は、フロウの所在を敵に告げたのはデンジであった。
デンジはまことの黒をセンターエリア0に返り咲きさせようとしていた。
デンジとまことの黒の戦士たちは、センターエリア0で、今もなお宵闇の青と交戦中である。
シェイドは、ダンテ、ラナ、フロウ人形を打ち破り、宵闇の青の魔術の軌跡をたどり、サイゴのツギの塔へと転移した。
シェイドはサイゴのツギの塔にいた宵闇の青の術者スイレンを沈め、グランドと相対した。
そこで、キングが敵を混乱させるために仕込んだヒルダに会った。
ヒルダの作用で発生した薄曇りの暗さを取り込み、宵闇の青頭首イセが制御を失っていた。
イセはまことの黒ミカゲと恋仲になっていた。
フロウの兄ミカエルと、フロウの薬の師匠ハシマが、フロウを助けに来ていた。
タタが、アニヤ、アネモネとともに、仕事の依頼を受けて、ミカエルとフロウを探しに来てもいた。
フロウは最初に常春の華ロキに囚われた。その後、宵闇の青グランドにさらわれた。宵闇の青スイレンの魔術によって、シェイドを打ち倒すためのフロウ人形が作製された。
フロウ本体は、グランドの元を逃げ出し、アニヤ、アネモネと合流した。
しかし、その後、薄曇りの暗さに侵されたミカゲがフロウを求めた。
宵闇の青頭首イセはミカゲの求めに応じ、フロウを捕らえた。
シェイドは、ヒルダによって発生した薄曇りの暗さを破壊し、フロウを助け上げた。
ミカゲが懇願するので、イセを見逃した。
意識を失ったままのミカゲとイセを、ミカエルたちが一時的に預かってくれている。
常春の華頭首代理ロキと話し、精霊の契約書を用いて、戦いを終結する誓いを立てた。
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金庫バアは頭を抱えた。
「ミカゲ、いつの間にそんなところへ」
「屋敷を抜け出したんですね」
「宵闇の青イセと恋仲だと?」
「そうなんです。まいりました」
「薄曇りの暗さをイセが取り込んだとは、キングの失策も甚だしい」
「ヒルダの力は予測不能だ」
「キングとヒルダは」
「ヒルダは魔力を封じる部屋にいたから、そのまま置いてきました。キングさんには会ってない」
「アニヤとアネモネ、タタまで乗り込んでいるとは」
「驚きました」
金庫バアのぼやきに、シェイドはいちいち相槌を打った。
金庫バアは眉間にシワを寄せ、頭を振った。
「デンジはどうした」
金庫バアは一人掛けのソファに深く腰掛け、鋭い視線をシェイドに向けて聞いた。
立ったままのシェイドはカウチに眠るフロウを愛おしげに見た後、金庫バアに視線を戻して答えた。
「知らない」
金庫バアはがっくりとうなだれた。
「おまえという奴は! デンジはいきり立ったまま終戦も知らず、センターエリア0で暴れているんじゃないのか?」
「ええ、まあ、どうでしょう」
シェイドは明後日の方角を見てうそぶいた。
金庫バアの一喝により、デンジに知らせが飛んだ。
知らせが来たのは、デンジたちが、サイゴの塔周辺をほぼ制圧した時であった。
どういった作用によるものか、デンジたちはサイゴの塔そのものには入ることができずにいた。
宵闇の青の戦闘人形の残骸の中で、デンジは固く閉ざされたサイゴの塔の扉を叩いていた。
知らせを受け、デンジはすべてが終わったことを知った。
シェイドはすでにサイゴの塔の中にはいないのかと驚いた。
宵闇の青や常春の華に勝利したようだが、不戦の誓いには納得がいかなかった。
しかし、精霊の契約書のことをデンジも理解していた。
まことの黒に災いが降りかかる事態は避けたかった。
完膚なきまでに敵を叩きのめしたかったデンジは、あっさりと戦いを治めてしまったシェイドに腹を立てた。しかし、もはやどうしようもなかった。
暴言を吐きながら、デンジたちはセンターエリア0にある居住区へと移動し始めた。
「金庫バア。疲れているところ申し訳ないのですが、行きましょう」
デンジに知らせを飛ばすよう指示し、ぐったりとソファの背もたれに身を任せた金庫バアに対して、シェイドは言った。
金庫バアは文句を言う力も惜しんで、端的に聞いた。
「どこに」
「この屋敷の開かずの間です」
金庫バアは片眉を上げてシェイドを見た。
シェイドは続けた。
「まことの黒が代々織りなしてきた魔術を完成させます」
「悪い予感がする」
「金庫バア。ギルさんの指輪に秘められた魔術も、おそらくそこで発動する」
金庫バアは目を閉じて、深く深く息を吐いたのであった。