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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第二部 第78話 新生レグノル軍

 アルヴァ砦に、噂を聞き人が集まり始めていた。

 朝から砦の入口には長い列ができている。

 剣を持つ者。

 槍を担ぐ者。

 弓を背負う者。

 だが装備はばらばらだ。

 鎧を着た者は少ない。

 農具を武器代わりに持つ者もいる。

 それでも――

 皆、同じ方向を見ていた。

 アルヴァ砦。

 城門の上から、カイが谷を見下ろしていた。

「……増えているな」

 横でバルドが笑う。

「噂が回ったんだろ」

「祖国奪還ってな」

 リーデル。

 グラナス。

 そしてアルヴァ。

 三つの戦いの噂は、尾ひれをつけながら各地へ広がっていた。

 祖国奪還。

 その言葉が、人々を動かしていた。

 カイの元に兵が報告する。

「現在確認できている人数――」

「四百を超えました」

 カイの眉がわずかに動く。

「一晩で、か」

 さらに兵が続ける。

「周辺の村落からも集まっています」

「旧レグノル兵も確認」

「元騎士団の者も」

 バルドが腕を組む。

「こりゃ……」

「思ったよりでかくなるぞ」

 その時だった。

 谷の奥から、新たな一団が現れる。

 整った隊列。

 揃った足取り。

 遠目にも分かる覇気。

 カイが目を細める。

「……あれは」

 先頭の男がアルヴァ砦へ入る。

 そしてセリナの姿を見つけると、まっすぐ歩み寄った。

 男は兜を外す。

 歴戦の様相を帯びた白髪の騎士だった。

「レグノル王国軍 第三騎士団」

 男は名乗る。

「騎士団長ヴォルコフ」

 剣を地面に突き立て、セリナの前に膝をつく。

「姫様が祖国奪還の旗のもと御旗を立てたと聞き」

「この老骨、骨を埋めるのは姫様の為にと決め馳せ参じました」

 その後ろで、騎士たちが一斉に膝をつく。

 砦の広場が静まり返る。

 セリナが前へ出た。

「顔を上げてください」

 騎士たちはゆっくり顔を上げる。

 セリナは静かに言った。

「この戦いは」

「レグノル王家の戦いではありません」

 騎士団を見て、次に谷に集まった人々を見渡す。

「祖国を失った」

「すべての人の戦いです」

 風が旗を揺らす。

 セリナは剣を掲げた。

「私達は――」

「レグノルを取り戻します」

 一瞬の静寂。

 そして。

「レグノル万歳!」

 誰かが叫んだ。

 声は広がる。

「祖国を取り戻せ!」

「セリナ様万歳!」

 谷が揺れた。

 カイはその光景を見ていた。

 民。

 兵。

 騎士。

 すべてが混ざり合っている。

 バルドが小さく言う。

「……もうレジスタンス規模じゃねぇな」

 カイは頷いた。

「軍勢だ」

 視線を谷へ向ける。

 人はまだ増えている。

 アルヴァ砦。

 そこに今――

 新生レグノル軍が誕生した。

 そしてその報は、遠くテンレアにも届き始めていた。

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