《第9話 日常と微かな影》
戦いから数日が経ち、森の中には再び平穏が戻っていた。
桜の花びらが穏やかな風に揺れ、光が森の奥まで届く。
一真は森の小道を歩きながら、影の一真としおりを見た。
影の一真は少し微笑みながらも、どこか考え込んでいる様子だった。
「……最近、落ち着きすぎて逆に怖いな」
一真が冗談めかして言うと、影の一真は肩をすくめた。
「確かに、戦いの後のこの平穏は、いつまで続くかわからない」
しおりは二人の間を歩きながら、静かに答えた。
「でも、今はこの瞬間を大事にしよう。
笑えるときに、笑っていなきゃ」
一真はその言葉に深く頷き、森の風を胸いっぱいに吸い込んだ。
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◆ 微かな影の気配
穏やかな時間の中でも、森の奥からわずかに黒い霧が漂ってくる。
影の一真はそれに気づき、眉をひそめた。
「……まだ完全に消えてはいないな」
一真は黙って頷き、手のひらに桜紋を浮かべる。
「でも、今なら二人で対処できる」
しおりも銀の鍵をしっかり握りしめた。
森の光が影を追い払うように輝き、三人は互いに視線を合わせる。
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◆ 日常の中の絆
その後、三人は森の奥にある小さな水辺で休憩した。
桜の花びらが水面に浮かび、微かな波紋を描く。
一真はしおりを見つめ、少し照れくさそうに言った。
「……お前と一緒にいると、戦いの疲れも忘れるな」
しおりは小さく微笑み、頬を赤く染めた。
「……私も同じ気持ちだよ」
影の一真は少し照れくさそうに目を逸らすが、
やがて深く頷いた。
「俺も……この日常を守るために、全力を尽くす」
三人の間に、静かで確かな絆が育まれていく。
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◆ 次なる予感
水面に映る赤い月を見上げる一真の胸に、
微かな不安がよぎる。
――平穏は永遠には続かない。
まだ見えない試練が、二つの世界に潜んでいる。
だが、一真はその不安を振り切るように拳を握った。
「……よし。どんな未来でも、俺たち三人で乗り越える!」
しおりと影の一真もその決意に応えるように頷く。
桜の花びらが舞い散る中、三人は新たな日常と未来への一歩を踏み出した。




