《第16話 森に忍び寄る影》
朝の光が森に差し込み、桜の花びらが舞う。
三人はいつもの小道を歩きながら、和やかな会話を交わしていた。
一真は小石を蹴りながら、影の一真を見た。
「……最近、森がやけに静かだな」
影の一真は眉をひそめ、視線を森の奥に向ける。
「……静かなときほど、危険は近いものだ」
しおりは銀の鍵を握り、少し緊張した面持ちで二人を見つめた。
「ええ、油断は禁物よ。森の中にはまだ、微かな影が潜んでいるかもしれない」
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◆ 小さな事件
そのとき、森の茂みからかすかな悲鳴が聞こえた。
三人はすぐに駆け寄る。
そこには小さな子鹿が罠にかかって動けなくなっていた。
黒い霧のような気配はなく、ただ森の中の小さな事故だった。
一真は子鹿を抱き上げ、優しく撫でる。
「大丈夫、怖がらなくていい」
影の一真も手伝い、罠を解く。
しおりは銀の鍵を掲げ、子鹿の周囲に安全な結界を作る。
「……こういう小さな事件も、私たちの役目ね」
三人はほっと息をつき、少しだけ笑顔を取り戻した。
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◆ 微かな不安
しかし、森の奥にわずかに黒い霧が漂い、
影の一真はすぐに気づいた。
「……まだ完全に消えたわけじゃない」
一真は桜紋を手に光らせ、しおりと目を合わせる。
「……どんな脅威が来ても、俺たち三人で守る」
しおりも頷き、銀の鍵を握り直す。
「ええ、私たちなら大丈夫」
三人は手を重ね合い、微かな影の気配に備える。
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◆ 心の距離
子鹿を安全な場所に戻した後、三人は森の小道を歩きながら会話を再開する。
一真はしおりにそっと声をかけた。
「……お前といると、なんだか安心するんだ」
しおりは頬を赤く染め、微笑む。
「私も、二人と一緒だと落ち着く」
影の一真も少し照れながら、一真の肩に手を置く。
「……こうして平穏な時間を共有できるのも、貴重だな」
三人の間に、微かな恋心と確かな絆が芽生え、森の中で静かに結ばれていった。




