《第12話 影の正体と試練》
森の奥、霧の中で黒い塊がうごめき、形を持ちはじめた。
その姿は、人の形をしている――だが、目は赤く、笑みはどこか歪んでいた。
一真は手のひらに桜紋を浮かべ、影の一真としおりを見た。
「……あれが、あの影の正体か?」
影の一真も赤い瞳を光らせ、口を開く。
「……間違いない。こいつが、森の奥で蠢いていた本体だ」
しおりは銀の鍵を握りしめ、結界を強化する。
「油断は禁物よ。
ただの影じゃない……境界を揺るがす存在よ」
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◆ 影の正体
黒い塊がゆっくり姿を変える。
人間の形をしつつも、全身が影のように揺れ、どこか見覚えのある輪郭が浮かぶ。
「……くっ……」
一真の胸に強い違和感が走る。
「……まさか、奴は……」
影の一真は低く呟いた。
「……俺たちの“未来の可能性”の一部だ。
もし二つの世界が分離されず、力が暴走していたらこうなった存在……」
三人は息を飲む。
その影は、二つの世界の不安定なエネルギーが生み出した、“もう一つの自分たち”だった。
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◆ 戦闘の始まり
黒い影はゆらりと腕を伸ばし、森を揺るがす。
一真と影の一真は目を合わせ、同時に桜紋を発光させる。
「……行くぞ!」
しおりも銀の鍵で光の結界を展開し、三人は一体となって攻撃を繰り出す。
黒い影はあらゆる方向から襲いかかり、森を切り裂くように動く。
桜紋の光と銀の結界がぶつかり合い、光と影の渦が森を包む。
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◆ 心の絆の試練
戦いの中、一真は影の一真と目を合わせる。
「……お前、俺たちの未来を背負ってくれてたんだな」
影の一真も頷く。
「……ああ。だからこそ、俺たちは絶対に諦められない」
しおりも二人の間に立ち、銀の鍵を掲げる。
「三人の心が揃えば、どんな影でも倒せる……!」
三人の手のひらに光が集まり、桜の花びらのように渦を巻き、影に突き刺さる。
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◆ 希望の光
衝撃で黒い影は崩れ、霧のように消えていく。
森は再び静寂に包まれ、赤い月の光だけが三人を照らす。
一真は息を整え、影の一真としおりを見つめた。
「……やったな。これで二つの世界も、少しは安定するはずだ」
影の一真は微笑む。
「うん。これで、少なくとも今日という日だけは、平穏だ」
しおりも頷き、そっと手を握る。
「……これからも、三人で守っていこう」
三人は光の中で手を重ね、互いの絆を確かめ合った。




