《第11話 森に潜む影》
桜の森に朝の光が差し込み、微かな霧が漂う。
戦いの傷跡はほとんど癒え、三人は再び歩き始めていた。
一真はしおりの手を軽く握り、影の一真を横目で見た。
「……あの影、完全に消えたわけじゃないみたいだな」
影の一真は赤い瞳を細め、森の奥を睨む。
「確かに。気配は小さいが、確実に存在している」
しおりは銀の鍵を握り、口を開いた。
「……この森の奥に何かが潜んでいる。
でも、正体はまだわからない」
三人は沈黙しながらも、互いに目配せし、警戒を強める。
---
◆ 不穏な気配
森の奥から、かすかに黒い霧が漂い、
葉の間から奇妙な光が漏れる。
一真は手のひらの桜紋を強く光らせ、影の一真と同時に構える。
「……来るなら来い!」
影の一真も同様に光を集中させ、赤い瞳が鋭く光る。
しおりも銀の鍵で結界を強化し、三人の間に緊張が走る。
---
◆ 心の揺れ
三人の心に、それぞれ微妙な感情の揺れが生まれる。
一真は影の一真との距離感に少し戸惑いながらも、
その存在が自分にとって不可欠だと感じる。
影の一真もまた、一真の存在に安堵しつつも、
自分が守るべき場所との葛藤に揺れる。
しおりは二人の間で微妙な立ち位置を感じつつ、
それでも自分の意志で二人を支える覚悟を固める。
三者の心理の波が、森の静けさの中で微かに反響していた。
---
◆ 影の出現
その時、森の奥から黒い影が動き出した。
霧の中で形を変え、巨大な腕と鋭い爪を伴って迫る。
一真は叫ぶ。
「来やがったか……!」
影の一真は無言で飛び出し、桜紋の光で攻撃を弾く。
しおりも結界を広げ、三人は一体となって影を押し返す。
黒い塊は一度退いたが、確実に存在していることを示すように、
霧の中で再び蠢いていた。
---
◆ 新たな試練の予感
一真は息を整え、しおりと影の一真に目を向けた。
「……まだ終わってない。
次はもっと強いのが来る」
影の一真も頷く。
「……そうだな。覚悟はできている」
しおりは銀の鍵を握りしめ、静かに微笑んだ。
「三人でなら、どんな影も乗り越えられる」
桜の花びらが舞う中、三人は互いの手を握り、次の戦いに向けて心をひとつにした。




