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七十話.あなたの涙に触れた時【ヴェラノラ視点】


 拳が振り下ろされる。

 私は、目を閉じた。

 受け止めるように。



 そして、次に来る衝撃を覚悟していた。





 だが――


 ……一向に来なかった。






 そっと瞼を開ける。

 拳は、私の顔の横に止まっていた。

 風圧が頬を撫でるほどの近さ。




 止められたそれが、僅かに震えている。

 そして、一滴の水が、私の頬に落ちて、流れていった。


 熱くも、冷たくもない。

 出所を辿るように上を向く。




 レイの――涙だった。

 仰向けになった私の真上で覆いかぶさるようにして。


 ――セレスタが、静かに泣いていた。



 眉を歪めて、それでも意思のある瞳。

 精神干渉下でのそれに抗っているのだろう。辛そうに必死に呼吸を整えながら、レイの頬を伝った涙が、もう一滴。


 私の肌に落ちた。



「……ごめん、なさい……」



 掠れた声が、震える。

 私の中で何かが切れたように、強く締め付けられた。




 ――ああ。やっぱり。

 あなたは私の知ってるセレスタ。


 恥ずかしかったら目を逸らして、すぐ逃げるセレスタ。

 愛らしい表情をいつもしてくれるセレスタだ。




 ――よく頑張ったな。


 そう伝えるつもりが、私もやっと戻ってきてくれた彼女に胸が熱くなり喉が締め付けられ言葉が出なかった。

 だから、代わりに私はレイの姿のセレスタの頬に手を伸ばす。




 その瞬間――


 地面が揺れた。





本編に差し込むことのできなかったヴァルディス視点▼

https://note.com/fire_thyme7838/n/n1daf707ce00f?sub_rt=share_b

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