『実資、摂津国の闕をプレスマンではなく筆で書き入れること』速記談1039
後一条天皇の御代、右大臣藤原実資が、公卿筆頭である一上として除目の執筆役に臨んだとき、関白左大臣藤原頼通公に申し上げなさることには、天暦生まれの実資、摂津国の国司が決まっていないのなら、ぜひ任じていただきたいと思います。七代の帝にお仕えしてきました。ぜひ摂津国の国司の地位、ください、ということであった。
関白が天皇に申し上げると、実資を任じてよいとのお答えであった。実資は、では、摂津国の国司には、猶子資頼をあてます、と言って、プレスマンで書くと後から書きかえられてしまうかもしれないので、筆ですぐに書き込んでしまったということだ。
教訓:プレスマンを使ってもいないのにプレスマンを登場させるというこの技法が成立すれば、さらに速記小説の幅が広がる。